2009年7月22日0時16分
最近、スマートグリッド(次世代送電網)という言葉をしばしば耳にするようになった。
スマートグリッドとは、電力の供給や流れを、IT技術を活用して効率的に管理・制御することだ。電力の需給バランスを最適化する「賢い送電網」といった説明がなされている。
クリーンなエネルギー源として太陽光発電や風力発電などの普及が進んでいる。こうした気象によって発電量が大きく変わるエネルギー源を本格的に活用するためには、不可欠な仕組みである。
米国においては「グリーン・ニューディール政策」の柱の一つとして予算計上されている。すでにGEやグーグルなど世界を代表する企業が参入。家庭の電力消費を管理し、電力会社にその情報をフィードバックするスマートメーターの設置も始まっている。
一方で、日本における取り組みは米国ほど進んではいない。関係者の間には「米国とは違って日本の送電網の信頼性は高く、早急なスマートグリッド導入の必要性は低い」との見方もある。
ITをはじめ、蓄電や電力制御などで日本企業は、世界的に高い技術を持っている。だが、このままではエネルギー管理、制御の革命ともいわれるスマートグリッドの分野で、米国が標準規格や運営ノウハウを握り、国際競争力で圧倒的に優位に立たれる可能性もある。
「スクール・ニューディール」による学校への設置をはじめ、家庭での設置に対する補助など、太陽光発電装置に対する注目が高まっている。
今こそ、将来の電力需給システムの明確な青写真を描き、その実現に向け、戦略的に活動することが求められている。(H)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。