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殺人の時効廃止を示唆 法務省勉強会が最終報告(1/2ページ)

2009年7月17日15時1分

 凶悪・重大事件の「公訴時効」の見直しについて、森法相は17日、「生命を奪った犯罪のうち、法定刑の重い罪の時効は廃止し、それ以外は期間を延長するのが相当」とする法務省内勉強会の最終報告を明らかにした。対象となる罪名は明示していないが、最高刑が死刑にあたる強盗殺人や殺人は廃止、それよりも軽い傷害致死や危険運転致死は延長とする可能性を示唆する内容だ。

 法務省が見直しの方向性を示したのは初めて。勉強会を立ち上げた森法相の下で一定の結論は出した形だが、政権交代の可能性を踏まえて方向性は大まかなものにとどまった。今後、廃止・延長とする罪の範囲や延長の年数などはさらに検討が必要としており、法改正の前提となる法制審議会への諮問は、今秋は見送られる可能性がある。

 最終報告は、時効制度について「国民の正義観念や規範意識にできる限り沿うよう政策的に決めるべきだ」と指摘。「生命を奪う犯罪は特に厳しく対処すべきで、刑事責任の追及に期限を設けるべきではない、と国民の意識も変化している」として時効見直しの必要性を認めた。

 さらに「重大事件では遺族にも社会全体にも処罰感情の希薄化という事情はない」として、「時間の経過で処罰感情が薄れる」とする見直し消極論に反論。「時間の経過で証拠が散逸し、被告が無罪などの証明をするのが困難になる」とする消極論に対しても「犯罪証明の責任を負う検察官の負担の方が大きく、被告の不利益にはならない」との考えを示した。

 ただ、見直しの後に、見直し前に発生した事件にさかのぼって廃止や延長を適用できるようにするかは「憲法違反には当たらないが、反対意見も多く、さらに慎重な検討が必要」とするにとどめた。

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