映画の脚本を出版物に収録しようとしたところ拒否されたのは不当だとして、脚本家の荒井晴彦さんと社団法人「シナリオ作家協会」(東京都港区)が14日、原作者で芥川賞作家の絲山(いとやま)秋子さんを相手取り、収録を認めるよう求め東京地裁に提訴した。
訴状によると、荒井さんは04年、絲山さんの小説「イッツ・オンリー・トーク」を原作に脚本を作り、05年以降、映画「やわらかい生活」として上映された。協会は07年と08年、脚本を1年間の代表的作品を集めたシナリオ集に収録しようとしたが、いずれも絲山さんに拒否された。
映画製作の際、映画会社と小説を発行する出版社の間で2次利用の許可を認める契約を締結しており、原告側は「(2次利用である)収録を認めないのは不当だ」と主張。収録を認めるよう求めたほか、損害の一部として2円の支払いも請求した。原告側は「金銭目的でないことを示すためで、対応が不誠実な場合は増額したい」としている。
絲山さんは04年「袋小路の男」で川端康成文学賞、06年「沖で待つ」で芥川賞を受賞した。【伊藤一郎】
絲山さんの話 訴状を確認していないのでコメントできない。
毎日新聞 2009年7月14日 20時37分