「大相撲名古屋場所10日目」(21日、愛知県体育館)
横綱朝青龍が関脇鶴竜を送り倒して連敗を止め、休場危機をひとまず脱した。この日までに、8月に開催される「朝青龍杯」の大会役員に自民、民主、公明の各党から重鎮議員が就任することが判明。“自公民”が相乗りするほどの大看板に泥を塗らないためにも、本場所の土俵で死力を尽くす。横綱白鵬、大関琴欧洲は無敗をキープ。
◇ ◇
どうにか白星を拾った。左を差せず、土俵際まで押し込まれる苦しい展開を、朝青龍は気力で盛り返した。鶴竜の背後を取ると、送りつり落としの体勢に入った。さすがに抱え上げられず、最後は両手を土俵につかせての送り倒し。決着後に、体をグッと押さえつけるダメ押しもみせた。
横綱土俵入りでは、2日前に痛めた右肩にテーピングを巻いた。「かゆい、合わない」と結びの一番は取り外したが、しきりに右肩を気にするそぶりをみせた。「気にしないようにいったつもりだけど、気になる。首から(痛みが)きている」と表情はさえない。
支えは、もはや気力だけだ。土俵に立つ理由の一つに、8月29日開催予定の相撲大会「朝青龍杯」がある。多数の大物政治家の協力を得ることになっており、会長に自民党の島村宜伸元農水相、副会長には太田昭宏公明党代表が就任。大会最高顧問として、元首相の羽田孜民主党最高顧問が就くことになった。
くしくも衆議院が解散し、選挙戦へと突入したが、朝青龍杯は自民、民主、公明の各党が“相乗り”状態。朝青龍のネームバリューは、政治家にとっても魅力的ということになる。横綱の看板を汚すような相撲を取ることは許されない状況なのだ。
場所の主役は白鵬、琴欧洲に奪われた。22日に観測可能な皆既日食に自分をなぞらえ「日食みたいに(消えて)いっちゃうかと思った。ソーラー電気のパワーをもらいたい」と、自嘲(じちょう)気味に笑った。角界に君臨し続けた太陽は、再び昇るのだろうか。