さまざまな事情から入所施設や里親家庭で生活する全国の子供が4万人を超え、このうち5割以上が父母らから虐待を受けていたことが厚生労働省の調査で分かった。経済的理由による入所も多く、少子化の一方で、家庭で暮らせず社会のしわ寄せを受ける子供たちが増えている実態が明らかになった。【野倉恵】
調査は92年以後5~6年に1度行われ、今回は08年2月実施。対象は▽児童養護施設(3万1593人)▽乳児院(3299人)▽心の専門治療が必要な子供を支援する情緒障害児短期治療施設(1104人)▽非行を繰り返す子供などを指導する児童自立支援施設(1995人)▽里親家庭(3611人)と母子生活支援施設。
18歳未満の児童人口は、92年から08年まで2割以上減ったが、施設や里親家庭で生活する子供は98年以後増え続け、今回は4万1602人。前回(03年実施)は3万8318人で、8・5%増えた。入所理由を一つに絞った場合、養育拒否や捨て子を含む親の虐待が最も多く33・9%(前回比5・5ポイント増)。破産など経済的理由は6・8%だった。
行政上の入所理由だけで分からない虐待の実態を把握するため、初めて虐待を受けた経験を調べた。虐待経験のある子の割合は、全体で50・9%。情緒障害児施設が71・6%、児童自立支援施設が65・9%と特に高かった。
また、児童養護施設と児童自立支援施設の中学3年生以上の8284人に尋ねたところ「いじめを受けたことがある」と答えた子供は40・9%、「大勢でいじめた」は34・8%にのぼった。
毎日新聞 2009年7月14日 東京朝刊