「それでは、緊急会議を始めます」

パーティメンバーが全員揃ったファルコン号の中。
議題進行役を引き受けたセリスが重々しく口を開く。

「まずは、問題点を経理のエドガー君お願いします」

そう言ってセリスはエドガーを指差し、説明を促す。

「…ああ、単刀直入に言ってパーティの資金が底を尽きかけている。
このままじゃ宿泊のため毎回サマサに行かなければならなくなるかもしれない。そこで、皆に対策を考えて欲しいのだが…」

セリスの口調の変化に戸惑いつつ、エドガーは簡潔に答える。
事前にこの事を知っていた者、今初めて聞いた者、反応はそれぞれだが船内はにわかにざわめき立つ。
少しの間近くの者と話し合う時間が過ぎ、ざわめく声が小さくなってきたところで、

「オルトロスさんに相談するというのは…どう?」

ティナが恐る恐る提案する。

「なんでよりによってアイツなんだよ…」
「だって、あの人(?)ならこういう時何とかしてくれそうだし…」
「奴は借金を抱えておるから、きっと役に立たんゾイ」

ストラゴスに冷静にたしなめられ、しゅんとなってティナは俯く。

「ジドールに、アウザーという富豪がいるらしいな…」

少し離れた所から会話を聞いていたシャドウが珍しく自分から発言する。

「そいつを暗殺して財産を奪うとか、脅迫するとか、方法は色々ある…」

そう言って手に持つ手裏剣をメンバーが囲むテーブル目がけて投げる。
手裏剣はテーブルの上に置いてあったリンゴを貫き、さらに受け皿を真っ二つに割る。

「う〜、ガウのおやつ…」

リンゴの持ち主はことさらにシャドウを強く睨みつける。一方のシャドウは、ガウの事をまるで相手にせず、セリスの方を見て判断を待つ。

「ガウ……」
「ほ、ほら喧嘩はやめろって!」
「ガウ殿、拙者の分のリンゴをあげるでござる!」

険悪な空気を察知してマッシュとカイエンが素早く割って入り、ガウをなだめる。

「うぅ…」

まだシャドウの方を見据えているが、2人の説得で何とか気が落ち着いたようだ。

「それで、この案はどうだ」

当のシャドウは気にする様子もなくセリスに問いかける。

「そうですね…それでは非常手段という事でこれよりジドールに向けて発進…」
「ダメッ!!」

セリスが決定を下そうとしていたところで、一人、大声で反対を唱えた。かつてアウザーの元で絵を描いていたリルムである。

「そんな事したらアウザーのおじちゃんがかわいそうだよ。
それに、おじちゃんには後で絵を描く約束があるんだから。そりゃ、外見はげげ〜、こいつがボスモンスタ〜?という感じだけどさ」
「(リルム…最後の一言は余計じゃゾイ)」

ストラゴスは心の中で突っ込みを入れた。
リルムに強く言われ、シャドウはいつものような無口の状態に戻ってしまう。

「そうだな…俺も人の財産を奪うのには反対だ。それではただの泥棒と変わりがないし、スマートじゃない」

エドガーがリルムに同調する。
だがその一言を最後に、ファルコン号内にやや気まずい沈黙が訪れる。

「他に意見はないのですか?」

沈黙を破るかのようにセリスが再び発言を促す。

「(セリスって、ノリやすい性格だよな…いつもと全然口調が違うぜ)」
「ロック、何か言った?」
「いや、何も!」

ロックは大慌てで否定する。

「チッ…しょうがねぇ、ここは俺が人肌脱ぐぜ」

これまで黙って座っていたセッツァーが椅子から立ち上がり、口を開く。

「何かいい方法があるのか?」
「ああ…まずはパーティが持っている金目のものを、必要最低限の装備を残して全部売ってくれ」
「でもそれじゃ根本的な解決にならないぜ?」

マッシュが途中で口を挟む。

「最後まで人の話を聞け。その金を元手にして俺がカジノに行ってくるんだ。3日で5倍にして帰ってくるぜ」

この発言にどよめきが走る。
セッツァーに全てを任せていいものかどうか…成功すればいいが、もし失敗すれば取り返しのつかない事になる。
それだけに、誰も即答する事はできなかった。
だが、少しの間下を向いていたセリスが顔を上げて

