「8月15日は何の日?」。行きつけの飲食店でアルバイトの女子高生に聞いたら、小首をかしげて「ん……」。「終戦記念日やん」。「何ですか、それ」。いやはや▼祖父が軍人で戦死した。祖母いわく「そこから不幸が始まった」。戦後20年以上たって生まれたが、家の押し入れには祖父が書いた「満州事変陣中日誌」や作戦図、拳銃の革製ホルスターといった資料や装備品がわんさかあり「戦争」を身近に感じた▼三十数年前の小学生時代。夏休みになると学校に地域のお年寄りが招かれ、戦争の体験談を時には涙ながらに話してくれた。今の小学校ではこういうことをやっているのだろうか。戦後64年。「生」の証言を聞けるのは、今のうちだ。【松田学】
毎日新聞 2009年7月18日 地方版