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【社会】

ヤミ専従1237人処分 農水省 歴代次官らの責任不問

2009年7月18日 朝刊

 農林水産省の職員組合「全農林労働組合」が無許可で組合活動を行う「ヤミ専従」や、労働金庫などの役職を兼務する「ヤミ兼業」をしていた問題で、同省は十七日、当事者の組合役員とその上司ら計千二百三十七人を処分すると発表した。全農林のストライキで三万人以上を処分した一九八五年以来の大量処分で、組合活動をしていた職員が不当に得た給与総額約二十五億円の返還も求める。石破茂農相は「深くおわびする」と陳謝した。 

 処分の内訳は、停職二十三人▽減給百十四人▽戒告二百八人▽訓告四百四十八人▽厳重注意百九十五人▽口頭注意二百四十九人。

 このうちヤミ専従については、一日七時間以上の常習者二十三人を停職一カ月、四〜七時間の七十四人を減給二カ月(十分の二)など。常習者の上司や労務管理担当者、所属する農政局長、農政事務所長ら計三百九十五人は戒告や訓告とした。

 昨春実施した調査を隠ぺいし、報道機関に改ざんした資料を渡した松島浩道前秘書課長は減給三カ月(十分の二)、西浦博之前同課調査官は同一カ月(十分の一)。

 前秘書課長らの監督責任として、井出道雄次官と佐藤正典官房長に一カ月分の給与の十分の一を自主返納するよう求めた一方、歴代の次官、官房長については「実態を知らなかった」(今城健晴秘書課長)として不問にした。

 このほか、総務省の指示で今年五月に行った調査で、短期間や一時的なヤミ専従を認定した三百十六人を訓告や厳重注意にした。

 ヤミ兼業では、勤務時間中など許可対象外の兼業で報酬を得ていた百三人を訓告、許可対象だが無届けで兼職して報酬を得ていた二百七十人を口頭注意とした。

 また、同省は、ヤミ専従によって組合役員が不当に得た給与が約二十五億円に上るとの見通しを公表した。利息を上乗せして対象者五百十四人に返還を求めるとした。悪質なケースは刑事告発も検討する。全農林は、対象者に代わり全額返済する方針を示している。

 

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