ハリウッド大作アクションで悪役デビュー。ニンジャ・アクションを華麗に披露!
イ・ビョンホンを香港で直撃!

ニッポンではおばさまたちに熱狂的なファンをもつ韓国のスター、イ・ビョンホン。見つめられただけでとろけそうだとか、あの笑顔にときめいてしまうだとか言うのはおばさまばかりで、その人気は一部限定ーーと決めつけていたが、何とこの夏、男子パワー全開のアクション映画、それもハリウッドの超大作「G.I.ジョー」に出演!しかも演じるのは最強の敵キャラで人気キャラ、忍者パワーを身に付けたストームシャドー!! そう、"誰も見たことのないイ・ビョンホン"を披露することになったのだ。「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」(公開中)で見せた究極の肉体美、テコンドーで鍛えた身体能力、そして実はペラペラ状態だった英語を生かして世界に殴り込みをかけた韓国イケメン・スター、イ・ビョンホン。そんな彼の最新の声をお伝えします!

この映画に出れば、僕がもらったものと同じものを誰かにあげられるんじゃないかって思ったんです

ー前からハリウッド映画に出たいという願望はもっていたのですか?

イ・ビョンホン「どうでしょうねえ...『G.I.ジョー』に関していうと、『甘い人生』でカンヌに行ったとき、ハリウッドのエージェントのほうからアプローチがあって、この映画に出てみないかと言われ実現したことなんです。インターナショナルなプロジェクトとしては『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』のほうが先でしたし、ハリウッド映画に出たいというより、いい企画があれば国籍は問わないという考えはありましたね」

ー『G.I.ジョー』のどういうところにひかれて出演を決めたのですか?

イ・ビョンホン「子供のころ、自分が映画からもらったもの...この映画に出演すれば、それと同じものを誰かに差し上げることができるんじゃないかって。つまり、子供が見る映画の多くはアクションやファンタジーで、幼いころの僕もそういう映画を見ながら新しい世界の存在を感じ取っていたんです。この映画は、そういう夢や希望を誰かに与えることができるかもしれない、なんて思ったのが出演理由でしょうか。ちょっと美化しているかな」

ーじゃあ、子供時代のあなたに夢と希望をくれたスクリーンのヒーローは誰だったんですか?

イ・ビョンホン「ブルース・リーとジャッキー・チェンですね。とりわけジャッキーのことはよく覚えている。というのも中学1年生のときにジャッキーの『酔拳』を劇場で見て、帰りに日記帳を買い、その最初のページに「今日は『酔拳』を見た。ジャッキー・チェンがかっこよかった。僕も彼のようになりたい」と書いたんです。その日記はまだ残っていて、ジャッキーと会ったときに話したら、すごく喜んでくれました」

英語には自信があったけど、コーチから叱られながらどうにかこなしたんですよ。自信が消え去りました(笑)

ーそれはすてきな話ですね。今度は、ことばのことを教えてください。ハリウッド映画というと、英語がネックになります。でも、あなたの英語は流暢で驚きました!

イ・ビョンホン「ありがとうございます。正直なところ、皆さんからも英語の発音がいいとよく言われていて、自信があったんです。ところが実際、演技をしながら、アクションをしながら英語のセリフをしゃべるとなると、その自信も消え去って。英語に気をとられると演技がおろそかになり、演技に気をとられると英語がおろそかになる。英語のコーチから叱られながらどうにかこなしたんですよ」

ーすごいアクションもこなしていますが、これもかなり特訓した?

イ・ビョンホン「子供のころからテコンドーをやっていて、身体が動きを覚えているので、アクションが難しいという感覚はあまりないんです。でも、剣術の経験はほとんどナシ。なので1カ月前にハリウッドに入り、剣術の特訓を受けました。ハリウッドのアクション映画というので、どういう撮影なんだろうと不安はありましたが、そのアクション関係スタッフの多くはアジア人。撮影のやり方も、規模の大小はあるとはいえ、思ったほど差はなかった。だから、あまり違和感なく仕事ができましたね」

レイ・パークのアクションはすばらしかった。共演も多かったのでとても仲良くなれました

ーあなたが闘うスネークアイズ役は「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」のダースモール役で有名なホンモノの武闘家レイ・パークです。

イ・ビョンホン「そうなんです。その1カ月、主に練習していた相手はレイなんですよ。彼は本当にすばらしくて、アクションに対する練習量や心構えがまったく違う。もちろん、アクションする姿も華やかで、僕はすっかりプレッシャーを感じてしまい、格闘技を得意とする韓国のチョン・ドゥホン(『相棒 シティ・オブ・バイオレンス』)さんに代わってもらったほうがいいのかも...なんて考えたほどで。やっとこなしたという感じですよ。レイとはいつもいっしょにトレーニングしていたし、共演シーンも多かったので、とても仲良くなれましたけどね」

