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小説版 時空警察ハイペリオン
ちょっと覗くと確かにモニターの中には20歳ぐらいの美人さんの姿が。
「早くこの辺だけでも片付けて!、ほら応接の場所だけでも普段から片付けておきなさいって言ってるでしょ!」
「はいはい」
わたし達は大慌て、応接空間(って、ソファーと机があるだけね)を繕う。
果たして、来訪者は本当に依頼者さんだった。
さぁーーっやっと物語が始まるぞーーっ
(P-3)
依頼者の女性は応接ソファーに浅く腰掛け、なんだかそわそわしてる。
あたしは調査依頼票を渡しながら丁寧に話を聞く。
「ご依頼の内容はなんでしょうか?」
「あのーっ。行方不明になっちゃったんです。もう3日も帰って来なくて」
ああ。またペット探しか。この手の依頼で人探しに私立探偵事務所に来る人なんか滅多にいない。
「お探しなのはワンちゃんですか?ネコちゃんですか?」
「ピーコはインコです」
インコ?鳥?そりゃあ、もう帰ってこないんじゃない?
「3日前ににエサをあげようとしてカゴを開けたら…すごい勢いで飛び出して行って…」
そう言いながらも依頼者さんは、なんだか周りをきょろきょろ見回している。何かを探しているように。ここにはピーコちゃん、いませんって。
「あのノいらっしゃらないんですか?」
いらっしゃいませんって!……あ、そうか。この人もアイツ目当てか。なんだ。
「所長ですか?はい。現在、外出中です」
「いつ頃お戻りになりますか?」
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用語集
…そんなの、あたしが聞きたいっつーの!10日も前からバイクでどっか出掛けて、今まで帰って来ませんよ!連絡もないし!
「他の案件で動いておりまして、帰所時間はお教え出来ません」
と、ちょっと意地悪に言ってやる。
「そうですか…また、出直します」
依頼者のお姉さんはしょんぼりして立ち上がり、目を泳がせたまま玄関へ向かう。
なに?制服着た女子高校生なんか頼りにならないって事?それともやっぱ、どっかで噂聞いて、アイツに会いに来ただけって事?ノどっちみち失礼じゃない?
「すみません。お戻りになったらご連絡頂けますか?」
そう言い残して、携帯の番号を書いた紙を渡して依頼人のお姉さんは去って行った。ねえ、ピーコちゃんはもういいの?
依頼人を見送った後、あたしは溜め息をつきながら、さっきまでお姉さんが腰掛けてた来客用のソファーにどっかと座り、ソファーの上で胡座をかく。制服のスカートではしたない?いいよ、誰もいないし。
広い(事もない)探偵事務所に一人取り残され、あたし、三ツ星ひかりはまたいつもと同じ事を考え始める。
「あたし、なにしにこの時代へ来たんだろ?」
もう1ヶ月以上も時空犯罪らしい時空犯罪はない。そしてあたくしのパートナーである「時空刑事オリオン」はこの探偵事務所の主の癖に、あたしに留守番させてばかりで殆ど事務所にいた試しがない。
どうせ昨日もどっかのお姉さん家に転がり込んでたんでしょ?
そう。とにかくアイツはモテる。もうすぐ30歳だっていうのに少年のような童顔をしてるから?あの、疑う事を知らぬ気な、キラキラした瞳にヤられるの?「あー!お姉さんが守ってあげたい」と思わせつつ、イザという時には一番頼りになる。そんなトコがいいの?
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