ここから本文エリア 来てあたしンち、名付けて「住み開き」2009年07月18日
自宅や個人事務所の一部を誰でも入れるように開放している人たちを訪ねるツアーを、大阪市のまちづくり団体が企画している。造園プランナーがつくった緑いっぱいの屋上の庭や、古本屋でアルバイトをしていた男性の「自宅古書店」など形態は様々だが「色々な人が気軽に入り、新たな出会いが生まれる場所にしたい」という思いは共通している。18日から。 大阪市中央区の市営地下鉄谷町四丁目駅近く。オフィスビルが立ち並ぶ中、一部だけ緑があふれる場所がある。造園プランナー山内美陽子さんの住む6階建てのマンションの屋上。ミモザやハーブ類、トマトやナスなど70種類の植物が並ぶ。「屋上は日当たりがいい。でも、水をやるだけでも大変です」と山内さん。 もともと、祖母が花壇や畑として使っていた。だが手入れが行き届かずに荒れ始め、雑草だらけになっていたところで山内さんが一念発起。町中での緑をとり入れた生活を提案する仕事をしていたこともあり、自分なりに植物をそろえた。 「空庭(そらにわ)」と名付けて飲み物や軽食を注文できるようにすると、口コミでうわさが広まった。いまでは6階の一室も開放し、ベランダに緑を並べて週2回カフェとして開くほか、希望があれば食事会や個展などのスペースとして貸し出している。 自宅に誰でも入れるようにすることに「抵抗はない」と山内さんは言う。「色々な人が来て、緑を楽しんでくれる。友人も増えました」。プライベート空間の開放については、「初めての店とか公の施設に比べると友達の家に行く感じで、知る人ぞ知るというスタンスがいいのかも」とみている。 ツアーを企画したのは、地域活動を続ける市民団体「應典院(おうてんいん)寺町倶楽部(くらぶ)・築港ARC project」。プライベートな空間を人が集まれる場所へ変える活動を「住(す)み開(びら)き」と名付けた。同プロジェクトのアサダワタルさん(30)は、「ギャラリーや公民館だと、来た人はその時だけの他人同士。でも『住み開き』スペースのような密な空間だと、来場者が仲良くなり、新たなつながりができるという魅力がある」と話す。 ツアーは18日から、山内さんの空庭のほか、自宅向かいの旧宅に「洞窟(どうくつ)」を再現した同市西淀川区の沢勲・大阪経済法科大教授宅や、元「ブックオフ」店員だった都島区の市川ヨウヘイさんの自宅の古本屋など、計5カ所を1日に1カ所ずつ見る。シンポジウムや体験イベントもある。定員があるため、事前連絡が必要。問い合わせは同プロジェクト(06・4308・5517)へ。
マイタウン大阪
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