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きょうのコラム「時鐘」 2009年7月18日
日本人の平均寿命がまた延びた。女性は24年連続で世界一、男性は4位。病気と闘う人もいるから、めでたさは中ぐらいか
97歳まで達者で活躍した人に取材する機会があった。長生きの秘けつを尋ねたら、80歳のころに作ったという自作の歌を教えてくれた。「もしや我(われ)死んでしまっていないかと今朝の新聞の死亡記事見る」 ああ良かったと安心して一日を始める、と笑った。どこまで本気なのか面食らったが、そんなひょうひょうとした心が、充実した老境を支え続けたのだろう 死亡記事の点検はさておき、一日の始まりに「もしや我」と、自問する心掛けは学びたい、と思った。もしや仕事を怠っていなかったか。友を傷つける振る舞いはしなかったか。もっとも、自問するのは簡単だが、その戒めをきちんと守るのは難事である。それができれば、長生きできるだろうが 政治家が巻き起こす騒々しさが、日ごとに増している。美辞麗句が飛び交っているが、せんじ詰めれば「もしや我、選挙に落ちたりしないかと」の心配に尽きよう。ご苦労なことである。果たして政治は長寿に向くのだろうか。 |