2008年09月29日

第4ターン優秀アクションの講評の講評(その1)

エルスウェアのメイルゲーム「KINGS〜ペリュトーンの剣」の会誌には、公開アクション講評のコーナーがあり、そこでは主幹級(とでもいうべきか?)のマスターが交代でアクションについての講評を述べている。
 4ターン目の会誌で発表された孝岡マスターの講評について、思いつくままに書き連ねていたら長くなってしまったので三回に分けて投稿する。

 例えば交流にたっぷりと時間を取って情報を集め、分析し、仲間と策を出し合って作戦を立てる余裕があれば、シナリオ内で起きている大抵の難問は解決できるでしょう。
(中略)
 こういった不安要素も含め、全てを完璧に把握した上で、失敗しない完璧なアクションを書くのは、どんなベテランプレイヤーにも不可能です──だからこそメイルゲームは面白いとも言えますが、自分のアクションの失敗から味方が総崩れになるような展開はできれば避けたいところです。

 「交流にたっぷりと取って情報を集め、分析し、仲間と策を出し合って作戦を立てる余裕があ」ったところで、「シナリオ内で起きている大抵の難問は解決でき」るわけではない。
 それは交流というものを過大評価しすぎている。交流は決して万能ではないし、全てのプレイヤーに義務づけられるものでもない。
 「自分のアクションの失敗から味方が総崩れになるような展開はできれば避けたい」というが、そんな事態のどこが忌避すべきものだというのか。それほどの影響を周囲に与えられるのなら、それはメイルゲームの舞台となる虚構世界において、比類なき栄誉ではなかろうか。
 何より他ならぬ孝岡マスター自身が、
(ブラッドオペラ A030301他より)
 まぁ、情報が無いからと慎重になるよりも、誤った情報を元に行動して派手に散ったりした方が、メイルゲーム的には美味しい場合もありますので、その辺りはプレイヤーの皆さんの趣味も合わせて。

 と述べているではないか。
 
 交流は確かに実現できることの幅を広げるかも知れないが、逆に狭めることもある。極端な同調圧力は、プレイヤーをメイルゲームから追い出すことすらある。
「チャットで決まったから」
「プライベで決まったから」
 それらは何を根拠として強制力を持つかといえば、つまりはこの交流至上主義だ。交流至上主義こそ、メイルゲームを滅ぼす思想だ。

 虚実いずれにせよ、この世の物語に失敗は付き物だ。失敗のない物語などない。メイルゲームが物語を紡ぐ遊びであるなら、その登場人物が失敗するのは当然の摂理ではないか。
 失敗とは、その人物を彩る要素の一つに過ぎない。大切なのは、失敗であれ成功であれ、そこから何を得るか、何を得ようとしているか、だ。

 ところで、私がこの「講評の講評」なる文章を書こうと考えたのは、この講評に違和感を覚えたからだ。おそらくこの講評は自分の知りたい情報を示してくれてはいないのだ。

 確かにこの時この場面において「自警団にこのような提案をする」というアクションは的を射ていたのかも知れないが、私は読者として「どうしたらそのような的を射たアクションを思いつけるのか」を知りたい。

4turn.JPG
(「KINGS〜ペリュトーンの劍〜」第4ターン会誌P.08より)

 私は、この紹介されたアクションを、「彼女が実行する理由」が見えないのだ。
(追記:このアクションを書いたプレイヤーの名誉のために追記するが、私はこのアクションが優れていないと言いたいわけではない。登場の状況を考えれば、孝岡マスターの評価するとおり具体的かつ的確なアクションであると思う)

 身代わりなる方法が意味を持つということは、その対象たるサヤは、相当に危険な状況にある、ということだ。そして身代わりになるということは、その危険を一部分であっても肩代わりすることになる。
 それはもちろんサヤのせいではないのだろうが、身代わりになった者が傷つき、あるいは死に至れば、サヤは自分に責任を感じるのではなかろうか。そのような事態を危惧し、身代わりを置くということを躊躇するのではなかろうか。

 つまり、このアクションを実行するためには、

このPCが、サヤのために自分を犠牲にする(しても構わないと思うに至る)理由がある。

 ことが不可欠で、またそのアクションが成功する(サヤが身代わりという提案を受け入れる)ためには、例えば

サヤは自分の存在の重要さ、特異さを十分に自覚している。従って自分の身を守るために、他者の犠牲は生じてもやむを得ないと覚悟している。

 ということが不可欠となる。もちろん他にも身代わりを受け入れる根拠は考えられるかも知れないし、何か伏せられていた事実があるのかも知れない。
 私はそう思ったから、それが知りたかった。
 このPCの動機も、アクションから読み取れるものであって欲しかった。それが私にとっての「優秀なアクション」であるからだ。


その2
posted by トークン at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ペリュトーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 弊社メイルゲーム「KINGS〜ペリュトーンの劍〜」ご参加いただきましてありがとうございます。
 エルスウェアユーザーサポート係です。

 こちらの記事につきまして、弊社メイルゲーム会誌の画像が用いられておりますが、第4ターン会誌のP23に掲載されております通り、弊社の許可のない会誌等の転載は、禁止させていただいております。
 誠に申し訳ございませんが、会誌画像を削除いただけますようお願い申し上げます。

 今後とも弊社及び弊社メイルゲームをよろしくお願いします。

 また、この件に関しまして、なにかございまいたら以下のメールフォームよりお問い合わせください。
http://peryton.net/mail/
Posted by エルスウェアユーザーサポート at 2009年06月02日 13:58
 この度ご指摘のありました会誌画像の件ですが、当該画像について、当方は著作権法にある引用であって、著作権者の同意なしに利用できると考えました(法律にはあまり詳しくありませんが、改めて条文等を確認したところ、引用の方法について不備がありましたので訂正しました)。
 一般的にアクションはその文意のみでなく、文字の書き方やレイアウトも含めて判断されるもので、文章で転載するより、視覚的に閲覧できるのであれば、その方が参考資料として適切ではないかと思いました。
 当方の利用法が引用の要件を満たさない、もしくは別の支障を生じさせているのであれば、その旨ご指摘いただければ改めて対応いたしますが、本件の内容では削除要請には応じかねます。
Posted by トークン at 2009年06月04日 22:59
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