2009年7月17日11時17分
西松建設から民主党の小沢一郎前代表側などへの違法献金事件で、東京地裁は17日、政治資金規正法違反(第三者名義寄付)などの罪に問われた同社元社長の国沢幹雄被告(70)に対し、禁固1年4カ月執行猶予3年(求刑禁固1年6カ月)の有罪判決を言い渡した。山口雅高裁判長は「被告人は、政治資金の収支を透明化することで政治活動の公明と公正を確保しようとした法の規制をことさら免れた」と非難した。
小沢氏側への違法献金の目的については、判決は「岩手県と秋田県が発注する公共工事を談合で受注することを実効的にするため、受注業者の決定に強い影響力を持っていた小沢氏の秘書らと良好な関係を築こうとした」と指摘。ゼネコン談合組織の本命業者の選定に対する小沢氏側の影響力を認定した。
また、西松建設から小沢氏側への献金総額は97〜06年に計1億3800万円に上り、その大半が「実体のない政治団体の名義で行われた」として、西松建設OBが代表を務めていた二つの政治団体のダミー性を認めた。
小沢氏側への献金をめぐっては、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設第1秘書の大久保隆規(たかのり)被告(48)が、実際には陸山会と民主党岩手県第4区総支部を受け皿に03〜06年に西松建設から計3500万円の献金を受けたのに、政治資金収支報告書にはダミーの政治団体からの寄付だと偽ったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で起訴されている。大久保秘書は起訴内容を全面的に争う姿勢を示している。
一方、西松建設が二階俊博経済産業相側のパーティー券をダミーの政治団体名義で購入した点について、判決は「西松建設からの支払いであることを公表されないようにする以上の背景をうかがうことができない」とした。
そのうえで、小沢氏側への献金は、特定の公共工事の受注の見返りとして行われたものではないことや、元社長が自ら架空の政治団体の利用を発案し、主導してその仕組みを構築したのではないことなどを考慮。執行猶予が相当とした。