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2009-07-20

北海道大雪山系のトムラウシ・美瑛岳で合わせて10人遭難死(その5)旭岳トムラウシ縦走後半は風雨の中を長距離走破する苛酷な日程 旭岳ビジターセンターweb viewが記録する7/15-7/17の気候

10人が亡くなられた今回の大雪山系の事故だが、事故前後に撮影された
 事故前後の旭岳ビジターセンターのカメラ映像
が、残っている。事故が起きたのは旭岳より南の地域だが、この当時、大雪山系が
 いかに荒天だったか
というのは、このカメラ映像からも推察できる。
旭岳ビジターセンターのカメラ映像は7日間しか保存されないので、各自保存をオススメする。

まず前日の15日は、1日風雨に晒されたようだ。
 15日に撮影された旭岳ビジターセンターカメラ映像 3:00〜18:30
このツアーの行程では7月15日は3日目に当たり、
 白雲岳避難小屋泊(1990m)〜高根ヶ原〜忠別岳〜五色岳〜ヒサゴ沼避難小屋(1600m・泊)
の全行程中最も長い16.5kmを風雨の中を走破して、雨の夜をヒサゴ沼避難小屋で過ごした。恐らく、60代の高齢者中心のパーティのメンバーの多くは、疲労の回復は難しかっただろう。
寝るときに雨に対する装備ができてない参加者もいたようだし、避難小屋で荷物や衣類を乾かすことが難しかったという話も出ている。この辺り、雨中の山行に慣れてなかったり、寝具を持参してない参加者もあったりと、各自条件は異なるだろう。

当日の行程を地元紙・十勝毎日新聞の
 【緊急企画 夏山遭難】トムラウシ山の惨事(上)2009年07月18日 15時11分
に沿って、旭岳ビジターセンターのカメラ映像のurlを添える。
・16日5時半 アミューズトラベルパーティ(以下ATPT)ヒサゴ沼避難小屋出発
7/16 05:30
荒天のため、カメラ映像がぼやけている。この状態は一日続く。
・16日 05:35 ヒサゴ沼避難小屋に同宿していた静岡パーティ(6人 以下静岡PT)が5分遅れで出発。出発の理由は、ATPTのガイドが「天候は回復する」と言ったため。
毎日より。


大雪山系遭難:「午後から晴れ大丈夫」 ガイド、出発直前話す

大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)で旅行会社「アミューズトラベル」(東京都千代田区)が企画した登山ツアー客ら8人が遭難死した事故で、ツアーの男性ガイドが16日早朝の出発直前、「午後から晴れるから大丈夫」と話していたことが分かった。ガイドと同じ避難小屋にいた別のパーティーの男性が証言した。(略)
 ツアー客18人と15日夜にトムラウシ山北側の避難小屋で一緒に泊まった静岡県の男性(66)によると、16日午前3時半ごろに起きると、外は雨が降り、風も強く、出発を見合わせていたという。その後、ツアーのガイドが「午後から晴れるから大丈夫だ」と話し、同日午前5時半ごろに18人が出発。間もなく男性らも小屋を出た。しかし、風雨はますます強くなり、岩にしがみつきながら進むような状況だったという。
 釧路地方気象台によると、16日午前5時の十勝地方の天気予報は「曇り、昼過ぎから晴れ」。ガイドはこの天気予報で「午後から晴れる」と判断したとみられる。しかし、十勝地方は同日昼にかけて風が強くなり、同日午前10時半ごろには、ツアーの女性客1人が寒さによる低体温症で動けなくなった。午前11時25分には強風注意報が出た。
(以下略)

ATPTの200m後を歩くが、「このペースはやばい」と感じる。
暴風はこの後激しさを増す。

・16日 09:00 ATPT2回目の休憩を取る。静岡PT追い抜く。
7/16 09:00
荒天のため、カメラ映像は何が映っているかよく分からない。

・16日 10:30頃 北沼付近 
ATPTの女性1人が低体温症で動けなくなる。野首さんが、女性に付き添ったガイドに自分のツェルト(簡易テント)を貸す。(この2人は共に死亡)
中日新聞より。


生還男性が状況語る 大雪山系遭難
2009年7月19日 09時26分
(略)
異変は風雨がいっそう激しくなった午前10時半ごろという。後ろを歩いていた女性と男性ガイドの姿がないのに気付いた。岩陰でガイドが女性の背中をさすっていた。野首さんは持参した簡易テントを渡し、先を急いだ。
(以下略)