「…分かった。セッツァーを信じるわ」
と返答した。
その瞳に迷いはなく、セッツァーの事を仲間として完全に信頼していた。

「任せておけ。安心しろ、絶対に失敗はしないぜ」

セッツァーもまたセリスの想いに応えるように決意を新たにする。
こうしてセッツァーに一縷の望みを託して、4人分の装備を残してアイテムをほとんど売り払い、その金をセッツァーに渡した……



「…すまん、全部スってしまった」

きっちり3日後、セッツァーは頭を下げながらファルコン号に戻ってきた。
パーティはというと、もはや食費すら十分にまかなえず、徐々に食事が低コスト化していった。
セッツァーの吉報を待って船内でひたすら待機していたパーティはセッツァーの姿を見て歓喜し、そして報告を聞いて一気に落胆した。
しかしセッツァーは次の瞬間怒りの形相で顔を上げて

「くっそー、あのイカサマカジノめ、俺の目を欺けると思うなよ!!待ってろ、今すぐリベンジしてやるぜ!!」
「おい、カジノはもういいから…」

エドガーの静止も聞かずに再び飛び出していった。しかも、4人分しか残っていない装備を1つ持っていって…

「どうするのよ、ますます状況が悪くなったじゃないの!」

セリスが声を荒げる。

「あの時はセッツァーを頼るしかなかったんだから、しょうがないだろ。それに、あの時決定を下したのはセリスだろ!!」
「あ、あれは私が進行役だったから…」

エドガーが反論する。金のない焦りからか、声色にいつもの余裕はあまりない。

「…ん?そういえばエドガーはフィガロの王様だよな?フィガロ王国から金を出資してもらうとか、借りるとかはできないのか?」

ロックが思い出したように問いかける。

「ああ、それなんだが…」
「エドガー殿!!」

ロックの質問に答えかけたところで、カイエンが部屋から飛び出てくる。彼は今まで普段エドガーが経理をまとめている部屋にいたのだ。

「今パーティの支出を見て無駄がないか調べていたのでござるが、この途中でこんなものが出てきたのでござる!」

カイエンは手に紙切れを握っていた。全員の注目がその場に集まる。
その紙には、『125733ギル 確かに領収致しました』と書かれていた。

「これって…領収証だよな……」

しかも、ご丁寧に支払人が『ファルコン号ご一行様』となっていた。

「収支表にはこの分が書かれていないでござる。エドガー殿、これは一体?」

カイエンはごくごく純粋に疑問に思い、その気持ちをぶつけたにすぎないのだが、パーティ内の約半数はこれを聞いて目つきを変えた。
当の本人は、幽霊でも見たかのごとく震え、視線を彷徨わせている。
マッシュと目が合ったが、エドガーが喋り出すのを待っている様子で、手放しで救ってはくれそうにない。
しばらくして、スローモーな動作でゆっくりと言葉を紡ぎだす。

「…俺の機械の電力費とメンテナンス代だ」
「兄貴…なんでそんな事を……」

兄を信じていたかったマッシュが真っ先に聞き返す。

「それは…」
「王様なのに、横領していたのかよ?」
「つまり、今の貧乏はエドガーのせいなの?」
「ガッカリしたゾイ」

しかし答えようとしたところで周囲から野次が飛ぶので、反省しながら話し出そうとする気持ちが失せてしまった。

「お前ら、この前古代城でレベル上げするためフィガロ城を何度も潜らせただろ?
しかも俺に相談なしで。潜行しまくったせいで経費がかさんでフィガロも今大変なんだ」

いつもの高貴な振る舞いを忘れ、エドガーは早口でまくしたてる。

「日頃俺の機械が何で無制限に使えるか、考えた事があるのか?
フィガロで必要経費として落としているからだ。今はそれもできやしない。 だからパーティ内の資金を使うしかなかったんだ!」

