大和撫子アスカちゃん!
書いた人:しおしお
絵を描いた人:Yan
第1話「アスカ嬢、来日する」
今から100年前って……。日本人の生活形態って結構かわっているらしい。
今よりも通信が発達しているわけでもなく、電気だって完璧に有るわけじゃない。
交通だってそんなに良いはずは無い。
今は2015年。
そう、そんなのって見る機会は無いんだよ。
だってエヴァに乗ってると、無縁に思えるんだよね。
一台の輸送用ヘリコプターが海原の上を飛んでいる。
そのヘリコプターにはパイロットと、少年3人と、成人女性が乗っている。
ジャージ姿の少年は嬉しそうに、メガネの少年は嬉しさが増しているのか落ち着きが無い様子である。
そして、もう一人の少年は肘を窓枠に乗せて頬杖をつき、ボケーッと外を見ていた。
あれがセカンドチルドレンさんのいる戦艦かあ…。
大きいなあ……。
セカンドチルドレンさんってどんな人なんだろう。
ミサトさんは、くわしく話してくれないし…。
少年は引率についている成人女性…ミサトの背中を見ながら溜息をつく。
その気配に気付いたのか、ミサトは少年の方を振り向く。
「シンジくん、どうしたの? 緊張で溜息が出ちゃったのかな?」
「そうじゃないですけど…」
「まあ、大丈夫だって」
「そうですか?」
「そうそう、何も心配する事は……無いわよ……」
「なんで言い淀むんですか?」
シンジはミサトの話に何処か引っかかるものを感じる。
しかし、これ以上詮索しても仕方無い事に気付く。
ヘリコプターでの会話は、それ以上無かった。
シンジの考えを余所にヘリコプターは戦艦に降り立った。
ヘリコプターから降りた少年達は、ミサトの後ろをついて行くように歩く。
ミサトは何か探しているようにキョロキョロと辺りを見ている。
その様子を疑問に感じたのか、シンジは離しかける。
「ミサトさん。何か探しているんですか?」
「ん〜。アスカを捜してるんだけど…。甲板に来てないわね」
海風が吹き荒れる。
ふと、シンジは風が吹いた方向を見る。
その方向には人影が見て取れた。
そして、シンジが見たのを待っていたかのように人影が近づいてくる。
人影の正体は一人の少女だった。
シンジはその少女の風貌に驚く。
その少女はピンク色の着物に藍色の袴姿。そして、紅茶色の髪は赤いリボンで束ねられている。
シンジは、記憶の隅を突つきながら思い出そうとしていた。
あ、ああ言うのって……。
確か、大正時代の女学生とか言うスタイルじゃ……。
な、なんかサクラ吹雪が舞ってそう……。
でも、可愛いな。
瞳が蒼いけど……。やっぱりガイジンさんだよね……。
それにしても変わった格好だな……。
この娘の趣味なのかな?