ー撮影中に靭帯を切ったというウワサが

イ・ビョンホン「ああ、それは本当です。右膝の靭帯を切ったのですが、緊張していてその瞬間は気付かなかったほどでした。アクションを何度もやっているうちに、足が自由に動かなくなり『アレ?』って感じで。ラッキーなことに、その後、3週間くらいはアクション・シーンの撮影がなかったので、ゆっくり休養できました。実は、これにはおかしい後日談があるんです。僕はパラマウント社が紹介してくれた日本人の病院に行ったんです。ナースは僕に気づいて大喜びしてくれたんですが、ドクターは『本当に役者なのかあ?』と疑わしい顔をしている。で、そこにちょうど、僕の写真が載っていた日本の雑誌があって、『これ、僕です』と言ったら、やっと信用してくれました。おかげで治療もスムーズにいきましたよ(笑)」

ーあなたが上半身裸になっているシーンがあります。もしかして自分のアイデアで?

イ・ビョンホン「確かに、最初のスクリプトにはなかったことです。監督と最後のファイト・シーンをどうしようと話し合っているとき、ひとつのアイデアとして"服を破り捨てる"というのが浮かんで実現したんだと思いますよ」

ーということは、やっぱりあなたの?

イ・ビョンホン「いやあ、監督と話し合っていくなかで生まれたという感じで、誰のアイデアとは限定できないと思うんですが...」

ーただ、とても鍛えた肉体だったから、役者としては見せたくて当然かと。あのボディは「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」からキープしていた?

イ・ビョンホン「いや、『グッド・バッド・ウィアード』(8月29日公開)が最初で、そのとき身体を鍛えておいたのが次の『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』で役立ち、その次の『G.I.ジョー』でも役立ったという感じです。この3本はどれも大変な作品で、最後の『G.I.ジョー』のときは正直疲れ切ってましたね(笑)」

今後も韓国をベースに、国籍、ジャンルを問わずにいい話があればどこへでも飛んでいきますよ

ーこれからはハリウッドでも活躍したいと考えてますか?

イ・ビョンホン「もちろん、それもあります。でも、だからといって韓国を無視することなんてできません。僕の出発点はあくまで韓国だし、これからのベースもやはり韓国。いいお話をもらえたらどこでも飛んで行くというスタンスです」

ーアクション・スターとしても十分やっていけそうですよね

イ・ビョンホン「そうですか? ハリウッドにはシルベスター・スタローンやジャン・クロード・バン・ダムのような"アクション・スター"という役者が存在していますが、韓国ではそういう役者はあまりいないんです。役者というのはアクションもやればドラマもやる。コメディもやればロマンスもやる。韓国ではそういうものなんです。アクション・スターは毎日、身体を鍛えているでしょうが、韓国の役者でそういう人はあまりいないと思います。だからアクションに特化するつもりはまったくありません。いい脚本、いい監督、いい役者と組めるのなら、国籍はもちろん、ジャンルも関係ありません」

ーあなたは今年、40歳を迎えます。日本で40歳は"不惑の年"というくらい、ある意味特別なのですが、あなたは40を前に何か思うところもあってこの映画に出演したのですか

イ・ビョンホン「年齢に関して、あまり気にしたことがないんですよ。40歳とは思えないほど子供っぽいところもありますし(笑)。迷ったり、焦ったりする気持ちというのは、年齢に関係なく経験するだと思います」

●取材・文/渡辺麻紀 ●写真/中島正之

プロフィール

イ・ビョンホン

1970年、韓国、ソウル生まれ。1991年、TVドラマ「アスファルト 我が故郷」でデビュー。'93年、TVドラマ「明日は愛」で人気を集める。'95年、「誰が俺を狂わせるか」で映画デビュー。'00年、パク・チャヌク監督の映画「JSA」での演技が高く評価され、日本でもその名を広めた。翌'01年、チェ・ジウと共演したTVドラマ「美しき日々」が日本で韓流ブームに乗り大ヒット、韓流四天王のひとりとして絶大な人気を誇る。その後、映画を中心に活躍、CDもリリースする。日本ではトラン・アン・ユン監督、木村拓哉、ジョシュ・ハートネット共演の「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」が公開中。キム・ジウン監督、チョン・ウソン、ソン・ガンホ共演のエンタテイメント作「グッド・バッド・ウィアード」が8月29日公開

G.I.ジョー

8月7日 日米同時公開  パラマウント配給

1964年に発売されたアクション・フィギュアの元祖「G.I.ジョー」を基にしたアクション大作。1990年代、世界征服を企てる悪の組織"コブラ"は、最強のウイルス兵器、ナノマイトを使い、パリを破壊する。ナノマイトは、もともとがん細胞破壊のために開発されたものだった。アメリカ政府は、コブラ阻止のため、最強の国際機密部隊"G.I.ジョー"を送り込む。最新のVFXと生身のアクションを融合させたハイパー・バトルが展開、かつてはある師の兄弟弟子で、今は最大の敵となった因縁をもつG.I.ジョーのスネークアイズ(レイ・パーク)と、コブラのストームシャドー(イ・ビョンホン)の超人同士のバトルも見ものだ!

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