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みんな善意でやっているという確信が強くなっている
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みんな善意でやっているという確信が強くなっている
Q:

フリーコンテントという方式も、ユーザーにすんなり受け入れられるかどうかは、オープンソースのライセンスのあり方を知っているかどうかは大きいですよね。その考え方がまったく理解できない人もいても不思議じゃないですよね。

今泉

たまにいらっしゃいますよ。「私の書いたものが、勝手に変えられてます」といって怒ってる人がいますから(笑)。
 最初の頃、集まり始めた人は、自分でホームページなどを作っていて、限界を感じた人が多かったんだと思いますね。たとえば、鉄道のホームページを作っている方ってたくさんいらっしゃって、でも、日本中の鉄道の駅について作るのは1人じゃ無理ですよね。それが、みんながコラボレーションすることによって実現可能だということに気づいた人が、わぁーと集まったのが、初期のウェキペディアだったと思いますね。

Q:

英語版はどうなんですか。

今泉

英語版のほうは、Nupedia という百科事典のプロジェクトが最初にあって、それをごそっと移行してきたところから始まっているんです。だから集まっている人も大学の先生とかですから、成り立ちからして違うんです。英語版以外は日本と似たような感じだと思いますけど。

Q:

そのほか、日本版の特徴ってありますか?

今泉

2ちゃんねるの影響がとても大きいですね。ユーザーが登録しようとしないんですよ。6割強が登録しないままのユーザーなんですよね。他の言語は、3割以下なんです。私は、英語版のほうも見ていたりするので、見比べているとちょっと不思議ですね。

岩瀬

ユーザー登録しても匿名には変わりないのに、自分でつけた名前も名乗りたくない、ということでしょうね。

Q:

それは、2ちゃんの影響なのか、日本人の特徴なのか……面白いですね。

今泉

英語版だと、本名そのものをユーザー名にしている人がけっこういるんですけど、日本語版だとほんとに一握りですね。メーリングリストを使いたがらない、というのは、そのあたりもあるんですよ。メールアドレスを知られるのが嫌でメール出さない。

Q:

なるほど〜。もうちょっと密なコミュニティがあると思っていました。

今泉

どういう方たちが来ているんですかと聞かれることがよくあるんですが、まったくわからないんです。住んでいる場所もわからないし、年齢もわからない。ユーザー名から推測すると、何が好きなんだなとかぐらいはわかることがありますけど、それ以外はさっぱりわからないですね。自分の場合を考えても、書く記事というのは、自分の本当の専門から外れているものが多いので・・。

Q:

それはどうしてですか?

今泉

本当の専門のことは書きづらい。知ってるが故に、百科事典で要求されるような概要的な話は書きにくい、ということもありますね。

Q:

ウィキペディアのニュース版ウィキニュースが、日本でも2005年の夏に始まりましたが、これはウィキペディアに比べて、記事を制作する時間が短いですし、運営もさらに難しいだろうと思うんですが。

今泉

ウィキペディアでは、情報を全部を突っ込むというわけにはいかないんですけど、ウィキニュースは、新しいことならなんでも突っ込む、という観点があるのでなんとかなっています。

Q:

今どのくらいの人が関わっているんですか?

今泉

50人いないですね。アクティブなのは4、5人で。

Q:

げっ。凄いですね。

今泉

英語版とかドイツ語版とかを参考に、翻訳とかで持って来れるので、思ったよりも活発に動いています。最初は、著作権関係が心配だな、と思っていて。トラブルを避けるために、記事が、どこかから転載されたていないかどうかをチェックする必要があるんですけど、新聞社のウェブサイトって、3日ぐらいで消えちゃうじゃないですか。その間に、転載があるかどうか発見して、排除しないといけない。これから、書き込む人が増えたら、日本語で書いてあるニュースサイトを全部クロールして、チェックするシステムが絶対必要だと思っています。

Q:

記事を作るのもたいへんですが、そういうチェックもとんでもなくたいへんな労力ですね。ウィキペディアもそうですが、そういうエネルギーはどうして生まれるんですか?

今泉

結局プロジェクトを守りたい、という気持ちですね。何か問題があって訴えられたら、こっちは1円も出せないわけですから。その心情がどこまで浸透しているかはわからないですが、参加者が増えて、人の目が増えることで、問題を発見する精度があがっていることは確かですね。
 今考えると不思議なんですが、プロジェクトがはじまって、記事が1000、2000、3000の頃は、転載はまったくなかったんです。それが1万を越えたあたりから、膨大な量が転載されるようになってきた。そうすると増えれば増えるだけ、見つける人も増えてきて。だんだん、普通の人がはいってきて、ル−ルなんかがわからないまま転載したりして。あんまり悪意で転載して、というのは少ないんです。いままで、3人か4人です。

Q:

それは凄いですね。ということは、ネット上の行動は、基本的に善意で行われている、と感じていらっしゃいますか?

今泉

それはそうですね。ウィキペディアの運営手法そのものがそうですから。基本的に善意で貢献するということでないと、どんどん改悪されていっておしまいなので。

Q:

しかし、コンセプトはそうでも、実際の体感として違う、という場合もありえるじゃないですか。

今泉

そうですね。最初はどっちかな、と思っていたんですが、やればやるほど、みんな善意でやっているんだなという確信が強くなっている方向ではありますね。

Q:

それが感じられるのは、やっていて楽しいことでしょうね。しかし、どうしてなんでしょう。締め付けとかがあるわけじゃないですよね。

今泉

記事をつくるのが大変だ、ということがわかっているからだと思うんですよ。自分で何か調べて、それを人に見せられる形に文章でまとめる、というのは、労力がかかってけっこうたいへんなことなんですよね。逆にコピーしてもってくる簡単さと、いい加減さもわかるんです。そういう人が集まっている、ということですかね。

Q:

なるほど。

今泉

ちゃんと自分で書いている人ほど、転載された記事なんかを見つけてくる確率が高いですし。自分で書いていると、ある記事が転載されたものかどうかが見るとわかるようになるんですよ。

岩瀬

あれ?と思って、特徴のある文章をグーグルかけると・・見つかる、みたいな。

Q:

それは、どうしてですか?

岩瀬

ウィキペディアの文体、というものがあって、そこから逸脱しているからわかる、ということですね。

今泉

百科事典文体というか、第三者的に冷めて物事を見ながら書く、ということがあって、どこかから転載してくると、ある主張に入れ込んだ書き方をしたものが多いんです。

Q:

そうすると、ウィキペディアは、百科事典の逸脱したスタイルは認めてない、ということですか?

今泉

逸脱した、という意味によりますよね。誰にでもわかる一般的な書き方がしてあって、第三者的な視点を持って買いてあれば、どんな内容のものでもOKなんです。内容的にはサブカルチャーも含んでいるし、もっとわけのわからないもののいっぱいありますし。日本の駅が全部あったりしますから(笑)。

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