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ガイド、山頂付近で救助求めず 遭難事故、携帯は通話可(1/2ページ)

2009年7月19日3時0分

 北海道大雪山系トムラウシ山(2141メートル)の遭難事故をめぐり、パーティーのツアー客5人が悪天候や疲労で歩行困難となった山頂付近では同行したガイドらの携帯電話が通じる状態だったにもかかわらず、救助要請がないままツアーが続行されていたことが北海道警への取材でわかった。

 ツアーでは予備日は設定されていなかったといい、道警は、ガイドらが行程の遂行を優先して安全配慮を怠っていなかったか、危険性の認識があったか、旅行社側の指導や管理に問題がなかったかについて慎重に調べる方針だ。

 主催したアミューズトラベルによると、遭難したツアーはトムラウシ山や旭岳などを2泊3日で縦走する「やや健脚コース」。道警などによると、パーティーは遭難時、50〜60代の客15人とガイド3人という構成だった。ガイドのうち2人は今回のコースは初めてだったという。

 一行は16日午前5時半ごろ、宿泊していた避難小屋を出発した。昼前には山頂に近い北沼付近で女性1人が低体温症で歩行困難となり、ガイド1人が付き添うことに。さらに男女4人も進めなくなり、別のガイド1人が付き添った。このため、北沼付近には客5人、ガイド2人の計7人が野営することになったという。

 7人が残った場所では携帯電話は通話可能だったというが、この時点では救助要請をせず、ガイド1人と客10人の計11人がツアーを続行。11人はその後分裂し、5合目の「前トム平」ではガイドのそばに客は2人だけになったという。このガイドが携帯電話から110番通報したのは、北沼付近を離れてから約4時間後の午後3時54分だった。

 一方、北沼付近に残ったガイドも、野営を始めて約5時間後の午後5時前後になって、同社の札幌営業所に社長あてで「すみません。7人下山できません。救助要請します」「4人くらいダメかもしれないです」と切迫したメールを送信してきた。

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