WBC世界一の原ジャパン総合コーチで前西武監督の伊東勤氏(46)サイドから、阪神球団に対してコーチ入閣の売り込みがあったことが21日、分かった。同氏に近い関係者が阪神電鉄本社幹部と接触した。5位と低迷の続く真弓阪神だが、後半戦も現体制で臨むことは既に決定済み。伊東氏側の動きは、来季の入閣を見据えたものだ。
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伊東氏サイドからの売り込みについて、阪神電鉄本社の関係者は「確かにそういう話はありました」と認めた。
伊東氏は、連覇を果たした今年3月の第2回WBCで、侍ジャパンを総合コーチの肩書で支えた。大会中は原監督から作戦面を任された言わば世界一の頭脳だ。
西武の監督としても04年には就任1年目ながら松井稼の抜けたチームに中島、細川らを抜てき。リーグ戦2位からプレーオフ、日本シリーズを勝ち抜き見事、日本一を勝ち取った。
現役時代は捕手として活躍。ベストナイン10回、ゴールデングラブ賞11回の実績も輝かしいが、何より西武の13度のリーグ優勝、7度の日本一を支えた黄金時代の立役者といっても過言ではない存在だ。卓越した野球理論と経験に基づいたリードは名捕手とうたわれた。指導者として捕手として、過去の実績が示すのは“勝ち方を知っている”人物だ。
阪神球団は今季について、後半戦も現スタッフで臨むことをすでに明らかにしている。真弓監督自身も、指導法を一貫させるためにも変化を望んではいない。しかし、球宴まで1試合を残した時点で32勝45敗4分けの5位とチームは低迷。特に金本、矢野、下柳の40歳トリオが中心を担うチームの若返りは急務の現状だ。このまま低迷が続けば、来季に向けて多少のテコ入れが入る可能性も否定はできない。
これらの状況を察知した伊東氏の周辺が入閣を画策したと見られる。もしも入閣するとなれば、ヘッド格か作戦コーチ、総合コーチなどの肩書が予想される。ただ、球団としてはシーズンを戦っている最中とあって、現段階では明確な返答はしていないもようだ。
かつて暗黒時代と言われた低迷期にもシーズン半ばで、それぞれの“思惑”を持った関係者たちが、球団人事にあらゆる方法で“アドバイス”を送ってきたことがある。今回のケースがそうならないことを祈りたい。