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多彩なトレーニングマシンを完備しているスポーツ考房では、
専門スタッフのアドバイスを受けながら無理なく体を鍛えられます。

V.トレーニング
1.トレーニング実施上の注意事項
トレーニングの実施に当たり、次のことに注意して下さい。
 
●からだのコンディションを整えておくこと。なお、次の項目で該当するものがある場合は、その日のトレーニングを中止する方がよいでしょう。

◆めまいがする。 ◆体温が37度以上ある。
◆吐き気がする ◆気分がイライラしている。
◆二日酔いである。 ◆朝食を食べる気がしなかった。
◆からだがだるい。 ◆運動しようとする意欲が出ない。
◆睡眠不足である。 ◆心臓がふだんよりドキドキしている。
◆下痢ぎみである。
◆安静時の脈拍が1分間90回以上ある。
◆風邪ぎみである。 ◆胸がしめつけられるように痛い。
◆足元がフラフラする。  

●トレーニング実施前には、必ずストレッチングを行いましょう。
●無理のないトレーニング計画を立てましょう。
●他人と競争せず、過度の運動(重負荷)は避けましょう。
●軽い負荷(自己の最大の約40%)からトレーニングを開始し、徐々に体力アップを図りましょう。
●トレーニング終了後にも、必ずストレッチングを行いましょう。
●各種トレーニング機器の使用後は、付着した汗を拭き取りましょう。
2.ストレッチング
1)ストレッチングの意義
ストレッチ(Strech)とは、伸ばす、あるいは、引っ張るという意味で、ストレッチングとは、身体各部の筋や腱を引き伸ばすことを言います。いろいろな姿勢や体勢でストレッチングを行うと、全身の筋や腱をくまなく引き伸ばすことができます。ストレッチングには、従来から用いられている、からだの反動を利用した動的なもの(例えば、柔軟体操)と、反動をつけないで静かに行う静的なものがあります。身体の柔軟性という観点では、両者に大きな違いはないと言われていますが、安全性、及び、筋肉痛の予防とその回復という観点では、静的ストレッチングの方がより効果的であると報告されています。以下は、その静的ストレッチングの特徴や効果をいくつかあげたものです。
 
◆誰でも簡単に行うことができる。
◆全身の血行がよくなる。
◆身体や精神の緊張がときほぐされる。
◆スポーツ活動の効率が高まる。
◆スポーツによる傷害や筋肉痛が予防できる。
◆肉体や精神の疲労を回復させる。
 
2)ストレッチングの方法
●ウォーミング・アップを行うこと。
ストレッチングは、それ自体が理想的なウォーミング・アップなのですが、いきなり強く行うと、逆に故障を招くことがあります。従って、軽いランニングなどでからだをほぐしてから、弱めに開始し、次第に強度を増やしていくというやり方が好ましい方法です。

●反動をつけずに行うこと。
従来から行われていた柔軟体操のように、からだに反動をつけて行わないで下さい。静かにゆっくりと、筋や腱に程よい緊張が感じられたところで動作を止め、そのままの姿勢を10〜15秒間保持し続けるというやり方で行います。このように反動をつけず、静かに行うところが静的ストレッチングの最も大切なポイントです。

●無理をしないこと
筋や腱は、ある程度の緊張が感じられるまで引き伸ばさないと、ストレッチ効果は生じませんが、痛さを我慢して無理に行うことは禁物です。強すぎず、弱すぎず、加減を調節しながら行うことが大切です。

●リラックスして行うこと。
ストレッチングはリラックスして行うことが大切です。呼吸を止めたり、歯をくいしばって行わずに、ごく普通に呼吸しながら、肩の力を抜いて行いましょう。

●自己のペースで行うこと。
からだの柔軟性には個人差があります。ストレッチングは、他人と競争するものではなく、マイペースで行うことがとても重要なのです。

3.トレーニングの原則
運動処方実施にあたっては、トレーニングの原則を念頭において計画を立案、実行する必要があります。
 
●過負荷の原則
日常生活レベルの身体活動では体力は維持することも可能ですが、一般的には、加齢に伴い低下(老化)します。トレーニング実施にあたっては一定レベル(閾値)以上の運動を実施、継続することが重要になります。これを過負荷の原則といい、強度、時間(回数)、頻度、期間の要素があります。
 