顔を真っ赤にして怒りをぶちまける。
ここまでパーティの皆を責めるつもりはなかったが、 途中から『退けない』気持ちになってつい怒鳴ってしまった。

「もう分かったわ…」

ひと段落ついたところで、セリスがゆっくりと語りだした。

「セリス…」
「あなたの城なのに、勝手に何度も動かした私達も悪かったわ」
「いや…すまなかった、俺も取り乱したりして」

素直に謝罪されて、さっきまで大声で怒鳴っていた自分が恥ずかしく思えた。

「やっぱり、地道に魔物を倒して稼ぐのが一番確実かもしれないわね」
「そうだな…自分の罪滅ぼしのためにも、俺も戦闘に参加させてもらおう」
「そう、よかった。今は装備が3人分しかないから、エドガーは装備なしで頑張ってね」

エドガーの両手を握りながらセリスは言う。

「…はい?」
「それから、お金がかかるから機械は使用禁止ね。っていうか、今度使ったら次は機械を売り飛ばすから」

最大級の笑顔で微笑むセリス。

「(セリス…笑顔が眩しいよ……)」

こうして、経理係をカイエンに変更し、エドガーに機械禁止令を出す事でとりあえずは一件落着した…



その日は1日中戦い通してまあまあの稼ぎがあったので、数日ぶりに宿に泊まった。

「いてて…」

魔物から受けた痛みを全身に感じながら個室のベッドに倒れこむ。
装備のない状態で戦わされ、しかも他のメンバーが入れ替わっても

『エドガーは罪滅ぼしのために戦うと言ったから、まだ頑張れるわよね?』

とセリスが交代を許可してくれなかった。
おかげで何度も戦闘不能になり、よみがえってもすぐにまたタコ殴りにされて戦闘不能…その繰り返しであった。
その上、これまで機械一辺倒で戦ってきたため、魔力も魔法もあまり育っておらず、そちらの面でも活躍ができなかった。

「(もしかして、俺って機械がなければ役に立たないのか?)」

ふとそんな疑問が頭に湧く。 機械も使えず、装備も与えられなかったためまともに戦える状態でなかった事は分かっている。
だが、それでも今までリーダー格の存在として戦ってきたのに急に足手まといになってしまった事はエドガーにとっていささかショックであった。

と、少し考えていた時に、

「色男〜、いる?」

ドアをノックする音とともに元気な声が聞こえる。
エドガーの事を『色男』と呼ぶのは一人しかいない。 それでなくとも声で気付いていたが、エドガーはドアの前にいる人物が誰なのか察知した。

「ああ、今開ける」

エドガーは痛みの残る身体に鞭打って起き上がり、おぼつかない足取りで部屋の扉へと向かう。
だが、這いずるような遅さで動くエドガーに待ちきれなくなったのか、エドガーがドアに到達しノブに手をかけようとした瞬間、

「開けるよ〜」

という掛け声と同時に勢い良く扉が開け放たれる。
ちなみに、この部屋の扉は部屋の中から見て『引きドア』である。
バァン、という音とともにエドガーの顔面と扉が強烈な出会いを果たす。
今日1日重労働を強いられた一国の主は踏ん張る気力もなく、後ろに倒れ込む。

「わわっ、大丈夫?」

ドアの外にいた人物…リルムは急いでエドガーの元に駆け寄る。

「ああ、大した事ない…」

エドガーはそう言って立ち上がるが、先ほどのドアがよほど効いたのか、膝がガクガクと笑っている。

「疲れてるんでしょ?いーよ、寝てて」
「すまん…」

年下の少女に気を遣われるのは少し悲しいものがあったが、素直に好意を受け入れてベッドの上にうつ伏せに寝ころぶ。
一方のリルムは部屋に備え付けの椅子に腰掛けてベッドの上に倒れる青年に話しかける。

「今日は大変だったね」
「まあ…自業自得だけどな」

冷静になって考え直してみると、自分が情けなくなってくる。
パーティ内の資金を管理している立場を利用して無断で使い込むなんて……
切り出しにくかった事とはいえ、最初に相談しておけばよかった、と今になって思う。

「色男、セリスに使われて喜んでなかった?」
「そ、それはない!断じてない!!」

少し頬を膨らませて問い詰めるリルムに、エドガーは全力で否定する。

「ま、違うならいいんだけどさ」

リルムもそれ以上の追求はせず、あっさりとその話を打ち切ってしまう。

「(セリスに虐げられて喜んでいるように見えたのか、俺は……)」

だがエドガーにとってはそう見られたという事がいささかショックであった。

「でもね、あれはやっぱり色男が悪い!」
「ああ、分かっている…」

『あれ』とはもちろん自分が機械のためにお金を使ってしまった事だろう。

「領収書残しておくからいけないんだよ。証拠は消しておかなきゃ」
「……俺が悪かったのはそこなのかい?」
「じじいの金で新しいキャンパスやパレット買っても、リルムならうまくごまかせるよ。たまに失敗するけどね」
「…アハハッ、そうか」

