ワカメちゃんの裸が出てくる「サザエさん」も法律違反に?
今、世界的にとんでもない規模のマーケットをつくりだそうとしているアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』にも、やはりそうした性的な表現がある。主人公の碇シンジが届けものをしようとすると、風呂から全裸の綾波レイが出てくるのだが、二人がなんだかんだともみあっているうちに転んでしまって、レイの上からシンジがおおいかぶさるというシーンがある。そういう場面もまた、視聴者を引きつけている要素なのだ。
こうした場面は性的な刺激を与えるが、けっして忌避すべきグロテスクなものではない。それもまた法律で排除するべきなのか。そうではなくて、2次元世界と3次元の世界、想像の世界と現実の世界をきちんと分けることではないかとわたしは考える。
言うまでもなく、わたしは児童ポルノ自体には絶対に反対である。被害にあった子どもにとっては一生のトラウマになってしまうからだ。だが、2次元のほうは想像上の産物だから、人権侵害にはなりえない。もちろん、あまりにグロテスクなのは困るが、かといって一律に18歳未満の裸がダメだと言われれば、それは違うと思うのだ。
そもそも、一律に禁止するとなると、前述のようなマンガやアニメはもちろん、ワカメちゃんやカツオくんの裸が出てくる『サザエさん』だってアウトになってしまう。今後、そうしたマンガやアニメが復刊、再放送された場合、そういうシーンをすべてカットするのだろうか。そういうバカげたことだけはしてほしくない。
与党の人びとは、「現行法の定義を変えるものではない」として、現状と大きく変わることはないとしている。だが、法律というものは時代が変われば一人歩きをする。きちんとした論議をして法律の文面に反映しておかないと、当初の意向とはまったく別の使い方をされてしまう恐れが十分にあるのだ。
だが、この法律が引き起こした問題はそれにとどまらないのである。
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