●漸進性の原則
トレーニング実施にあたっては最初から強いトレーニングを行うのではなく、目標よりも弱い強度や短い時間でトレーニングを始め、からだが運動に適応するに従って徐々に目標に近づけていくことがトレーニングを長続きさせるコツであり、また、傷害予防にもつながります。
 
●反復性・可逆性の原則
身体運動がもたらす身体の変化はすべて可逆性であり、すべての変化はもとに戻ります。トレーニング効果も同様であり、トレーニングを中止すると得られた効果は消失の方向へと向かいます。
 
●個別性の原則
体力は人それぞれまちまちです。従って個人の能力に応じてトレーニングを実施する(相対負荷法)ことが必要となり、また同じトレーニングを実施しても個人間で効果のあらわれ方も異なります。
 
●意識性の原則
自覚性の原則ともいい、トレーニング実施にあたっては、その目的、目標(目的より具体的なもの)、科学的理論等を十分に理解して実施することが重要です。
 
●全面性の原則
統合性の原則ともいい、トレーニングによって身体機能が改善されることに伴い精神面もバランスをとらなければなりません。 「健全なる精神は、健全なる身体に宿る」 ユウェナリス
 
このほかにも、過負荷の原則から期間の要素を取り出して継続性の原則として上記に加えることもあります。すなわち、トレーニング効果は短時間で現れるのではなく、継続して実施して初めて一定の効果が得られるということです。なかには、短時間で効果が得られたように見える場合もありますが、これは運動様式に慣れることで得られる練習効果と呼ばれるものです。
  さらに、運動(トレーニング)は身体へのストレスであり、特に運動によって筋は損耗するとともに多くのエネルギーも消費します。このため、運動後にはタンパク質や糖質の補給が必要であり、これを栄養補給の原則として知っておくことも運動処方においては重要です。
4.トレーニング機器の使用説明
1)腹筋台
右図のように、トレーニングポジションにつき、上半身を上方へ屈伸させることによって、腹筋を強化することができます。
2)背筋台
右図のように、トレーニングポジションにつき、上半身を下方に屈伸させることによって、背筋、腰筋、大腿直筋を強化することができます。
3)バタフライマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、パットの開閉をゆっくり繰り返すことにより、大胸筋の内側を強化します。
4)レッグカールマシン

右図のように、トレーニングポジションにつき、膝の屈曲・伸屈の反復により、大腿屈筋群を強化します。腰に負担のかからない設計になっていますので、安心してトレーニングができます。

5)チェストプレスマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、肘の曲げ伸ばしをゆっくりと繰り返すことにより、大胸筋、上腕三頭筋に効果があり、各種スポーツに必要な押す力を強化します。
6)バックマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、上体を後方へそらすことにょり、腰部を強化します。動作に無理がないため、安全にトレーニングが出来ます。
7)アームカールマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、上腕部を動かさないようにし、上方へ前腕を巻き上げることにより、上腕二頭筋、前腕筋に効果があり、腕力の強化を図ります。
8)レッグエクステンションマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、膝を伸ばすことにより、大腿四頭筋を強化します。
9)ショルダープレスマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、上方へプレスすることにより、三角筋、僧帽筋、上腕三頭筋を強化します。
10)レッグプレスマシン
右図のように、トレーニングポジションにつき、膝を伸ばすことにより、大腿四頭筋、下腿三頭筋、大殿筋を強化し、各種スポーツに必要な脚力やジャンプ力を高めます。
11)トライセプスエクステンションマシン

右図のように、トレーニングポジションにつき、肘をパットに乗せ、肘を伸ばすことにより、上腕三頭筋に効果があり、腕力の強化を図ります。

12)ローイング
下図のように、トレーニングポジションにつき、ボートを漕ぐ要領で全身運動を行います。ローイングには、以下のような4つのトレーニングメニュが搭載されており、脈拍センサーによってオーバーペースを自動的にチェックしたり、それぞれの体力にあった無理のないトレーニングを自動的にコントロールできます。

