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処刑の方法 - 岡田克敏

2009年07月22日14時04分 / 提供:ニュースブロガー

ニュースブロガー

アゴラ

 7月15日のSearchinaによると、08年に全世界で執行された死刑は少なくとも2390件。中国では少なくとも1718件で、全世界の約4分の3とみられている。中国の死刑は銃殺刑が多かったが、北京や上海など大都市から薬物注射に切り替えられつつあり、費用は約300元で、納税者の負担を低減できる、とされています。

 また6月16日のAFPは次のように伝えています。
「最高人民法院(最高裁)調査局のHu Yunteng局長は、チャイナ・デーリーに対し、薬物注射が銃殺よりも清潔で安全、便利だと語った」

 同日の産経WEB版には、司法専門家は「(銃殺から注射への移行は)社会の進歩だ」と指摘した、とあります。中国の銃殺は映画などでよく出てくるような前からの一斉射撃ではなく、後ろから頭部または胸部を撃つものだそうです。

 薬殺の長所が「清潔で安全、便利、安価」という説明には少し驚きますが、まあお国柄の違いなのでしょう。米国では絞首刑が残虐であるとして廃止され、死刑制度のあるほとんどの州では薬殺または薬殺が選択可能となっているそうです。まず鎮静剤で意識を失わせ、次に筋弛緩剤で体をマヒさせ、最後に心臓を停止させる、という3段階の方法が正常に行われるならば苦痛なく死に至るとされています(中国でも麻酔によって意識のない状態で執行されるため従来の銃殺と比べ、苦痛は格段に少ないとされています)。

 日本では憲法第三十六条に「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」とありますから、絞首刑は残虐な刑罰ではないという解釈です。憲法に「絶対」という修飾語は他になく、なんとなく違和感がありますが、よほど強調したかったのでしょう。

 かつてギロチンは苦痛をできるだけ与えない人道的な装置とされていましたが、現在それを人道的と考える人は少ないと思われます。何が残虐かは相対的なものです。たしかに絞首刑は、古来の火あぶりや釜ゆで、イランの石打刑、サウジの斬首刑よりは残虐でないといえるでしょう。しかし薬殺が米国だけでなく、死刑大国の中国まで採用され主流となると、はたして絞首刑は残虐でないと言えるでしょうか。

 日本では死刑を廃止するか存置するかの議論が盛んですが、死刑の方法についてはあまり議論されることはありません。抽象的な存廃論議だけでなく、死刑に関する現実的・具体的な議論がなされてもよいと思います。薬殺の導入、死刑方法を選択可能にすること、などが議論されてもよいのではないでしょうか。

 残虐な犯罪が大々的に報道されるたびに死刑存置論の強まる傾向が見られますが、死刑を廃止する国が多数を占めるに至った現在、この傾向は気になります。わが国のメディアの報復感情を重視した報道姿勢と死刑存置論の増加が無関係ではないと、私には思えます。

 死刑を存続している国が少数となっているなかで、死刑大国である中国が薬殺を採用するとなると、絞首刑を続ける日本は世界の流れから取り残され、存置国の中の少数派になりかねません。

 6月16日前後のグーグル検索では、上記の記事を掲載しているのはAFPと産経だけで、他に取上げているメディアはなく、メディアの関心の低さを表しているようです。メディアは存廃の抽象論だけでなく、より現実的な議論にも関心を持ってもよいのではないでしょうか。並みの殺人事件や事故よりも重要であり、少なくとも無視すべきものではないと思います。

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