マンガ・アニメを保護して競争力を保つ政策をとるべき
マンガ・アニメ・ゲームというのは、サービス分野で唯一、日本が世界でトップの競争力を持っている分野である。それが分かっているからこそ、政府も補正予算にアニメの殿堂(国立メディア芸術総合センター)の建設を採り入れたのだろう。しかも、計算は難しいものの、この分野は現在でも何兆円というマーケットであり、将来は確実に何十兆円のマーケットになる。
なかでも、経済大国となりつつ中国においては、知的所有権を保護しなくてはならないという認識がようやく広がってきた。今までタダで流出していたものが、すべてカネになるのだ。そんなさなかに、日本政府はマンガ・アニメの存亡にかかわる規制を断行しようとしているのである。その産業戦略のなさにはあきれるばかりだ。
麻生内閣はいったい何を考えているのか。117億円もかけてアニメの殿堂を建設するという一方で、この法案のなかでアニメ保護をきちんと打ち出さないのは政策矛盾である。そもそも、このまま児童ポルノが拡大解釈されてしまったら、アニメの殿堂に収納するマンガ・アニメがなくなってしまう。
わたしは法案の趣旨自体は賛成であるが、あまりにも拙速であり、内容がずさんすぎる。最終合意する前に、マンガ・アニメ・ゲームをこの法案からいかに隔離するかを考えるべきだ。修正するのはそれほど難しい作業ではないだろう。
このコラムの読者の方々は、もしかするとこの話題を初めて目にしたかもしれないが、オタクやアキバ系人間の間では、以前から問題となっている。おかげで、秋葉原での内閣支持率が激減したといわれているが、自称アキバ好きという麻生総理はそのことを知っているのだろうか。
森永卓郎(もりながたくろう)
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