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イラン:政権正統性、国民投票で 改革派ハタミ氏、保守派と対立先鋭化

 【テヘラン春日孝之】イラン大統領選の開票不正疑惑に伴う混乱を巡り、改革派ハタミ前大統領は19日、保守強硬派のアフマディネジャド政権の正統性を問う国民投票を実施すべきだと表明し、これに対して最高指導者ハメネイ師は20日、「反国家的な発言だ」と認めない考えを示した。保守強硬派と改革派の対立は先鋭化し、8月初旬に予定される大統領2期目の就任式を前に、緊張が再び高まる可能性が出てきた。

 イラン労働通信によると、ハタミ氏は抗議行動で逮捕された改革派要人らの家族との会合で「唯一の解決策は国民投票しかない」と述べた。改革派は当初再選挙の実施を訴えていたが、初めて「代替策」を提案した。ハタミ氏は「国民の多数派が現状(大統領再選)を受け入れるなら、私たちもその結果を受け入れる」とも述べ、国民投票が国家的危機を打開する唯一の道だと繰り返した。

 国民投票の信頼性を確保するため、中立機関が監督すべきだとも主張し、選挙の最終承認機関である護憲評議会ではなく、最高評議会にその役割を求めた。

 護憲評議会は保守強硬派の牙城だが、最高評議会は、今回選挙で改革派ムサビ元首相を支援したとされる保守穏健派のラフサンジャニ元大統領が議長を務めている。

 一方、国営ラジオによると、ハメネイ師は演説で「(イランの不安定化を狙う)敵の術中にはまらないよう発言は慎重にすべきだ。敵を助けるような発言や行動は反国家的であり、社会を混乱に追いやる者は誰であれ国家にとって憎むべき存在だ」と警告した。

 これに対しムサビ氏は、ハメネイ師が「外国勢力が背後で混乱をあおっている」と主張していることを念頭に「(私たちが)外国と共謀し、国益を売り渡しているなどとだれが信じるのか。国民への侮辱ではない」と対決姿勢を崩していない。

 ある改革派評論家はハタミ氏の提案について「大統領就任式まで時間は少ない。ハメネイ師が国民投票を受け入れるか否か、イスラム体制に復元力が残っているかを占う最後の試問だ」と述べた。

毎日新聞 2009年7月22日 東京朝刊

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