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60代以上の遭難増加 「疲労凍死」過去にも例(1/2ページ)

2009年7月17日13時13分

 警察庁によると、山岳遭難事故は年々増える傾向にあり、08年の遭難者は1933人(前年比125人増)、うち死者・行方不明者281人(前年比22人増)で、いずれも統計をとり始めた1961年以降で最多だった。

 特に増えているのが60代以上の遭難。08年は60代が30%、70代以上が22%で、計52%が60代以上だった。50代も19%あり、40代以上が遭難者全体の計81%にのぼった。

 08年の死者・行方不明者で前年から増加した22人のうち、19人は40代以上だった。過去10年でみても遭難者は489人増えており、このうち40代以上が409人を占めている。

    ◇

 今回のツアーを企画したアミューズトラベルによると、登山ツアーは中高年に人気が高く、夏休みシーズン前の今の時期の参加者のほとんどは40〜60代とされる。

 登山では夏でも、寒さや風雨で体の熱が奪われ、基礎代謝が低下する低体温症にかかる危険がある。重症になれば死亡することもあり、「疲労凍死」とも呼ばれる。とりわけ北海道では今回のトムラウシ山や近くの十勝岳、旭岳などで02年にも6〜9月の夏場に50〜70代の中高年の登山者が少なくとも5人、死亡したケースが確認されている。

 「今夏の大雪山系は異常な低温が続いている」。北海道山岳ガイド協会の川越昭夫会長(72)は、猛暑が続く本州との違いを強調する。トムラウシ山は丸形の山で、風を避ける場所がなく、「避難小屋の中でも寒くて震えあがったとの話を聞く」という。川越会長は、16日も大雪山系に出かけたが、雨と風で気温が下がっていたため危険と判断して登山を中止したという。

 アミューズトラベルはツアーごとに体力、技術の難易度を6段階に分けている。今回のツアーは70歳以下の参加資格を設けており、山中を歩く距離は3日で計41.5キロ、計28時間半。2番目に高い「やや健脚」としていた。

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