子育てしている世帯にとっては朗報となる「子ども手当て」、来る総選挙で民主党政権となった場合、いよいよ現実のものとなりそうだ。
16日付け日本経済新聞が報じた、民主党マニフェストの概要によると、子ども手当ては0歳から中学卒業まで1人あたり月額2万6000円、年額31万2000円を支給するという。中学を卒業すると、手当ては打ち切られるが今度は高校無償化だ。
その一方で、所得税の扶養控除(0歳から15歳まで)、配偶者控除は見直すとある。
株式市場では、子ども手当ての効果を期待する声が多い。実際、総選挙において民主党が勝利するとの見方が広がるにつれ、子ども手当て関連株は相場全般が調整色を強める場面でも堅調となった。この政策の波及効果に対するマーケット期待の大きさをうかがわせている。
政策としての意義の大きさも注目されている。配偶者控除の見直しとのセットで考えれば、理論的には子育てしていない世帯から子育てしている世帯への所得移転と解釈することも可能。つまり「世の中みんなで子育てしている家庭を経済的にサポートして、少子化を食い止めるよう努力しましょう」──そう行間から読み取ることもできるからだ。
しかし、子育てが終わったり子どもがいない世帯はどうだろう。控除額を見直しとは言っても、ここで増えることは考えられない。減れば当然のことながら税負担が大きくなる。子育て世帯はトータルではプラスになるものの、反対にマイナスになる世帯があることも考える必要がありそうだ。
いわゆる「103万円の壁」もどうなるか注目点になる。頑張って働く奥様が増えるのだろうか。筆者は配偶者控除について配偶者の収入増により控除適用を除外した経験があるが、その調整分を年末調整時に、ごそっと給与から引かれて青くなったことが忘れられない。
子育て世帯には歓迎される政策と思われるが、全体として「みんなでサポートしましょう」が受け入れらるかどうか──。足元の各種世論調査では、民主党の支持が自民党支持を圧倒しているが、果たして、控除見直しによる税負担増の可能性を織り込んだら調査結果はどうなるか気になる。やはり「政権交代」のフレーズが勝るのだろうか。
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(写真/ロイター)