【ATI2009】実用化へ動き出すインターネットITS,多彩な用途が目白押し
AT International 2009フォーラム〜最新カーエレクトロニクス技術を知る3日間(7/15-17開催)
最新のハイブリッド車や電気自動車の駆動技術,クルマ自身が危険を回避する知能化技術など,カーエレクトロニクスの分野でいま最もホットな6テーマについて,44セッションの専門セミナーを通じて技術の最前線に迫ります。(詳細)
多様なクルマに組み込む様々なシステムを共通のプラットフォームで実現する−−こうした世界を目指すのが,インターネットITS協議会(IIC)である。救急車や配送車などに組み込む業務用システムから民生用のカーナビまで,多数の用途で共通のハードウエアとソフトウエア基盤を利用することにより,ハードウエアの低価格化や開発コストの削減が可能になるという。そのために同協議会は,車載で使えるパソコンや基本ソフトウエアの仕様策定を進めてきた。AT International 2009の同協議会のブースでは,これらを活用したシステムの事例をいくつも紹介している。
中でも実用化に一歩近づいたのが,岐阜大学などが進める緊急医療用システムである。経済産業省の委託事業「車載ITを活用した緊急医療体制の構築」として,今年度から4年間をかけて実証実験を進める。年間の予算は2億円という。医師や空きベッドの状況といった病院の情報と,救急車に運び込まれた患者の情報をセンターに集め,患者を適切な病院に案内することを目指す。「最終年度に当たる4年後には,実運用にたえるシステムを作り上げたい」(会場の説明員)という。
救急車にIICの車載パソコンを積んで,救急車とセンター,病院の間で情報をやりとりするために利用する。患者の状況を写した動画の伝送や,救急隊員と病院側の音声での対話を実現し,救急車に積んだカメラを病院側から制御できるようにする。通信回線には,携帯電話網や衛星電話網を利用する計画。デンソーが車載機器の開発,OKIが病院側の情報システムの開発で協力している。
IISのブースでは,このほかレンタカーでドライブすることを想定したデモや,配送業者が活用する事例,カーシェアリングのシステムに適用した例を展示している。レンタカーに使うシステムは国による実証実験での採択を目指しており,配送業者向けのシステムはIICの会員企業が実用に向けて水面下で動いているという。