少女はボケーっと見ているシンジの前に立つと会釈をする。
シンジは慌てて会釈し返す。
そしてミサトの前に立ち、挨拶をする。
外国人と思われた少女は流暢な日本語を口にする。
「お久し振りです。葛城さん」
「久し振りね〜。相変わらず変わってないみたいだけど…」
「そんな、成長はしていると思いますけど…」
ミサトはこの時別の意味で変わっていると言いたかったのだが、少女には通用しなかった。
こめかみに汗を掻きながら、シンジに少女を紹介する。
「ま、まあ良いわ。シンジくん。この娘がセカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレーよ」
「は?」
シンジは、ミサトの言葉に思わず一言だけ声を上げる。
ミサトの紹介で、セカンドチルドレンであるアスカが名乗る。
「シンジさん……。サードチルドレンの碇シンジさんですね」
「あ、は…はい…」
「初めまして。わたくしはセカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレーです」
「き、君がセカンドチルドレンの…そ、惣流さん?」
「はい。宜しく御願いします」
「こ、こちらこそ……」
アスカが再び会釈をしたので、シンジは慌てて会釈をしなおす。
そのとき、突風がオーバー・ザ・レインボゥの上を走りぬける。
「きゃあ!」
アスカはバランスを崩して、シンジに寄りかかる。
シンジもアスカが寄りかかって来た為に、思わず抱きとめる。
「だ、大丈夫ですか?」
「……」
「あ、アスカさん?」
シンジは返事をしてこないアスカを心配して、声を裏返しながら問いかける。
アスカは顔を真っ赤にしてシンジの腕の中に収まっていた。
「は、はい! 大丈夫です。御心配をおかけしました」
慌てた様にアスカはシンジの腕の中から脱出した。
「良かった」
「こ、こちらこそ……。アリガトウございます」
アスカはシンジの顔をまともに見る事が出来ず、伏せたままで礼を言う。
そんな二人のやり取りに飽きてきたミサトは、声をかける。
「あの〜。仲が良いのは判ったから。戦艦のブリッジに上がりたいんだけど…」
「あ、これはその……み、ミサトさん…」
シンジは慌てた様子でアスカから離れる。
アスカは先ほどから顔を伏せたままたっている。
「はいはい。シンちゃん羨ましいわね〜」
「み、ミサトさん…」
しかし、惣流さんって……一体……。
変わった格好をしていると言う印象しかないなあ……。
ブリッジに上がる時、後ろを振り向くと2,3歩あいだを空けて惣流さんが歩いてきた。
僕が立ち止まると惣流さんも立ち止まる。
「あの、惣流さん。先に行かないんですか?」
「いいえ、お構いなく。碇さんの方こそ、お先にどうぞ」
「はあ……」
惣流さんに言われるままにブリッジを上がる。
既に、ミサトさんやトウジ達は先に上がっている。
惣流さんの格好を疑問に思いながらもブリッジに上がる事にした。
ブリッジにて、ミサトさんと艦長さんとのいざこざと言う言葉が似合うやり取りがあった。
そして、戦艦の食堂にて軽く昼食をとった後、惣流さんが僕達の前に現れた。
「あの…碇さん。ちょっとよろしいでしょうか?」
「はあ…」
惣流さんに誘われるままに、先ほどの船とは違う船に移動した。
「惣流さん。ここに何があるんですか?」
「エヴァンゲリオン弐号機が格納されているんですよ」
「弐号機が?」
「ええ、その前にお茶会しましょう」
「はい?」
数分後、甲板には赤いじゅうたんのが敷かれ、2つの座布団に大きな赤い傘が置かれた。
「あの……お茶会って?」
「こうしてお茶をたてることですよ。碇さんは、なさらないのですか?」
「僕は、そう言うのしたことないから…」
「そうなんですか? 日本の方は、こうしてお茶を飲むのではないのですか?」
「ん〜。ちょっと違うような気もするけど」
「そうですか?」
惣流さんは、お茶が入っているであろう器を僕に差し出した。