7/16 10:30
天候は全く回復せず、カメラ映像もぼやけたまま。

・16日 12:00頃 北沼の少し先1人が脱落し、1人のガイドが戻ってこない間1時間半ほど、他のツアー客とガイドは、吹き晒しの中で待たされ、体力を奪われる。低体温症による錯乱を起こしたと思われる女性客が出る。
また、救助要請をガイドに迫ったが、一度戻ってきた、最初に先導していたガイドは聞き入れず、このガイドは北沼付近に戻り残留(後女性と共に死亡)、違うガイドが先導する。
朝日より。


登山客、ガイドに業煮やし「救援要請を」 大雪山系遭難

2009年7月20日4時46分
(略)
 戸田さんによると、16日午前10時半ごろ、山頂に近い北沼付近で女性が動けなくなり、ガイドが1人付きそった。戸田さんら他のメンバーは「何をしているのか」と、少し先で待っていたが、ガイドは一向に戻ってこない。風雨が強まり、「寒い。わーわー」と奇声を発し始める女性も出た。
 1時間半が過ぎた。戸田さんはその場にいた別のガイドに「どうするんだ。様子を見てきてくれ」と頼んだ。しかし、さらに10分が過ぎても何の反応もない。我慢出来なくなった戸田さんは大声で叫んだ。「この事態をどうするんだ。遭難だと認めて救援を要請しろ」
 すると、北沼付近にいたガイドが戻って来た。「歩ける人は、先に下りてもらえますか」。救援要請は聞き入れられず、違うガイドが先導して先を進むことになった。
 1時間半も風雨の中で立ち止まっていたため、体が思うように動かないメンバーが多い。ペースが速いガイドにはついていけなかった。

7/16 12:00
旭岳ではまったく視界が効かない暴風雨が続いている。

・16日12時過ぎ 北沼付近 救援まで5人がビバークするもビバーク直後に女性2人が低体温症で死亡
女性1人が意識不明になり、テントを設営。ツアー客(女性3人男性1人)とガイド(多田学央さん)が残留。
テント設営後、ほどなく女性1人が死亡、別な女性もいびきをかき始め、蘇生を試みるがやがて死亡
中日新聞より。


生還男性が状況語る 大雪山系遭難
2009年7月19日 09時26分

(略)
 さらに、しばらく行くと別の女性1人が座り込んでいるのが見え、右手をつかませて引き上げるようにして歩いたというが、さらに別の女性2人も動けなくなった。野首さんは先頭の第1ガイドと一緒に、女性3人をテントに運び入れた。「頑張れ」。体温が下がらないようこんろで火をたき、手や足をさすった。
 気づくと、1人が息をしておらず、いびきをかき始めたもう1人には心臓マッサージも施したが、息を吹き返すことはなかった。
 遺体にシュラフをかぶせ、テントの中で救助を待った。
(以下略)

フジの「サキヨミ」で報じられた入院中の女性の証言。【社会】トムラウシ山遭難事故 同じツアー仲間を必死で介抱 生還男性が状況語る★2スレッドより。


108 :名無しさん@十周年:2009/07/19(日) 22:46:09 ID:oUS3orJIO
フジのサキヨミの遭難者の証言はたぶんこんな感じだった

・遭難前日、雨のなか避難小屋に辿り着く みんな疲弊していた
・小屋の内部も、雨風が隙間から吹き込んでくるような状態で、床も濡れていた
 そこにシートを敷いて寝袋で眠った
・遭難当日、天気が悪く、普通なら小屋に留まる状況だろうと感じた
 帰りの飛行機の時間などを考えての出発だったのではないかと思う
・(ナレーターの解説)出発後○時間で女性1人が動けなくなり、ガイド1人が付き添うことになる
・(ナレーターの解説)その約1時間後、また動けなくなった女性が出たため、
 動けないor体調の悪い女性3名、ガイド1人、男性1人(>>1の野首さん)の計5人でビバーク開始(生き残った女性1人がこの証言者)
テントに入って5分後、まず女性1人が亡くなった
・もう1人の女性も、できるだけ暖めたりしていたが、だめだった
 いびきをかいて目を覚まさなかった
 その後2度脈をはかったが、2度とも脈がなかった だからあのあたりの時刻に亡くなったのだと思う

