ホンダ氏と中国系団体とのつながり
簡単に言えば、民主党が今会期の議会では多数を制し、しかも下院ではホンダ議員とも共通点の多い超リベラル、人権派のナンシー・ペロシ議員が議長となったからである。外交委員会では同じ超リベラルのトム・ラントス議員が議長となった。ラントス氏はナチスのユダヤ人強制収容所に入れられた体験を持つ人権派議員である。
共和党側は議員の多くもブッシュ政権も、慰安婦問題のような過去の案件を理由に現在の日本政府を批判することには反対、あるいは無関心だから、これまでのホンダ議員の試みは成功しなかった。だがいまや同議員にとって、慰安婦決議案を採択させるのに、かつてない好機が訪れたわけである。
第二には、なぜホンダ議員がこれほどの熱意を長い年月、持続して、この慰安婦問題を追及するのか。
この疑問を追っていくと、中国の強大な影にどうしてもぶつかる。
ホンダ氏自身が人権問題に特別の関心を抱き、弱いもの、虐げられたものへの同情を強く示す政治家だとはいえよう。氏自身の正義や公正への信念も強いのだろう。だが同時にマイク・ホンダという人物は中国政府ともきずなの強い在米中国系の組織と密接なつながりを保ってきた。しかもこの組織は第二次大戦での「侵略」や「残虐」を理由に恒常的に日本を非難することを目的とする団体なのである。だから反日団体と呼んでも間違いはない。ホンダ議員はその中国系反日団体との結びつきが長年、強いのだ。
慰安婦問題での日本糾弾というと、日本側では中国よりも韓国の役割が大きいという印象が強い。だがホンダ議員の場合は中国系からの支援が絶大なのである。同議員への政治献金をみると、その構図が明確となる。
米国の連邦選挙委員会の記録や民間の政治資金研究機関「有責政治センター」の発表を基礎にホンダ議員が受け取った政治献金の軌跡をみると、次のような事実が浮かび上がる。
- ホンダ氏が2006年の下院議員選挙のために受け取った個人からの政治献金全体の約37万ドル、計449人分のうち、中国系からだけで約11万ドル、94人だった。中国系の全体に対する比率は金額で30%、人数で21%となる。同氏の選挙区はアジア系住民が全体の29%だが、中国系は9%に過ぎず、中国系住民からの献金の額は異様に大きいといえる。ちなみに韓国系からの献金は総額7000ドル、計10人という少なさだった。
- ホンダ氏に献金した中国系人物のなかには在米の中国系反日団体の幹部が多い。2006年だけでも世界規模の反日組織「世界抗日戦争史実維護連合会」会長のアイビー・リー氏、「アジア太平洋第二次大戦残虐行為記念会」事務局長のチョフア・チョウ(周筑華)氏、「中国ホロコースト米国博物館」役員のビクター・シュン(熊園傑)氏という活動家たちがそれぞれ数百ドル単位をホンダ氏に献金した。
- 中国で共産党など当局に政策を提言する全国規模の政治組織「人民政治協商会議」の広東省委員会顧問を務める在米中国系弁護士フレデリック・ホン氏も2006年にホンダ氏に数百ドルの政治献金をした。なお米国では米国の国籍あるいは永住権の保有者が個人で政治家に1回の選挙について最大2300ドルまでの献金ができる(だが中国の政治組織に直接かかわる人物からの献金というのは異様だといえる)。
- ホンダ氏はカリフォルニア州会議員だった1990年代後半からとくに「世界抗日戦争史実維護連合会」の最高幹部と緊密な連携を保ち、連邦議員への立候補に際して頻繁に献金を受けた。同連合会の創設役員イグナシアス・ディン(丁)氏から2000年から2002年までの間に計3000ドル、同創設役員キャシー・ツァン(曽)氏から計5000ドル、同創設役員ギルバート・チャン(常)氏から計1250ドル、元会長ベティ・ユアン(袁)氏から計1200ドルを献金された。
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