「粗茶でございますが……。どうぞ」
「あ、はい…。いただきます……」
僕は惣流さんが差し出してくれた器を両手で持ち上げて、口へ運んだ。
う、にがい……。
それしか感じることは出来ない。
だって、本当に苦いんだよ。
「どうですか?」
「あ、うん。美味しいよ」
「本当にそうですか?」
「う、うん……。美味しいよ」
「そう、良かった」
ふう、勘弁してよ。惣流さんって何者なんだよ〜。
シンジが器を床に置いた時、器の中に残っているお茶に波紋が出来た。
しかし、シンジもアスカもそれに気づく様子は無かった。
「御口直しにお菓子をどうぞ」
「あ、ありがとう……」
アスカはシンジに何処で手に入れたのか、羊かんを差し出していた。
シンジは苦くなってしまった口の中へ羊かんを放りこんだ。
「ふふ、はやり苦かったのですね」
「え?」
「だって、そんなに急いで食べているんですもの。苦いに決ってますね」
「あ、いや…。その……ゴメン…」
「良いですよ。そんなに謝られると困りますわ」
アスカとシンジのやり取りが続いている間も、シンジが置いた器の中のお茶の波紋は広がりを見せる。
そして、大きな波紋がひとつ出来た時、大きな水柱が穏やかなはずの海面に出来あがる。
「なんだ! あれ!」
自体の異常さに気づいたシンジは、手すりにかけより、水柱が上がった海面を見やる。
アスカもそれに続くようにシンジよりも一歩下がった位置で海面を見る。
「使徒だ…」
「あれが使徒……ですか」
「大変だ。何とかしないと…」
「私のエヴァンゲリオン弐号機で使徒を殲滅しましょう」
「え? 惣流さんのエヴァで?」
「はい…出しましょう」
「あ、あの…碇さん…」
「え? 何?」
「あの……ここで待っててもらえますか?」
「う、うん。判ったよ」
「ぜ、絶対に……み、見ないで下さい」
「う、うん。見ないから…」
アスカは階段の踊場で、プラグスーツへと着替え始める。
そこから、階段を上がった踊場でシンジはアスカの着替えを待っている。
シンジは遠くに聞こえてくる使徒と戦艦が激突している音よりも、アスカの着替えている音に耳の神経を集中させている。
そして、14歳の少年なら致し方ないと言わんばかりに興味が音から映像へと変化していった。
見るなと言われれば、見てしまうのが人としての悲しいサガ。
シンジは、音をなるべく立てないようにアスカの着替えを覗き見る。
シンジの視界に飛びこんできたのは、下半身を既に真っ赤なプラグスーツの中に入れているアスカの姿である。
しかし下半身を入れているだけなので、上半身は当然の如く裸である。
シンジは頬を真っ赤にして、アスカの白い背中を見ている。
すると後ろに眼があるわけではないのだが、妙な気配を感じたアスカは後ろを振りかえる。
シンジは仕舞ったと思い、慌てて頭を引っ込めたが、その姿がアスカの視界は捕らえていた。
「きゃぁぁぁぁ!!」
シンジの耳をつんざくような奇声が階段に響く。
アスカは顔中を赤くし、何事かを呟きながら、プラグスーツに残った上半身を入れる。
「見られた…。殿方に裸を見られた……」
シンジに裸を見られた事がショックなのか、アスカはしきりに「見られた」と言う単語を繰り返す。
「ああ! ……と言う事は、わたくしは碇さんのお嫁さんにならないといけないのね…」
アスカは違う意味で心を固めてしまったのか、顔を引き締まらせながらプラグスーツをジャストフィットさせる。
「あ、あの…。惣流さん」
話しかけるシンジに対して顔を伏せてアスカはビニール袋に入ったプラグスーツを差し出す。
「こ、これは?」
「あ、あの……。一緒にエヴァンゲリオンの中に入ってくれませんか?」
「え?」
「とにかく着替えてください。…待ってます」
アスカは、顔をシンジに見られないようにしながら、エヴァンゲリオン弐号機が格納されている場所へ走っていった。
アスカはシンジにプラグスーツを渡すと駆出した。
「え〜っと、このプラグスーツをどうすれば良いんだろう……」
