イラク支援は国際社会の総意
公明新聞:2004年12月10日
支援法に基づき判断
12月14日に期限切れとなるイラク・サマワへの自衛隊派遣について、政府は9日午後、臨時閣議を開き、派遣の1年延長を正式に決定した。公明党は、同日午前の政調全体会議と中央幹事会で最終的な党内議論を行い対応を神崎武法代表に一任、午後には自公党首会談で神崎代表が小泉純一郎首相に延長了承を伝え、これを受けて閣議決定がなされた。
イラク復興支援は、国連安保理決議1483に基づく国際社会の総意である。現在、30カ国が復興支援活動のため部隊を派遣しており、わが国も国連加盟国の一員として、できる限りの支援を行う責務がある。そして、どんな支援を行うのかを定めたのがイラク復興支援特別措置法である。
派遣延長について公明党は、あくまでもイラク復興支援法に基づく要件を満たすかどうかの判断であるとし、派遣を終了する場合は4つのケースが考えられるとしてきた。(1)人道復興支援の目的を達したとき(2)自衛隊派遣にイラク政府の同意がなくなったとき(3)派遣地域が非戦闘地域でなくなったとき(4)自衛隊員の安全確保ができなくなったとき――である。
今回の派遣延長論議で焦点となったのは、(3)と(4)だった。自衛隊が派遣されているサマワが非戦闘地域でなくなり、自衛隊員の安全確保ができなくなれば、自衛隊は撤退すべきである。しかし、現地からの情報、また最新の治安情勢を把握するためサマワを訪問した大野功統防衛庁長官や冬柴鉄三・公明党幹事長、武部勤・自民党幹事長の報告は、いずれも「サマワの治安は安定している」「自衛隊員の安全確保も十分なされている」との点で一致した。
ちなみに、日本の新聞と現地の新聞が共同して行った最近の世論調査によると、サマワの治安については90%の人が安全と認識しており、現地のムサンナー県ハッサーニ知事からも「治安は安定している」と報告されている。イラクから帰国した冬柴幹事長は、サマワを含むムサンナー県の全11都市で自衛隊が学校や道路補修などの活動を実施しているが、これまで一度も発砲する事態に至っていないと強調した。
こうした現地からの情報や報告を総合すると、少なくともサマワではイラク復興支援法で定めた戦闘地域の定義にあたる事態は見当たらず、派遣延長が閣議決定されるに至ったのである。派遣延長に当たっては、イラク支援の基本計画に「イラクの政治プロセスや治安状況などを見極め、必要に応じて適切な措置を講じる」とする項目が設けられ、現地での柔軟な対応もできるようにされた。
イラクでは、国民議会選挙から、憲法制定を経て本格政権成立へ、来年1年間が最も重要な年となる。われわれは、派遣延長に際し、自衛隊員の努力、使命感に心から敬意を表するとともに、引き続き人道復興支援の任務が十分に果たされるよう期待したい。
国民理解の深まりを
あわせて、この機会に改めて自衛隊派遣への理解が深まるよう望みたい。何のための自衛隊派遣なのか。人道復興支援という非軍事の活動のためである。国連決議の要請を踏まえた、イラクのイラク人による国家再建のためである。派遣延長の閣議決定を受け小泉首相は、記者会見を行い国民に説明したが、今後ともあらゆる機会をとらえて丁寧に説明責任を果たしていってほしい。
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