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第二十回 お〜いお茶新俳句大賞
《 吉行和子選 》
この金魚足がはえるか手がでるか
茨城県 小峰 美紗子 10歳
これは映画、「崖の上のポニョ」を観たからでしょうか、ポニョは赤い魚から、足や手が生えて、人間の女の子になるのですよね。私はポニョの中で、「声」を担当していたので、記念に選ばせて頂きました。
《 倉橋羊村選 》
運動会ぼくより早く起きる父
広島県 上本 巧 11歳
わが子の運動会となると、父親は日頃の仕事の忙しさの負い目もあって、必要以上に肩入れすることになりがちのようだ。自分が出場するわけでもないのに、いつもより早起きして、やきもきと世話を焼く。善良な父だ。
《 浅井愼平選 》
将来の夢「鳥」と書いてあとで消す
佐賀県 與猶 由美香 13歳
作者は十三才の少女である。彼女のこころの動きがそのまま言葉として残され、まるで美しい彫刻のようにぼくの目の前に現われた。俳句という様式にしばられず、けれど俳句になっていることにも感慨を持った。
《 阿川佐和子選 》
咳ひとつこぼして真顔になりし君
北海道 菅野 玖瑠未 17歳
高校生らしい、初々しさが好きです。明るく賑やかな友達同士の会話。走ったり笑ったり騒いだり・・・。そんな日常の隙間でふと、いつもはごく普通の友達と思っていた彼(彼女?)が、一つ咳をしたあと、すっと真顔になって自分を見つめたその瞬間、あれ、もしかして、これって恋?と発見し、ドキドキする感じが伝わってきます。
《 森澄雄選 》
第一子芽依と名づけて春の風
岡山県 岡本 真輔 31歳
第一子は女の子だったのだろう。「芽衣」は春の木の芽時にふさわしいかわいらしい命名。折しも穏やかな心地よい春の風が吹き、万樹が芽吹き、あたかも子の健やかな成長を約束してくれているようだ。実にめでたい、いい句だ。
《 金子兜太選 》
太陽を褒め合っている日向ぼこ
千葉県 菊地 正男 79歳
「日向ぼこ」の俳句はたくさんつくられているが、こんな風な気持の大きな作品は少ない。太陽の恩恵を受けての日向ぼこのはずなのに、その恩人の太陽をあれこれ褒め合っているとは、恐れ入った。いや楽しい。