その場に残されたシンジは、プラグスーツを見つめているだけである。
眺めていても、使徒が暴れている音が遠くに聞こえる。
その音を聞いて、悩んでいる暇はないと、慌てるようにシンジは学生服を脱ぎ出した。
「着替えたけど……。これって、惣流さんのプラグスーツを着てどうするのさ」
「わた、わたくしの闘いを見ていて貰えますか?」
「へ? その為に?」
「それもありますけど、碇さんをここに残したままよりはエヴァンゲリオン弐号機の中の方が危険度は低いかと……」
「そっか……。危険度……って急がないと、使徒がここに来ちゃうよ」
「まあ、それは大変です。急いで、こちらへ」
「さあ、座席へどうぞ」
「え? ちょ、ちょっと、弐号機のパイロットは惣流さんでしょ?」
「そうですけど、殿方に席を譲らないのは…」
「そう言う問題じゃないよ。操縦するのは、惣流さんなんだから、惣流さんが座ってよ」
「は、はい……。碇さんが言うのであれば……」
アスカは、ちょこんと座席に座る。
アスカから見て、左後方にシンジは場所をとる。
「碇さん。大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
「それでは、LCLを注入しますね」
「LCL注水します」
アスカが言うと、LCLがエントリープラグ内に注ぎ込まれ始める。
シンジは数えるほどしか体験してないので、この状況はいつも心臓をドキドキ鳴らしながら満水になるのを待ちつづける。
それに対するアスカは、慣れたもので、LCLが満水になるまで待ちつづける。
満水になると同時に、口を開き、起動の手順を踏む。
「それでは、準備は宜しいでしょうか?」
アスカがエヴァンゲリオン弐号機を起動させると、シンジに了解を得ようとする。
シンジは、何も言わずに頷く。
弐号機が起動すると同時に、使徒がタンカーにぶつかってきた。
間一髪の所で、弐号機は別の戦艦に飛び移った。
「そ、惣流さん……。艦首踏んでる……」
「え? ああ〜、申し訳ありません。済みません」
「惣流さん。謝ってる暇無いですよ。来まよ!」
「え?」
水しぶきを上げ、使徒は弐号機が立っている戦艦に突っ込んでくる。
それを回避するように弐号機は、別の戦艦に飛び移る。
「ゴメンナサイ、済みません。申し訳ありません……」
アスカは繰り返し呟く。
「惣流さん、さっきの戦艦に行けば……。確か予備の電源ソケットがある筈だよ…」
「は、はい…」
弐号機は、なんとかオーバー・ザ・レインボゥにたどり着く。
そして、電源ソケットを掴むと、背中の差しこむ。
すると電源の表示が外部に切り替わり、活動時間を気にする必要は無くなった。
アスカは左肩収納部分から、プログナイフを取出す。
取出されたプログナイフを見たシンジは声をあげる。
「このプログナイフって……小刀?」
「ええ、この方が使いやすいので」
「そ、そうなんだ……」
弐号機は右手に握られた小刀型のプログナイフを構える。
そして、弐号機を追いかけるように使徒は甲板上に飛びあがってきた。
「えい!」
アスカの掛け声と共に、小刀型のプログナイフを使徒の腹に付きたてる。
そして、使徒は飛びあがった勢いで付き立てられた部分の傷口が広がる。
使徒は叫び声を上げながら、再び海へと飛び込んでいった。
「手応え、無いですわ」
「手応え無かったの?」
「ええ、今のはお腹の皮を少しだけ傷つけただけですわ」
「判るの?」
「ええ、魚をさばいてますと感覚が身に付いてしまったもので」
「魚さばけるんだ」
「はい……。勉強しましたから」
シンジに感心され、アスカは顔を赤くして返事をする。
しかし、そんなムードを壊すように使徒が再び弐号機に突っ込んできた。
アスカも油断をしてたためなのか、使徒にあっさりと海中へ引き摺りこまれてしまう。
「B装備だと、危険過ぎるよ。上にあがった方が……」
「無理ですわ」
「え?」
「使徒は待ってくれないみたいですわ」
アスカが正面モニターを睨むように見ると、そこには突っ込んでくる使徒の姿が見られた。
