ソフトボールで00年シドニー大会、04年アテネ大会と五輪連続メダルに貢献した元日本代表の投手、高山樹里(32)=豊田自動織機=が16日、都内で会見し、来年のバンクーバー冬季五輪出場を目指してボブスレーに挑戦することを明らかにした。日本ボブスレー・リュージュ連盟からスカウトされた高山は今月4、5日のトライアウトを経て日本代表候補入り。今後は夏冬五輪出場を目指して、4回のサバイバル合宿に参加して代表入りを狙う。
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五輪のマウンドに仁王立ちした女大魔神が、冬の舞台に挑戦だ。「もう一度、世界の舞台で世界のアスリートと勝負したい」。高山は真剣な表情でボブスレー参戦を表明し、夏に続く冬の五輪出場を誓った。
ボブスレー2人乗りは、操縦役の「パイロット」と、スタート時にソリを押す「ブレーカー」を要する。人材発掘を目指していた日本ボブスレー・リュージュ連盟の山本忠宏強化委員長は「体重があって、なおかつ速い選手ならチャレンジできる」と解説。高山に白羽の矢を立てた。
決め手は体重か?「ソリ+選手の重量は340キロと決まっていて、足りない分は重りで調整する。重りが少ない方がタイムが出ることは実証されている。高山さんなら過去最重量」と山本強化委員長。横で聞いていた高山は「体重で選ばれたのかな?ちょっとブルー」と笑わせ、体重を問われて「シーッ」と唇に手を当てた。
打診を受けたのは6月下旬だった。「最初はビックリした」と振り返る高山だが、よみがえるかつての五輪の記憶とともに「もう一度、と思った」と決意。レンタルビデオ店で、ジャマイカのボブスレーチームを扱った映画「クールランニング」を借りて研究した。
4、5日には長野県内でテストを行い、ソリを押して走るタイムトライアルでは、スタートから5〜10メートルで今季の日本代表候補中トップタイムをたたき出すなど、優秀な成績で五輪代表候補に選ばれた。ブレーカーは現在9人。18日からの国内合宿で3〜4人、8月の合宿で2〜3人に絞られ、9月の合宿で海外遠征メンバーを決めるなど、サバイバルとなる。
ソフトボールは続けつつ、今季はボブスレーに比重を置く予定。関係者の話を総合すると、現在の体重は推定88キロ。練習メニューを瞬発力重視に変えたほか、さらなる増量にも踏み切る予定。「こういう体形の女の子に夢と希望を与えたい」と、丸顔に笑みを浮かべた。