52年7月、テレビ番組でニュースを伝えるクロンカイトさん=AP
【ニューヨーク=田中光】米国を代表するジャーナリストで米CBSテレビのニュースキャスターだったウォルター・クロンカイトさんが17日、ニューヨークの自宅で、脳疾患のため死去した。92歳だった。米メディアが一斉に報じた。米国のニュース番組の草分け的存在だった。
米ミズーリ州生まれ。第2次世界大戦時は通信社の記者として、ノルマンディー上陸作戦などを取材した。1950年にCBSテレビに移籍。62年に「イブニング・ニュース」のキャスターに就任した。
63年のケネディ大統領暗殺事件を涙を浮かべながら伝えたり、番組でベトナム戦争に反対だと述べて当時の政権に影響を与えたりと数多くの伝説が残る。エジプト大統領をはじめ世界の指導者にインタビューし、世論調査では米大統領を押しのけ、「アメリカで最も信頼される男」との評価を勝ち取った。
静かな語り口で知られ、番組の最後では「では、今日はこんなところです」(That’s the way it is.)が決まり文句。81年に引退した。
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オバマ米大統領は17日、「クロンカイト氏はその日の最も大事な問題に我々を導いてくれる信頼できる人物だった。この国は大切な友を亡くした」との声明を発表した。