2009年6月28日7時37分
法務省が見直しを検討している殺人など重大事件の公訴時効をめぐり、日本弁護士連合会(宮崎誠会長)は24日、全面的に反対する意見書を公表した。同省が中間報告で示した廃止や延長など四つの選択肢のすべてについて反対し、仮に改正するとしても現在時効が進行中の事件には適用しないよう求めている。
意見書は刑事弁護に取り組む弁護士らが中心になってまとめた。反対の理由について、05年に時効が延長された効果が検証されていない▽被害者遺族に必要なのは時効廃止ではなく、捜査能力の向上▽証拠が散逸し、アリバイの証明が難しくなるなど被告が受ける不利益を考えれば、現状維持が妥当――などとしている。
一方で、被害者遺族らに配慮して、国による被害補償の充実などを提言した。
法務省は被害者団体、学者などからヒアリングを進めており、今月11日まで一般からも意見を募集した。今夏までに一定の方向性を打ち出す方針を示している。