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64年の歴史とファンに感謝を込めて
〜 NECブルーロケッツファン感謝祭開催 〜

 開場前から、体育館はもとより、最寄駅である中河原駅のバスターミナルにもバスを待つ幾重もの列ができていた。途切れることなく訪れる人、また人。「64年の歴史とファンの皆様に感謝を込めて」。これまで変わらず応援し続けてくれた人たちが「来てよかった」と思われるように。ただその一心でスタッフが準備を重ねた、手づくりのファン感謝祭がここに幕を開けた。
 選手が入場するまでの1時間余り、来場者は会場にある写真パネルやトロフィー、トピックス記事やアルバムの展示に足を止め、それぞれがブルーロケッツを見続けてきた時間に思いを馳せる。いつだって輝き続けてきた、愛すべきチームの記憶が褪せることはない。涙ではなく、笑顔で。これまでのファン感謝デーと同じように、約600名もの多くのファンが会場に集まってくれた。

 

 大きく、そして温かな拍手のなか、背番号順に1人ずつ入場してくる選手たち。なかには、日本代表としてワールドリーグへ参戦中の前田や、ユニバーシアード大会へ出場し、帰国したばかりの柴小屋や菅の姿もある。
「みんなと今まで、ここで過ごしてきましたから。ワールドリーグ開催中ではありましたが、僕もここで一緒に、楽しく大切な1日を過ごしたかった。」(前田)
NECのユニフォームに身を包んだ選手たちの入場に続いて、これまでブルーロケッツの歴史を彩ってきたOBたちが登場した。糸田、泉水、大竹、市川、奥田、藤井、中野、鎌田、大森、細川、池田、佐藤、渡邉、大関、松田、大村、浅倉、足立、畑田…、それぞれが思い思いのユニフォームで久し振りにファンの前に雄姿を見せた。会の冒頭挨拶では「これだけ多くの方々を前に、苦渋の選択だったとはいえ、今回の休部という決定はただただ申し訳ない思い」と話した木村部長も、「最後だから、としんみりするのではなく、みんなに楽しんでほしかった。協力してくれたOBにも感謝しています」と言うように、これまで見ることがなかった「OB対ブルーロケッツ」、まさに夢の一戦は出だしから木村部長の描いたとおりにたくさんの笑いに包まれた。


 解説席に座った泉水、大竹両氏からの「OBは足が動いていないから、手加減するように」というプレッシャー効果か、意外(?)にも、先行したのはOBチーム。「フローターで打とうと思ったけれど、身体が咄嗟にジャンプサーブになって、打ってみたら手に当たらず(笑)、どうしようと思ったら入った」と苦笑いとともに振り返ったOB・畑田のポワンと浮上したサーブが、サーブレシーブの名手・金子の後ろへポトリと落ちる。まさかのサービスエースに会場は盛り上がり、金子は照れ笑いを浮かべる。


体育館を借りて、実はこっそり練習してきたというOBチームの思わぬ健闘ぶりに苦戦しながらも、ブルーロケッツも徐々に立て直す。金子が巧みなフェイントを決めると、「これから現役チームはフェイント禁止」と解説席からまさかのNG指令が下されたり、時折出される先輩からの「わかっているよねー」のプレッシャーに苦しみながらも、第1セットは25−22で現役チームが勝利した。


このままでは終われないとばかりに、第2セットは泉水、大竹両氏がついにコートへ。「とにかくケガが心配」と言いながらも、2m8pの長身を生かしたコミットブロックで李のクイックを大竹が見事にシャットアウト。「アジアの壁」の異名はやはりダテではなかったようで李も「あのブロックは高すぎです」と苦笑いを浮かべた。ブロックだけでなく大竹のバックアタックにも会場は沸いたが、最も盛り上がりを見せたのは11−9とOBチームが2点をリードした場面だった。


レフトから、竹内監督が現役時代を彷彿とさせる際どいコースを狙ったカミソリスパイクを放つも、ドンピシャのタイミングで日高がブロックで仕留め、11−10。公式戦さながらに両手を突き上げた派手なガッツポーズで喜ぶ日高の周りを、ブルーロケッツの面々が笑顔で囲む。竹内監督曰く、「あれは日高のこれからに自信をつけさせるためのサービス」らしいが、監督、それを負け惜しみと言うのではないでしょうか。


結果、2セット目も25−21で取った現役チームが2−0で勝利した。優秀選手には先輩のヤジに負けなかった金子、李が選ばれた。内定選手として今年の年明けからチームに合流した李にとって、これがブルーロケッツのユニフォームを着て出場した初めての試合だった。
「嬉しかったし、楽しかった。今日の試合でプレーすることができて、いい思い出をつくることができました」と笑顔で語ってくれた。



 笑顔と歓声のなか、OB戦を終えるとフリータイムへと移行した。同時に壇上には細川、大村のOB両氏と、奥谷、前田、金子の5名が上がりトークショーが行われた。
「これまでの印象」「ブルーロケッツでよかったこと」「失敗談」などのテーマに対し、細川から「一緒にやっていて、僕が『ああしたほうがいいよ』と言っても一向に聞いてくれなかった。でも代表に入ったからよかったです」とやや辛口評価を下された前田だが、「4年間だったけれど、本当に楽しくできました」と笑顔でサラリと交わす。しかしお酒の席での失敗談を大村から明かされると「飲みすぎて、寮の前で気持ち悪くて座っていたら、天使のように輝く人がお水を持ってきてくれた。それが大村さんでした」と笑った。