真顔でそんな事を語るリルムがおかしくて、つい笑ってしまう。

「…元気、出た?」
「…えっ?」

予想外の一言に、思わず聞き返してしまう。
リルムの方を見ると、相変わらず無邪気な瞳のままだったが同時に返事を不安げに待っているようにも見えた。

「(もしかして、俺を励ましてくれたのかな)」

と、都合のいい解釈をしてしまう。
本当は、もうすでにかなり気持ちが楽になっていた。
これまでに辛い経験も数多くしてきたエドガーなら、後は自力で克服できるだろう。
だが、次に口を突いて出てきた言葉は、

「そうだなー、もう一息で元気になるかな」

言った後、自分で自分の発言に驚いた。
エドガーは今までもレディを口説く時は自分を良く…肉体的にも精神的にも強く見せようと努力していた。
そんな自分が、『もう一息で…』なんて甘ったれた事を女性に言うのは今までは考えられなかった。
そういえば、いくら疲れているからといっても、今も自分はベッドで寝たままでリルムと向き合っているのだ。
なぜリルム相手の時だけ自分はこんなに素のままでいられるのか、エドガーは不思議に思った。

「(…リルムは、俺にとって特別な……?)」

エドガーは自分の思考世界に入りかけたが、リルムの無邪気な声によって妨害される。

「それじゃ、リルムがレディ流に励ましてあげよっか?」
「ハハハ、それじゃお願いしようかな」

エドガーは軽い気持ちで承諾した。
似顔絵をスケッチでもしてくれるのかな、と思いながら。

「んじゃ、そこに座って」

言われるように気だるい身体を起こしてベッドの縁に腰掛ける。

「カッコ良く描いてくれよ」
「うん?今日はスケッチじゃないよ」

エドガーのズボンのチャックを開け、躊躇うことなくその中に手を入れる。

「お、おいリルム、何をする気なんだ?」
「だから、言ったじゃん。『レディ流に』励ましてあげるって」

リルムは喋りながらも手を動かすのを止めない。
そして目当てのものを探り当てるとそれを外に引っ張り出す。

「ふーん、これが色男の…」

不思議な物を見るような目つきで、エドガーの股間に生えてるそれを凝視する。
しばらく角度を変えながら眺めていたが、見るのに満足したのか一度顔を遠ざけて、右手で軽く握る。
ひんやりとした冷たい手の感触が直に伝わってくる。
そしてそのままゆっくりと擦るように手を動かす。

「ぅ、ぅぁ…」

声にならない呻き声を漏らすエドガー。
あまりの気持ちよさに、気を抜けばすぐにでも暴発してしまいそうな予感さえした。

そんなエドガーの心情を知ってか知らずか、怒張を握る力を少し強めて、スライドの速度も速くしていった。

「うわぁ、大っきくなってきた」

リルムは感心したような口調で、眼前で行われている男の生理現象を見守っていた。

「色男、もしかしてこういうの経験ない?」
「そ、そんなはずないだろう…」

そう答えつつも、声が上ずっている事は自分でも気が付いていた。

実際、エドガーは決してこの手の経験が少なくはない。
旅をしている時や王として各地を訪問した際にそこの女性と一晩限りの契りを交わす事も珍しくないし、侍女に夜の相手をさせた事も多い。
(職権乱用は好まないため、あくまで相手の同意を得た上で、だが)
だがそれでも幼い少女に股間を愛撫され、今まで感じた事のない快感と興奮に打ち震えていた。

「(いかん、何を動転しているんだ俺は…)」
「そうだ、今度コレスケッチしよ!」
「そ、それは勘弁してくれ!!」
「…じょ〜だんだよ」

優しく微笑んで、すでに先走りしている先端に軽く口付ける。

「…くっ!」

その瞬間、必死で堪えていた堰が切れた。
白い奔流が彼女のウェーブがかった髪や整った顔に次々と注がれていく。
リルムは陶然とした表情で灼熱の塊を受け止めている。
やがて勢いが衰えて、射精が止まる。

