「今や知事パワーが日本の政治を動かしている」。民主党の直嶋正行政調会長の言葉が象徴的だった。先日、道州制導入の法整備を総選挙のマニフェスト(政権公約)に盛り込むよう要望に訪れた岡山県の石井正弘氏ら知事4人に対して語った。
解散・総選挙を目前に緊迫する東京・永田町一帯で、これまでになく存在感を示しているのが知事たちだ。橋下徹大阪府知事らが声を上げたのを契機に、大幅な地方分権を政党に確約させようと勢いづく。
彼らの本拠地、全国知事会の事務局などがある都道府県会館は、自民や民主などの党本部のすぐそばにある。いかに政党を動かすか、記者らの前で繰り広げられた本気の議論には迫力があった。
要望書を提出するが、実現はされない。従来のむなしさから脱却する手段として、地方分権改革についてマニフェストを採点して、政党に競わせることを決めた。
全国市長会との意見交換会では、市長らとも連携することで合意した。平井伸治鳥取県知事は「今は天の時だ。地方分権を闘いで勝ち取らねばならない」と知事や市町村長の結束を訴えた。
政局をめぐる思惑から、投票までまだ40日余りもある異例の長丁場だ。地方側には、政党をチェックする余裕が生まれた。その意味でも千載一遇のチャンスだろう。