訪問販売 あかひげ
7月 11

文科省の新しい研究予算に革新的技術推進費というのがあって、今回のテーマの一つにiPS研究と並んで非侵襲型BMI研究という枠が出来たらしい。特に光トポ技術は世界最先端なので、それを用いた応用技術の開発が目的とされる。予算規模が8億なので、僕のような普通の一研究者レベルの研究では計画すら立てられません。で、非侵襲について考えた事。

僕は、実用レベルのBMIはある程度の侵襲性を持たせないとダメだと思っているので、正直なところ非侵襲性BMIには 期待していない。実際に非侵襲性BMIを研究している研究者と話すと、現状のデコーディング性能は一杯一杯で、現在デコードできる最大情報量である2ビットが将来数十ビットになるとは誰も思っていない。今出来る事で応用技術を開発というのは良いのだけれど、同じ事を実現するのに、本当にBMI技術が必要なのかは疑問である。Muscle Machine Interface(MMI)で良いんじゃないかっていう疑問には誰もが口を濁すし、その脳活動と呼ぶ信号に筋電のようなノイズが乗ってないのかという質問も禁忌だ。

日本での現状のBMI研究は、殆どが非侵襲に偏っている為に、技術開発という点で限界に達しつつある。BMI研究が日本で盛んになって、まだ数年ですが、たった数年で非侵襲技術の限界が見えてきたということは、非侵襲記録技術自体に明確な行き止まりがあるということではないかと僕は思う。なんか、この状況はヒューマノイドロボットに固執して、あっというまに実用ロボットという点で負け始めている日本のロボット業界の構図と似ているように思う。だから、非侵襲にこだわっていると、たぶんBMIの開発競争という点では負ける。目的に応じて技術は使い分ければいいだけで、初めから線を引くのは間違ってると思う。日本の美学は、そのままではもはや世界に通用しないんです。技術は一旦世界共通のフォーマットに乗せないと戦えない。

僕はDARPAのお金はどうかと思うけど、去年会ったDARPAのコーディネーターから聞いたお金の使い方は正しいと思った。つまり、彼らは研究のボトルネックがお金で解決出来るなら、そこに重点的に短期間投資するのだと言っていた。なので、プロジェクトは半年とか1年とかの短いプロジェクトだけど、計画は明確で、それだけに投資効果もよく分かる。雨傘式の拠点研究も良いけれど、ピンポイントでマジですかっていうような投資もあって良いんじゃないでしょうか。僕は、ヒトにも使える完全埋め込み型多チャンネル無線記録装置の開発に数億欲しい。「結局自分の事かい?」っていうのは、その通り。ここさえクリアできれば、うちのECoG技術と合わせて世界最高、最先端の実用BMIが出来るはずなんだから。誰か投資しませんか?

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