衆院の解散、総選挙を前に、最近の政治情勢を踏まえて民主党政権の誕生を意識した発言が、経済界から相次いだ。
経済同友会は17日、長野県軽井沢町で開いた夏季セミナーで、政権交代を前提に、今後の対応について意見を交わした。
桜井正光代表幹事は民主党が比較第1党になる可能性が高いとして、政権交代で「政治的空白をいかに少なくするかが重要だ」と指摘した。長谷川閑史・武田薬品工業社長は「国民は長い目で見ることが必要だ」と述べ、民主党政権への期待感を表明。数土文夫・JFEホールディングス社長は、民主党が掲げる企業・団体献金の全面禁止に不安感を示した。
16日から開いた同セミナーは、新政権に対し、さらなる構造改革や財政再建に向けた取り組みなどを求める軽井沢アピールをまとめ、閉会した。
一方、電気事業連合会の森詳介会長(関西電力社長)は17日の会見で、地球温暖化対策の柱となる温室効果ガス削減の民主党案について、「経済、国民に与える影響を明らかにしたうえでやるべきだ」と注文をつけた。
温室効果ガスは、主要8カ国(G8)首脳会議(ラクイラ・サミット)で、2050年までに80%削減する長期目標でG8が合意。日本政府は中期目標で「05年比15%減(90年比8%減)」を掲げ、民主党は「05年比30%減(90年比25%以上減)」の方針を打ち出している。
森会長は「我々は削減に向けできることをやっている。ただ、設備更新に10~20年かかり、すぐに目標数値をやりかえることはできない」と、理解を求めた。【後藤逸郎、三沢耕平】
毎日新聞 2009年7月17日 20時21分