リルムは射精が止まるのを確認すると棒を握っていた手を離し、手についたベトベトを舐める。
手を舐め終わると厚手のズボンを脱ぎ、その下の下着も床に置いて、フィガロの若き王の前に幼い割れ目をさらけ出す。
顔中が白濁にまみれたまま、エドガーの顔をじっと見つめる。
その表情に年不相応な妖艶さを感じ、エドガーは眩暈がした。

「いいよ…」

視線を全く逸らそうとせず、顔を紅潮させてただそれだけを呟く。
すでに頭の中を何度も激しく揺さぶられたエドガーはこの一言に抗う事はできなかった。

エドガーは自分はベッドに座ったままでリルムを引き寄せ、膝の上にリルムを乗せる。
お互いが正面で向き合うような体勢になる。
リルムの股の間に手を通し、リルムの秘所を確認する。

「んっ…!」

エドガーの指がリルムの秘所に触れた瞬間、可愛い声が口から漏れる。
リルムのそこはすでに十分濡れてはいたが、エドガーのものを受け入れるにはまだ入り口の大きさが足りなかった。

「(そりゃ、年を考えれば当然の事だけど…)」

エドガーはしばらくの間思考し、そして結論を出した。

「リルム、これからやろうとしている事は分かるかい?」
「…うん」

リルムはコクッと頷く。

「でも、多分今は挿れる事はできないと思う」
「リルムが小さいから?」
「うん…多分ね。だから、今はまだ直接挿れないで、その…」
「つまり、素股って事?」

青年が言いよどんでいたところで少女はあっけらかんとその行為を意味する単語を口にする。

「…君はどこでそんな事を覚えてきたんだい?」
「レディにはレディの秘密があるんだから、深入りしちゃダメだよ」

レディの秘密では済まされない気もするが、言われる通り気にしない事にした。

「じゃあ…始めるよ?」

いつの間にか再び勢いを取り戻した屹立をリルムの秘部にあてがう。
さっきエドガーが放出した欲望の残りと、リルムの割れ目から流れ出すエキスが混合されていく。

気持ちが落ち着いたところで腰を持ってリルムの身体をゆっくりと上下させていく。

「んっ…くぁ………ぅぅ…」

お互いの秘部が触れ合い、擦れ合う。
挿入はしないが、それでも感じて欲しいと思い、擦るだけであってもリルムの性感帯をそれとなく探していた。
そしてそれを発見したら何度も繰り返し攻め上げていた。

「あっ……んぁ…ぅん…」

激しく全身が揺すられ、いつもかぶっている帽子が床に落ちる。
ブロンドの髪が広がり、やわらかい匂いがエドガーの鼻腔をくすぐる。

リルムの上着をたくし上げて、丸めて胸の上まで持ち上げる。
そこには、形の整ったピンク色の円が2つ並んでいた。

「可愛いね…」

簡単な感想を言った後小さな突起を指の腹で押したり、つまんで引っ張り上げたりした。

「ふぁん…んあぁ…」

その度に押し殺した声でメロディを紡ぐ。

「色男は…んんっ…セリスみたいに……ぁ…胸の…大きい方が、好み?」
「(…なんでセリスの名前が?)」

エドガーはその理由を考えてみたが、自分では結論を出せなかった。

「…いや、リルムみたいに小さいのだって好きだ」

質問の真意を探ろうとしたがやめて、率直にそう答えた。
答えるのに時間がかかったため怪しまれるかもしれないが、素直な気持ちを述べたつもりだった。
エドガーは背中をかがめてを自分の目線を下げ、膨らみをほとんど持たないサクランボがよりよく見える場所を探す。
そして機を見て、しこりを持ち始めてきた先端を優しく歯で噛む。

「きゃんっ!」

噛まれた瞬間リルムは全身をふるわせ、少女の汁の流量が増す。

「リルム…そろそろ出そうだ…」

ピンクの丸を噛んだ後元の体勢に戻ったエドガーは自分の絶頂が近い事を告げる。

「うん…いいよ、出して」

リルムも紅潮した顔で答える。
お互いの意思を確認すると、終わりの時に向けて一層動きを早める。

「う…っ、出る!」

エドガーの身体がふるえて怒張から2度目の奔流が流れ出す。
挿入はしていないので、灼熱は身体の上にかかっていく。
リルムの顔を汚したものが今度は胸や腹に注がれていく。

