日本のマンガ・アニメがここまで発展してきた理由
今回の改正案が完全に施行された場合、18歳未満の裸の写真のみならず、18歳未満の裸を描いた絵もまたすべて法律違反ということになる。
これを厳密に適用すれば、『ドラえもん』に登場するしずかちゃんの入浴シーンもダメになり、『機動戦士ガンダム』にも法律違反のシーンがでてくる。『キューティーハニー』に至っては大部分の作品が違法ということになってしまう。
日本のマンガの父のようにいわれている手塚治虫の作品も、『ふしぎなメルモ』をはじめ、子どもの裸のシーンがしばしば登場するのでアウトだ。『ブラックジャック』のピノコもよく裸になっているが、彼女の場合は幼女に見えて本当の年齢は19歳だからいいという説もある。
なかには、「それならば、そうした要素を取り除けばいいではないか」という議論もあるだろうが、事はそう簡単ではない。実は、日本のマンガやアニメがここまで発展し、国際的に高い評価を得てきた大きな理由の一つに、この性的な表現があるからだ。
日本のマンガの大きな特徴に、単純な素描のみで性的興奮を与えることに成功したという点がある。その先駆者が手塚治虫であった。問題となっている児童ポルノ禁止法には、「性的な刺激を与えて興奮させること」という禁止対象が挙げられているが、まさに日本のマンガは、考えようによっては、それそのものなのである。マンガやアニメのキャラクターに恋をする「萌え」が発生したのも、この性的表現があったからこそなのだ。
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