近大付・田中大14K完全試合!高校野球大阪大会
堺東との今夏の初戦で完全試合を達成、笑顔を見せる近大付・田中大 |
◆ 左ひじの手術乗り越え快挙 ◆
その瞬間、1メートル66の左腕はマウンド上で小さな握り拳をつくった。9回、最後の打者を空振り三振に奪い、完全試合を達成。田中大は「“やってしまった!”って感じでした」とおどけて快挙を振り返った。
5回が終わり、1人も走者が出ていない状況にベンチがざわついても気にしなかった。「(完全試合を)狙っていけと言われ、ならばやってやろうと思いました」。7回に2三振を奪うなど重圧の中でも集中力は切れなかった。そして最終回。「正直硬くなっていました」と振り返るも、「腕は振れていた」。最速142キロの直球で押し通して14奪三振、外野への打球はわずか3本。非の打ちどころのない、137球だった。
昨夏は背番号12で主にリリーフとして活躍し、南大阪大会優勝に貢献した。甲子園では初戦の千葉経大付戦で敗れたものの1回1/3を無失点に抑えた。しかし、その時はベストピッチができる体ではなかった。
「昨夏の南大阪大会準々決勝、上宮太子との試合中です。“プチッ”て音がしたんですよ」
左ひじに違和感を覚えながら投げていた。そして10月に限界に達した。左ひじじん帯断裂−。投手生命を絶たれかねない大けがに、不安を抱えながら手術に踏み切った。
ノースローの間、走り込みとスクワットで下半身を鍛え抜いた。3月に投球練習を再開。夏に照準を合わせフォームを修正した。藤本博国監督(39)は桑田真澄(元巨人、パイレーツ)のような体全体を使ったフォームをイメージさせた。故障中に下半身をいじめ抜いたことで、リリースポイントを遅らせるフォームが完成した。
3回戦の相手は阿倍野。「今日のことを考えずに、次の試合に勝つこと」と一戦必勝で連覇を狙う。
全国高校野球選手権・大阪大会
[ 2009年7月19日付 ]
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