「んふぅ……はぁっ…」

恍惚とした瞳で男の欲望が自分の身体に着弾していくのを眺めている。
その様子を見ていてリルムも身体をふるわせて気をやってしまった。

やがてエドガーは全ての精を放出し終えると後ろに倒れてしまった。
リルムは一度エドガーの膝から降りて、精液を浴びた全身をぼんやりと見ていた。

息がおさまった所でエドガーは起き上がり、リルムの身体の掃除をしてあげる。
ティッシュで拭き取れる分は拭き取ったが、 服や髪にこびりついたのはぬぐう事ができなかった。

「悪いな…」
「ん…いいよ、髪の毛はシャワーで洗うし、服は替えがあるから」

その後も余韻に浸りながらのんびりとしていたが、

「じじいが心配するといけないから、もう行くね」

と言って立ち上がり服を整え直す。
準備が終わってドアノブに手をかけた所でエドガーの方を振り向き、

「この事は、絶対に話すなよ!話したらもうしてあげないからね!」

と、部屋を出る際に一言釘を刺した。
エドガーは話したくても話せないだろう、と心の中で思った。



その数日後、再びセッツァーが帰ってきた。しかも本人が言うにはイカサマを見破ったらしく、今度は大金を携えてきた。

「これでやっと元の生活に戻れる…」

パーティ内からも安堵の声が漏れる。

「セッツァー、信じていたわ!」

セリスが目を輝かせて言う。

「俺にかかればあれくらいのイカサマ、ワケないぜ!」
「その割には一度泣きそうな表情で帰ってきたくせに」

ロックが意地悪く言う。

「ま、でも、結果として元が取れたんだからいいじゃねえか」
「結果として、金の面は、な…」
「ん?なんかあったのか?」
「いや、エドガーが…」

ロックはこれまでの経緯を説明した。
エドガーがパーティの資金を使い込んでいた事、セッツァーがいない間も戦闘で稼いでいた事、エドガーは装備なしで戦わされていた事…

「そいつは災難だったな。まぁ、裏で自分の経費に当てていたんなら当然の報いだろうな」
「装備が足りなくなったのはお前のせいだろ…」
「で、でもさ、エドガーを見ていると…」

セッツァーは自分が責任追及されそうな気配を察し、半ば強引に話を方向転換させようとする。

「なんか、あまりお疲れじゃないように見えるんだが…」
「…ああ、それが不思議なんだよな〜」

ロックとセッツァーは揃ってエドガーの方を見る。
傍目からも高貴な出身と分かる立ち居振る舞い、気品をたたえた瞳。
全身に生傷が絶えないがそれ以外はかつてのエドガーと同じ…いや、前よりも自信に満ちている。

「ん?どうかしたのか?」

エドガーが2人の視線に気付く。

「いや…連日奴隷のようにコキ使われてたのに日増しに精気が増してるなぁ、と思ってさ」

この数日一緒に戦ってきた−と言っても、 他のメンバーと交代して休んでいたが−ロックはエドガーを見ていて素直にそう思っていた。
戦闘においてあまり活躍できなかったのは変わりがないが、
1日目は戦闘不能になる度何度も休ませてもらうよう頼み込んで(そしてセリスににこやかに却下されて)いたのが次の日から一転し、
決して弱音を吐かずに交代を申し出る事なく戦い続けた。

「何かあったのか?」
「も、もしかしてセリスに虐げられるあまりその道に目覚めたのか?」
「おいおい、そんな事あるか…」

エドガーは苦笑しながら否定する。

「だが、何かあったというのは正解だ。
口止めされているから詳しい事は言えないが、そうだな…見つけたといったところか。
砂漠の泉……いや、今はまだ湧き水と言う方が正しいか」
「………??」

独白にも似たエドガーの台詞を聞いて、ロックとセッツァーは要領を得ないといった顔をして互いを見合わせる。

少し離れた位置で、リルムがエドガーを方を向いて座っていた。
今の会話を聞いていたかは分からないが、先ほどと変わらない動作で一心に筆を動かしていた。

 


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