(1)全身持久力テスト

個人の持久力(最大酸素摂取量)を推定する運動モード。

(2)全身持久力トレーニングA
個人の最大酸素摂取量を2%アップさせるための運動モード。

(3)全身持久力トレーニングB
最大酸素摂取量の40%〜70%の運動負荷を与えるモード。

(4)マニュアルトレーニング
運動負荷などを任意に選択し、プログラムを自由に作成するモード。
13)自転車エルゴメーター

有酸素運動として最もポピュラーに利用されているのが、この自転車エルゴメーターです。以下は、エルゴメータに搭載されているトレーニングメニューであり、この中から各個人にあったものを選択し、トレーニングを行って下さい。また、その他に、全身持久力(最大酸素摂取量)を測定することも可能です。

(1)全身持久力トレーニングA
測定された最大酸素摂取量の2%アップを目標とするトレーニングです。ある一定期間、継続してトレーニングをすることによって、徐々に全身持久力を向上させる場合に効果的な方法です。


(2)全身持久力トレーニンングB
体力や目的に応じて、4つのトレーニングメニューがあります。

a)40%強度(ライトトレーニング)
これまで、本格的に運動をしたことのない人や、しばらく運動から遠ざかっていてこれから運動を再開しようとする人に対応したレベル。
b)50%強度(ダイエットトレーニング)
余分な脂肪を落としたい人やシェイプアップを目指す人に対応したレベル。
c)60%強度(パワーアップトレーニング)
これまでジョギングやランニングを行ってきた人が全身持久力の維持・向上を目指す場合に対応したレベル。
d)70%強度(エキスパートトレーニング)
運動選手、特に長距離選手の持久力向上のための運動強度レベル。


(3)マニュアルトレーニング

自分で任意に負荷量を設定し、トレーニングを行うことができます。


(4)プログラムトレーニング<固定>
予め組み込まれている3種類の負荷パターンでトレーニングを行います。また、負荷強度も3種類あるので、同じ負荷パターンでも負荷強度を変えてトレーニングを行うこともできます。

14)フィットネスビジョン
フイットネスビジョンは、単調になりがちな呼吸循環器系のトレーニングを楽しく行うためのエルゴメーターです。6つの都市のビデオ映像を見ながら自転車をこぐことにより、現地をサイクリングしているような気分を味わうことができます。

(1)ホノルル・シティ (ハワイ)
(2)シーサイド (ハワイ)
(3)エッフェル塔 (パリ)
(4)シャンゼリゼ (パリ)
(5)雪の知床 (日本)
(6)箱根スカイライン (日本)
15)エアロクライム
エアロクライムは、全身持久力の維持・向上を目的とした階段登高型のトレーニングマシンです。階段登高型とは、下図のように、両足をステップに乗せ、階段を登る要領で足踏みをすることによって、効果的な有酸素運動を行うトレーニング方法です。エアロクライムでは、次のようなプログラムでトレーニングを選択することができます。

