ごあいさつ
私、ヨッキれんは、
小さいときから旅が好きでした。
中学生のときに、初めてマウンテンバイク(MTB)を手にして以来、
当時住んでいた秋田県のあらゆる道を走らんと、
小さな暇を見つけては家を抜け出し、
汗にまみれ、藪を掻き分け、たくさんの峠を越えました。
はじめは、走ることが自体が目的だったと思います。
しかし、いつしか私が夢中になっていたのは、
誰からも顧みられず荒れ果てた、 廃道。
とうに主役の座を降りた、 旧道。
人や車はおろか、光さえ通さぬ、 隧道。
時刻表から抹消された、 廃線。
東北の一時代を築くも、全ては昔語りの彼方、 林鉄。
そんな、地図にも描かれていない道たちだったのです。
“失われた”道の探索には、
前を行く車の轍を追いかける旅とは違った、
「発見」という喜びが、満ち溢れていました。
私はますます夢中になってしまいました。
沢山の道の中には、一人の力だけでは辿りきれないような、
本当に過酷な道もありました。
そんなときには仲間を募り、共に挑むこともしました。
余りの道の悪さに、ついには自転車を投げ捨ててしまうこともありました。
それでも私は諦めず、先へ進みました。
飽きることなく漕ぎ、歩き、這い、暗き坑へも果敢に潜り続けました。
そして月日は流れ、少年だった私もいまや三十路を迎えました。
2007年には長年暮らした秋田を離れ、関東に活動の中心を移しました。
私はこの生の続く限り、道というものと戯れ続けるつもりでいます。
このサイトは、廃道や廃線など交通遺構全般の探索記録です。
私にとって印象の深い道たちを、
多くの写真と臨場感に拘った文章で綴りました。
全国各地に点在する、忘れられた廃道・旧道・隧道、
二度と軋みを上げることのない、廃線や林鉄…
そういった道の数々を、モニタを通してご体験下さい。
われわれのそばには、たくさんの道があります。
地図に載っている道が全てではありません。
過去そこにあった道や、まだ姿を見せない道があります。
そのどれも、未知へと繋がる道たちです。
もし、それらの存在に改めて気づいたとき、
あなたの周りの見慣れた風景も、
また違ったものに見えてくるかも知れません。
このサイトが、あなたにとっての “未知しるべ” となれば幸いです。
|