「ナイフは?」
「先ほどのやりとりで、甲板の上に……」
「それだと、丸腰ですよ。動かせないんですか」
「動かせないみたいです……」
「そうなの……?」
シンジが言うと共に、使徒が口を開きながら近づく。
弐号機は、あっさりと使徒に捕獲されてしまった。
捕獲された時の衝撃でアスカは弐号機の操縦レバーから手を離してしまった。
「くそっ!」
「え?」
シンジはたまらず、弐号機の操縦レバーを身を乗り出すように掴む。
そのとき、シンジの手がアスカに触れた為に顔を赤くして、その様子を見る。
「惣流さん。これ、うご……。惣流さん?」
「あ、わ……わた……。その…」
シンジが話しかけてもアスカは顔を真っ赤にするだけで、会話が成立しない。
それどころか、手を顔に当ててシンジの方を見ないようになってしまった。
「そ、惣流さん?」
「わ、わたくし……。その…恥かしいです…」
「いや、そうじゃなくて……」
「ひや、ひや……。あの……」
アスカの口から出るのは、単語にもなりそうに無い言葉だけである。
アスカは恥ずかしそうに顔を赤くして、口をパクパクと何度も言葉を発しようとしても、まともな言葉は出ない。
その様子にシンジは困り果てた顔をしながら、必死に操縦レバーを動かす事に集中する。
アスカも恥ずかしそうにしてたものの、シンジの必死の様子に黙って様子を見守る。
そして、ミサトの発案により、使徒へのゼロ距離射撃が計画される。
それを聞いたシンジは、さらに操縦レバーに入れていた力を更に入れる。
しかし、シンジの思いとはうらはらに、弐号機は動こうともしない。
「くそっ! 動け! 動け!」
シンジは、何度も動かそうとしても反応を見せない。
しかし、シンジの手の上にもう一つの手が重なる。
シンジは、その手の持ち主に振り向く。
そこにはアスカは顔を真っ赤にしながら真剣な顔をしていた。
「そ、惣流さん?」
「わ、わたくしも……やります!」
「うん!」
アスカとシンジはお互いに意識を集中させる。
そして、思いが通じたのか、弐号機は重い荷物がなくなったように両腕を大きく動かすと、使徒の口を開いた。
その口へ戦艦が突っ込み、作戦は見事に成功を収めた。
その爆発の衝撃から、海面へ投げ出された弐号機は、オーバー・ザ・レインボゥの甲板になんとか着地する。
エントリープラグの中でアスカとシンジは疲弊し切ったような表情を見せ、肩で息をする。
「ははは、なんとかなったね」
「そうですね。よかったです」
シンジは苦笑いを浮かべながら、アスカに話し掛けた。
アスカも同じ様に、苦笑いを浮かべながら返事をした。
しかし、アスカは何かに気づく。
それはシンジが身を乗り出し、操縦レバーを握る為にアスカのひざの上に体を置いている状況である。
「あ、あの……」
アスカは再び口をパクパクさせながら、顔を真っ赤にしてしまった。
「え? あ、ご、ゴメン…」
アスカの様子に気づいたシンジは慌ててアスカのひざの上から離れる。
シンジも何故か顔を真っ赤にして、アスカが座っている場所とは別方向を見やる。
エントリープラグで二人きりと言う状況に、今更ながら気づいたアスカは、胸に手を当てながら気持ちを落ちつけようとする。
そして、沈黙を無くそうとシンジに話しかける。
「あ、あの……使徒との闘いってこんなにもつかれるのですか?」
「ははは……。まあ、そうかもね…」
「これからも、続くんですよね」
「う、うん。これからも続くよ……」
「そ、そうなんですか……」
会話が途切れてしまい、再び沈黙がおとずれた。
今度はシンジの方が話しかける。
「あ、あのさ、惣流さん」
「は、はい……」
「これからもよろしくお願いできるかな?」
シンジの言葉にアスカは晴れやかな表情をみせると、シートから身体をだして、後ろを振りかえった。
そしてニコリと微笑むと、返事をする。
「はい、よろしく御願いしますね」
「うん。よろしく」
<第1話おわり>
(2001年11月19日発表)