失敗談といえば、アンダーハンド、しかも両手でサーブを打ったうえにアウトしてしまった輝かしい(!)過去を持つ奥谷選手が槍玉に挙げられたが、「時に優しく、厳しく、先輩方からいろいろなことを教えてもらいました」と細川、大村両名に感謝を述べつつも、NECに入部して初めての練習でボールを拾いに行くのが遅れ、楊前監督にスタンドまでボールを飛ばされてしまったというこれまで語られなかった新たなエピソードを明かした。
現役選手のなかで「僕は失敗がないです」と言い切った金子だが、細川からは「失敗しているのに、気づいていないだけだよ」とまたも鋭いツッコミが飛ぶ。和やかなムードながらも、「楊さん、泉水さん、大竹さん。先輩たちは怖かったけれどNECの強さにプライドがあった」(細川)、「結果を出せず、残った選手たちに大きな責任を与えてしまったけれど、このチームの一員になれたことを誇りに思う」(大村)とそれぞれが抱く、チームへの思いが言葉の端々から感じられるものとなった。


 休部の発表を受けて以後、選手たちは決断のときを迎えた。新たな進路を選ぶもの、社業に専念するもの。不慣れななかでも新しいスタートを刻み始めるなか、ファン感謝祭で実際どのように接すればいいのか。戸惑う選手がいたのも事実だった。そしてまた別のところに、喉に刺さった小骨のような、小さなひっかかりもあった。竹内監督はこう明かす。
「活動休止が発表された後も、ファンの方々へ何も報告することができなかったこと、大変申し訳なく思っていましたし、複雑な思いが脳裏にありました」
 しかし、列をつくったファンからかけられた言葉は、「ごくろうさま」「ありがとう」と、感謝ばかりだった。
「OBとの試合も盛り上がって、楽しんでもらえてよかった」(大角)
「少し早めに来てボールに触って、バレーって楽しいなと改めて感じた。バレーができる環境があるなら、最後まで頑張ろう、また頑張れそうだと思うことができた」(前田)
 短い交流時間ではあったが、触れ合うことができたこの時間が選手たちにとっても大きな力を与えられた貴重な場であったことは間違いない。


 感謝祭の最後は、柳川OB会長から、ブルーロケッツの選手たちに「君たちは非常によくやってくれていたし、頑張ってくれている。今回の決定も恥じることなく、次へ進む選手たちは日本のバレーを背負っていってほしい」とエールが送られた。
 スクリーンにこれまでの歴史をまとめたビデオ映像が流されると、思わず涙を浮かべるファンの姿も。たくさんの思いに感謝を込めて。感謝祭の最後は選手全員がブルーロケッツフラッグを持ち、全ての来場者を笑顔で見送った。



 引き続き、レストランホールへと場所を移し、選手とファンによる懇親会が行われた。普段は見ることのない、アルコールに顔を赤くした選手たちを前に、ファンの方々のテンションも最大限に高まっていく。
「まるで祝勝会みたい。休部するチームとは思えない盛り上がりだね」
 そんな声もチラホラ聞こえるほどの盛況下、ついに閉幕のときへ。
 最後に挨拶に立った竹内監督は、「本日をもってブルーロケッツは活動を休止しますが、ここにいるメンバー全員が、このチームに入ったことを後悔していないはずです」とキッパリ言い切った。そして、これまでの感謝を伝えるべく、「最高のチームで、最高のメンバーと、ファンの前で…」と続けたところで、目が赤く滲み、思わず言葉を詰まらせる。「頑張って」の声と割れんばかりの拍手に支えられ、再び竹内監督が言葉を紡ぐ。
「これまでやってくることができて本当に幸せでした。これからいろいろな道へ進みますが、温かいご声援を送っていただき、ご指導いただきたいと思います。長い間、本当にありがとうございました」
 さらに大きな拍手が会場を包み、また新たな思いがブルーロケッツの歴史と記憶に刻まれた。

 

 会場内では多くのグッズが詰まったチャリティー福袋や、選手が使用してきたサイン入りユニフォーム、パネルなどがチャリティーオークションにかけられ、250個の福袋はあっという間に完売し、オークションには多くの方々から入札があった。皆様の思いは、これまで多大なるご支援を賜りました府中市を中心に寄付され、今後のバレーボール界を担う子どもたちへの支援にと活用されます。

 語りつくせないほどの感謝を込めて。そしてまた、いつの日か会えることを信じて。その日のために、今は、それぞれの場所で、己を磨き続ける。
新たな、始まりのために。

 64年間、NECブルーロケッツを支えて下さった皆様、つくりあげてきて下さった皆様、戦い続けてきて下さった皆様、愛して下さった皆様。本当に、本当にありがとうございました。ずっとずっと、忘れることはありません。本当にありがとうございました。

(取材・文:田中 夕子 ・ 写真:築田 純/アフロスポーツ、大谷 欣也)

  
 
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