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【神奈川】

『一方的な乱暴判決』 日の丸・君が代訴訟 原告、怒りあらわ

2009年7月17日

厳しい表情で判決を批判する原告弁護団代表の大川隆司弁護士(左から2人目)ら=横浜市中区で

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 公務員には日の丸・君が代への起立斉唱義務がある−。県立学校の教職員が、入学式や卒業式で日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱する義務がないことの確認を求めた訴訟で十六日、横浜地裁判決は原告の主張をことごとく退けた。原告団は「起立斉唱の強制を望まない国民の常識から懸け離れている」と怒りをあらわにした。 (岸本拓也)

 「われわれの主張への判断を一ミリも反映していない判決に激しい怒りを感じる」

 判決後の会見で、原告弁護団の神原元弁護士は強い口調で判決を批判した。判決では、起立斉唱命令が国旗国歌への「敬意」の強制にあたるとした原告の主張への具体的判断は示されなかった。

 また、判決は「教員が起立斉唱に従わないと、来賓や保護者に不信感を抱かせ、対外的な信用を失墜させる」と指摘。原告弁護団代表の大川隆司弁護士は「一方的価値観でしか物事を見ない乱暴な判決」と述べた。

 県教委は二〇〇六年春から、起立をしない教員の氏名収集を始め、県の審議会などで二度も不適当との答申を受けても続けている。原告団長の三輪勝美さんは「力による支配で、教育現場が負のスパイラルに陥っている。高裁で、個の思想信条が尊重される判決を勝ち取りたい」と話した。

◆『粘り強く指導する』 県教委

 「国歌斉唱時の起立は国際的なマナー」とする県教委。十六日の横浜地裁判決はほぼ、この主張通りだった。

 かつて県内では、卒業式で君が代を斉唱しない県立高校がほとんどだった。しかし、国旗国歌法成立後の二〇〇〇年には100%に。以降、不起立教職員への「指導」を強めてきた。

 〇四年には、県教育長が、県立学校の校長に、入学式・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱の指導を徹底するよう通知。指示に従わない教職員には「服務上の責任を問い、厳正に対処していく」として懲戒処分も示唆した。

 ただ、県教委は取材に対し、「処分は具体的には検討していない。粘り強く継続的に指導していく」としている。 (中沢穣)

 

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