一緒のテントにいたガイドが、先に遭難していた2人の様子を見にいって戻ってきた
 「2人ともだめだと思う」とのこと

 自分もそうなるのかと怖くなった

フジのサキヨミログで
 ○時間
となっている部分は
 5時間
だろう。

つまり
 7月16日13:00頃には少なくとも1人が亡くなっていた状態で、ガイドが遭難救助要請をしなかった
ことになる。

16日13:00
残っている映像の中では、この時の状態が最も強風。

・16日12時過ぎ 野営グループと下山グループに分裂
下山グループは、ガイド(松本仁さん)1人とツアー客10人のPTだったが、ガイドの速度が速すぎて、次々とツアー客が脱落して、PTが分裂。
朝日より。


登山一行ちりぢり ガイド、8人を見失う 大雪山系遭難

2009年7月18日3時0分

 北海道大雪山系で起きた遭難事故をめぐり、トムラウシ山(2141メートル)で遭難したパーティーは、途中で歩行困難者が出る中で少なくとも八つに分裂していたことが北海道警への取材でわかった。
(略)
 この段階で、本隊はツアー客10人に対し、ガイド1人の11人。一行は下山を試みたが、ガイドが午後3時54分に5合目の「前トム平」から110番通報した内容は「ガイド1人、客2人の計3人がいます」というもので、ツアー客8人の行方を把握できなくなっていたという。

 その後、16日深夜から17日未明にかけ、3グループに分かれた計5人が自力で下山。17日の捜索では、山頂付近から登山道に沿う形で、「北沼」に7人、「山頂付近」に1人、「南沼キャンプ指定地」に1人、「前トム平」に3人、「コマドリ沢分岐」に1人と、登山客は5カ所に分かれて見つかった。

・16日12時過ぎ以降 男性客が南沼で脱落(死亡)。

・16日13時以降 五合目の前トム平で女性客4人が脱落(3人死亡)。

・16日15:54 ガイドの松本仁さんが110番通報「ガイド1人、客2人の計3人がいます」。→コマドリ沢分岐雪渓で翌日一般登山者が1人で倒れている松本さんを発見。

16日16:00
旭岳ではまだ暴風は吹いているが、最悪期よりは落ち着きつつある。

・16日16:30 北沼付近でビバークしていたガイドの多田学央さんから会社に1通目のメール。
読売より。


「4人くらいダメかも」…遭難時のメール公開
(略)
ガイドとしてツアー客らを率いながら下山した多田学央(たかお)さん(32)は16日午後4時30分ごろから、携帯電話で同社の札幌営業所に2通のメールを送っていた。
 同社は17日、その文面を公表した。
 1通目は、「すみません7人下山できません 救助要請します トムラの北沼と南沼の間と北沼の2箇所(かしょ)です」という内容。
(以下略)
(2009年7月17日21時53分 読売新聞)

16日16:30
旭岳では、最悪期よりはましだが、風雨は収まっていない。

・16日17:00 北沼付近でビバークしていたガイドの多田学央さんから会社に2通目のメール。
読売より。


「4人くらいダメかも」…遭難時のメール公開
(略)
その30分後には、「すみません8人です 4人くらいダメかもしれないです (ガイドで死亡した)吉川(きっかわ)(寛)さんも危険です」と急変を伝えていた。

(2009年7月17日21時53分 読売新聞)

16日17:00

この日、旭岳は1日中、強風に晒されていた。

1人目の女性がガイドの多田さん達が設営したテント内で亡くなったのは12時前後と考えられるので、死亡から5時間近く経って、ようやく危機的な状況が会社に知らされたことになる。

犠牲となられた方々のご冥福をお祈りすると共に、まだ入院加療されている方々の一日も早いご回復を願ってやまない。

自力下山できた方々の足取りは以下の通り。本来は
 短縮コース経由で短縮登山口に降り、トムラウシ温泉に宿泊する日程
だった。
・16日23:49 女性1人男性1人が短縮コース経由で、ユウトムラウシ第二支線林道で発見される
・17日0:55 短縮コースとの分岐を曲がらず降りて、東大雪荘付近で女性1人男性1人が発見される
・17日4:45 夜中にビバークして単独で降りてきた男性1人が短縮登山口で発見される

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コメント

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/out/1248111515/727
救助のようすとパンフレット
ttp://www.youtube.com/watch?v=J7RiharvlI8

テントの外にあるシュラフがちょっと怖いです。

自衛隊のテキパキした動きはさすがです。せめて、事故がおこった昼前に救助の要請があったなら、と思わずにはいられません。

投稿: 麻酔科医 | 2009-07-21 19:49

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