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先週土曜日にNHKテレビで 白洲 次郎 のドラマを放映していた。
とても面白かった。また印象的な場面や言葉があった。 「正」の字の由来については、すでにこのブログに載せたところである。 次郎の家に住み込んで父白州文平の道楽で次々と白洲御殿を築造していた宮大工から 「坊ちゃん、正という字は一に止まると書きます。何事も一つ所に止まらないとしっかりした仕事はできません」と次郎をたしなめるのである。 後に次郎はイギリスの政治に影響力を持つ貴族たちに日英友好を説いたとき、「あなたの立場は何か?」と聞かれ、この漢字の正の字を書いて「私は良心という一に止まる」と自らの立場を説明した。イギリス貴族にはさほど感銘を与えなかったようだが、見ていて印象に残る場面であった。 「正」という字は語源では「一」に「足」で一つの目標に向かって歩いて行く意味だという。 うーむ、こっちのほうもいいな。 二宮尊徳先生は「わが道は至誠と実行である」と言われた。それと符合するようでもある。 もうひとつ印象的だったのが、次郎が少年のころ、教会に母と行き、次郎が小さい頃病弱で母はこの子が健やかに育つようにと病床メモを筆しながら神に祈ったという場面であった。 体熱の推移が細かに記されていた。 「あんたが生きられたちゅうことは神様があんたに何か生きる価値があると思われたさかいです」というようなことを次郎に諭す。白州次郎が生涯で一番尊敬する人がこの母であるという。まことに偉大なる男には偉大な母のもとで薫陶されるということなのであろうか。 この教会の場面で関西語での賛美歌が流れ、ブログでもひとしきりその驚きがにぎあわせていた。 イェスはん わてらを愛しはる イェスはん 強いさかいに わてらは弱くても こわいことあらへん わてらのイェスはん、わてらのイェスはん、 わてらのイェスはん、わてらを愛しはる アーメン 461番「主 我を愛す/Jesus Loves Me」を関西弁で歌い、最初は少し違和感があるのだが、お国なまりの賛美歌にこれはこれでいいなあという気持ちにもなる。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1875051 そこで一首 イエスはんわてら愛してる賛美歌の心のひだに届く驚き 新約聖書のケセン語訳というのがある。気仙沼弁に新約聖書を岩手県の山浦牧師が訳されたものである。山浦牧師はある日「山上の垂訓」をケセン語訳で朗読した。 最初はアレという反応、それが静かな感動に変わっていった、一部冷たい反応もあったのだが、・・・ 小山サクさんという老婦人が会の後で声をかけてきた。 「はるつぐさん!」 サクさんは山浦さんん両手をしっかり握りしめてこう言ったのである。 「いがったよ! おら、こうして長年教会さ通(あり)ってね、イエスさまのことばもさまざま聞き申してきたどもね、今日ぐれア イエスさまの気持ちアわかったことアなかったよ!」 ああ、小さい頃から慣れ親しんできたお国の言葉というものはそのくらい心にしみるもの、感情を揺り動かすものなのである。 ちなみに山上の垂訓の一節はケセン語ではこうなる。 頼りなぐ、望みなぐ、心細い人ア幸せだ。 神様の懐に抱(だ)かれたのアその人達(ひたぢ)だ。 泣ぐ人ア幸せだ。 その人達(ひたぢ)ア慰めらイる。 ・・・・・・・・・・ 其方等(そなだアど)アこの世の塩だ。んだども、塩に塩気アなぐならば、何イ以てその塩さ塩味イ付けんによがんべさよ? 最早、はア、何(なん)の赤役(あがやぐ)にも立だねアで、外(そど)さ棄(な)げらイで、人に踏まれるばんだ。 其方等(そなだアど)アこの世の光だ。山の上にある町ア隠(かぐ)れるわげにア行がねア。 それに、灯火(あがり)イ点(つ)けで、枡の下置く者アねア。燭台の上さ置く。そうすろば、家ん中(なが)のものオ全部明(あが)ぐ照らすにいい。んだから、其方等(そなだアど)ア光イ、・・・ 皆(みんな)の前に輝がせ。そうすろば、其方等(そなだアど)ア立派な行(おごね)い見で、世の中の人ア、皆(みんな)、天のお父様(どっざま)オ崇めるようになっこった。 E・PIX(イー・ピックス)社出版の「マタイによる福音書」でCDによるケセン語訳が聞ける。それは音楽の調べにも似て、宮沢賢治の花巻弁での詩の一節も想起させる。 山上の垂訓では、集まった人々に対して、「あなたがたは地の塩である、世の光である・・・」と呼びかけられているのである。私たちはいつもそう呼びかけられているのかもしれない。 汝(な)れもまた地の塩なりと呼ぶ御声(みこえ)あり 限りある身を光とともに 「ツキを呼ぶ魔法の言葉ゴールドラッシュ」マスオさん朗読CDを聞くこと286回 今野華都子先生の講演会のCDを聴くこと606回
最終更新日
2009年03月07日 16時00分08秒
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