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足利工業大学の「風力エネルギー利用総合セミナー」2日目は環境保護と風力発電の関わりについての講演でした。
そのなかで,日本野鳥の会からの発表は,風力発電に反対であり,気候変動対策によって種の保全を考えるよりも,個々の野鳥が影響を受けることには反対であるという立場であることが明らかでした。
日本野鳥の会は,長期的に自然環境を保護し種を守るよりも,短期的に個々の野鳥を守ることしか興味のない団体であって,環境保護団体を自称していますが,実態は反環境保護団体なのかも知れません。環境「過保護」団体ではないかとおっしゃる方もいました。
風力発電だけが気候変動への対策でありませんが,重要な柱の一つであると認識されています。気候変動の問題は待ったなしの状況であり,直ちに対策を取らなければならないのに,それに対してほとんど何の対策も打ち出せないままで,この日も講演があったWWFや,紹介のあったアメリカのAudubon Societyと比べて,日本野鳥の会は何とものんびりしています(野鳥保護団体から,世界旅行に連れて行ってもらえれば反対運動は止める,という提案もあったことが報告されました)。
日本野鳥の会が主張している鳥類のバードストライクについては誤った認識や思いこみが多く,科学的な視点が欠けています。風車に限らず,建物や送電線,携帯電話のアンテナ(電波塔)など,構造物ができると,風車ロータのように動いていなくとも,そこに衝突する野鳥がいることが知られています。風車の翼ではなく,固定されたタワーに衝突する鳥も報告されています。そういった風車以外の構造物,自動車などによる影響も考慮しなければなりません。
唯一,日本野鳥の会から提案のあった建設的な意見として,このような風車↓を採用して欲しい,という提案がありました。
TMA, Global Wind Energy Systems
http://www.tmawind.com/
これは集風板を取り付けた,3枚翼のサボニウス風車ですが,このような風車は効率が低く,商業的に成り立つ可能性がほとんどないことが,過去の経験(痛い目にあったことも含めて)から知られています。
2004年のAIAA/ASMEの学会で論文発表をしており,風工学ではパイオニア的存在でもあるコロラド州立大学の流れをくむCPP Inc.で風洞実験を行っているいるようですが,風車の開発では風洞実験はあくまで参考であり,フィールドで実証されなければなりません。また,台風などの強風に対する強度などを考えると,日本ではさらに解決すべき点が多い風車です。
実現の可能性がほとんどないのに,「このような形式の風車が望ましい」と日本野鳥の会が会員に説いているとすれば問題です。風力発電業界でも福音を説いて回るエバンジェリスト運動を再開する必要があるのかも知れません。
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こんにちは
初めて書き込みします。
日本野鳥の会も、WWFとかAudubonくらいの潔さがあったほうが
いいですよね・・・
鳥を守ってるつもりで、人間を含む生態系全てに影響が出たら、どうする
つもりなんでしょうね。
風車の研究っていうけど、これを国のお金で研究してはどうかと提案していましたが、
こんなの無駄です。これでは意味はありませんよ。
2007/6/26(火) 午後 4:14 [ 元同僚 ]
元同僚さん,コメントありがとうございます。
申し訳ありません。最初の投稿のなかで,「3枚翼のサボニウス」という箇所が間違っていました。正しくは「2枚翼のサボニウス型に3枚の集風板が取り付けられた風車」です。
もとのウェブサイトではよく分からないのですが,論文の方に書かれていました。
2007/6/26(火) 午後 6:03 [ wei*_j* ]