Hyperion
小説版 時空警察ハイペリオン

その「時間犯罪」を”未然に”阻止する為に組織されたのが「時空警察」。解りやすく『警察』なんて言ってるけど、いわゆる『警察』と『時空警察』は根本的に理念が違う。
法によってちょっとずつ違いはあるけど、『警察』は基本的には正義の味方。つまりは人を傷つけたり、殺したり…「悪い事」をした人を捕まえるのが仕事。『時空警察』は違法の時間移動をする事そのものが犯罪であり、例えば、自分の恋人や親兄弟が殺されるのが事前に解ってれば、助けたいって思うよね?でも、それをさせないのが時空警察の仕事。愛する人が目の前で殺されるような事があっても、それが歴史上の事実なら、じっとそれを見ているしかない。だから「時空警察」は創設当時は「センチネル…監視者」って呼ばれていた…。
でも、監視してるだけじゃ済まない『時空犯罪』が次々に起こって、そしてそれはだんだん巧妙になって複雑化して来てる。そしてそれは、ちょうど2000年から2010年までの10年間に集中して起こっている。何故この10年間に頻発してるのかはまた話すけど、これに対処する為に、この時代への長期滞在者…「ディビジョン」っていうんだけど、いわゆる「駐在員」を必要とした訳ね。
それで、2199年からほぼ1年毎に3人〜7人ぐらいのチームが各時代、各地域に派遣されるようになった。彼らは通称「時空刑事」って呼ばるようになった。
だから、例えば2002年に派遣されたチームは「D(ディビジョン)-02」って呼ばれている。
ちょうど私たちの前の年(2206年)から時空刑事候補生研修制度が始まった。「時空刑事」になる為の最後の研修として、実際にどこかの時代に何ヶ月か滞在して、その時代に派遣されている正式な時空刑事をサポートして実際に『時空犯罪』を解決していく…っていう制度なんだ。
用語集

そして2007年度の時空刑事研修生(SIGNA)に選ばれたのが、あたし、三ツ星ひかりとさっき紹介した春日さりあ、夏沢るり香の三人って訳。

新宿で思いがけず出会った私たちは、中央線で吉祥寺に向かう。なんであたし達が新宿へ寄ったのか、さりあが泣いていた訳。それは後で
機会があれば話すね。「新宿」は私たち時空刑事にとっては特別な場所なんだ。
吉祥寺で私たちは3ヶ月暮らした。20代後半ぐらいの美人さんに見える私たちのサポートドロイド(アンドロイド)秋葉えみりさんが店長を務める「ウッドストック」という喫茶店が、文字通り私たちの基地だった。

果たして、私たちは3ヶ月後、「時空刑事」の資格と称号を授かった。一番頼りなく、なにかあると泣いてばかりいたさりあは「時空刑事」より格上…とされる特別捜査官「時空特捜」に大抜擢された(今でも何でか信じられない)。
私は「時空刑事リゲル」となった。『リゲル』って名前はあたしが付けた。さりあは『時空特捜サリー』るり香は『時空刑事ルリー』と名乗っている。なんでも「○○リー」っていうのが彼女たちが尊敬するある時空刑事たちの名前だったかららしい。
時空刑事リゲルとなったあたしは、あたし達が研修していた2007年から2年後…2009年に派遣される事になった。

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