2009年7月18日11時9分
民主党の立候補予定者がなかなか決まらなかった兵庫8区に新党日本代表の田中康夫氏が立候補の意向を固めた。迎え撃つのは元国土交通相で公明党前幹事長の冬柴鉄三氏。自公連立政権を引っ張った党幹部だけに関係者は「絶対に議席を渡すことはできない」と気を引き締める。
午前中、民主党の鳩山代表の虚偽献金問題を調査する衆院政治倫理審査会に出席した冬柴氏は、飛行機ですぐに地元入り。雨の中、自転車で約3時間かけ、80軒の支援者宅を回った。「去年の秋から続けていること」と淡々と語り、田中氏立候補にも「驚きも何もない。別に(民主党前代表の)小沢さんが来たっていいし」と笑顔で話した。
兵庫8区の民主候補は、様々な有名人の名前が挙がっては消えていた。自民党兵庫県連の五島壮幹事長は「若いフレッシュな候補よりは戦いやすい。大物相手でより一層選挙に力が入るだろう。我々も全力で支える」と話す。
冬柴氏は86年に初当選。中選挙区時代は社会党(当時)の土井たか子氏らと戦い、96年からは小選挙区で当選を重ねてきた。強固な地盤で8選をめざすが、田中氏の高い知名度は脅威だ。
公明党県本部の野口裕幹事長は「こちらは暴風雨の中の戦い。これまでで一番厳しい選挙になるだろう。連立与党としての実績を訴え、地べたをはうような選挙をする」と険しい表情をみせる。
一方、田中氏を推薦する見通しとなった民主党。地元の吉本誠県議は「著名人が来ることで全国の注目も集まる。小選挙区での勝利を目指したい」と意気軒高だ。
ただ、民主党兵庫県連の受け止めは歓迎一色ではない。杉尾良文副代表は「党本部が決定したのであれば真摯(しんし)に受け止めるが、民主党ではない田中氏の応援に県連内をまとめるのは厳しい」と漏らす。