a)一般トレーニング:全身の持久力を向上させるため、有酸素運動として適切な脈拍範囲(ターゲット・ゾーン)による標準的な運動強度でのトレーニングです。


b)減量トレーニング:一般トレーニングより、やや軽い運動強度でのトレーニングで、次の2つの目的に使用できます。

<減量目的>
軽い運動を長時間行うことは、効果的に身体の脂肪を燃焼させます。減量を目的とする人のための疲労の残らないトレーニングメニューです。

<低体力者用>
体力の落ちている方や、これまでほとんど運動をしてこなかった方のための基礎体力づくりメニューです。


c)マニュアルトレーニング:任意の運動レベル(負荷強度)を入力するトレーニングで、一度設定した運動レベルを運動中に補正することも可能です。

d)オリジナルトレーニング
:以下のような4つのトレーニングパターンから、任意に選択することができます。

<スロープ(15分間)>
<ギザギザ(15分間)>
<デコボコ(15分間)>

<カスタム(最大30分間)>

16)ビューティーローラー

これは、ローラー式のマッサージ機であり、偏心回転ローラーにより、上腕筋、脇筋、大腿筋、背筋、腰部などの筋肉にマッサージ効果をもたらします。

17)ファミリーベルダー
これは、ベルト式のマッサージ機であり、血行をよくし、骨格筋をほぐすのに効果的です。
5.目的別トレーニング方法
1)筋力増加を目指したトレーニング
筋力を増加させるためには、日常生活で発揮される筋力(≦30%MVC;Maximal Voluntary Capacity 最大筋力)以上の筋力を発揮するような運動負荷が必要となります。一方、60%MVCと80%MVCでトレーニングを実施して得られた効果を比較すると両者には大きな差が認められないことから、運動処方では40%−60%MVCの強度が用いられます。回数は、一般的には80%MVCで3回が限度(80%MVC=3RM;Repetition Maximum 繰り返し可能回数)と報告されており、60%MVCで10回前後、40%MVCで15回前後を実施します。頻度は1週間に2−3回が適当であり、期間はこのようなトレーニングを3ヶ月を目安として継続することが必要です。
全身の筋力をバランスよく鍛えるため、トレーニングルームには11種目を1ラウンドとして筋力トレーニングマシンが設置されており、運動処方ではサーキットトレーニング形式で1セット(2−3ラウンドを休まずに実施)を実施することによって筋力ばかりでなく、持久性にも効果が得られるようになっています。運動鍛錬者を対象としたスポーツトレーニングではセット間に休息をとりながら2−3セット実施します。
また、食事で摂取したタンパク質は食後約2時間で血中アミノ酸として筋の再合成に利用可能となるとともに、睡眠中、特に入眠期に成長ホルモンの分泌が活発化することから夕食前あるいは、夕食後にウエイトトレーニングを実施してから寝ると筋の再合成が効率よく行われることになります。昼食の場合には午睡をとることで同様のことが得られます。
 
2)全身持久力向上を目指したトレーニング
全身持久力を向上するためには、有酸素的運動を長時間実施する必要があります。運動強度の指標としては最大心拍数(HRmax)を100%として運動時心拍数を%で相対表示したもの(%HRmax)が使われます。
%HRmax(bpm;拍/分)=(最大心拍数−安静心拍数)×強度(%)/100+安静心拍数
最大心拍数は運動中に得られる心拍数の最大値であり、大学生で180−210bpmですが、運動処方では一般に最大心拍数=220−年齢の式で便宜的に表すこともできます。
持久性の現状維持を目的とする時は50−60%HRmax、改善を目的とする時は60−80%HRmaxを目安にしますが、運動中の心拍数を測定するのは一般には困難であり、心拍数≒脈拍数を利用して脈拍数をモニターしてトレーニングを実施します。さらに、主観的運動強度(RPE;Rating of Perceived Exertion)が考えられておりRPE×10が運動中の心(脈)拍数に相当することを利用して自分で感じる強度を目安に持久性トレーニングを実施することもできます。
トレーニングを有酸素的運動として実施するために必要な時間は最低5分間であり、30分を目安に持続的に運動を実施することが必要です。頻度や期間は筋力増加の場合と同じです。
 
3)シェイプアップを目指したトレーニング
シエイプアップトレーニングではいかに除脂肪体重(LBM;Lean Body Mass=体重−脂肪重量)を減少させずに脂肪重量だけを減少させるかが重要なポイントとなります。脂肪が運動のエネルギー源として使われるためには100−130bpm程度の軽運動を少なくとも20分以上(30−60分)実施する必要があります。これは運動強度が高い場合や運動開始後しばらくは糖質がエネルギー源として使われることによります。
また、食事で摂取した脂肪は食後約2−4時間でエネルギー源として利用可能となるので、この時間帯に軽運動を実施すると効率良く食事由来の脂肪エネルギーを消費できます。反対に夕食のようにこの時間帯に運動ができない場合は摂取された脂肪エネルギーのすべてが体脂肪として蓄積されるので注意が必要です。
一方、筋重量が大きく基礎代謝量の大きい人は睡眠中にもエネルギー消費量が多いので太りにくいとされています。このため、ウエイトトレーニングやダンベル体操によって筋重量を増加させることもシェイプアップにつながります。特に、ダンベル体操はその利用法により普段使わない筋に刺激を与えることもでき、また軽運動であるため毎日実施することも可能であり筋重量の増加に効果が期待できます。
 




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