NGOは主張する
九州・沖縄サミットを機に名護のNGOセンターに集ったNGO団体は、
G8声明の発表を受けて次ぎのように主張する。
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沖縄環境ネットワーク
私たちは、G8サミット開催に先立って国際環境NGOフォーラムを開催した。参加者は、軍事活動そのものが最大の環境破壊であり、また経済のグローバル化が人と生き物の生息環境と安全を急速に脅かしていることなどを確認した。今回のサミットの議論においては、これらの反省はなく、G8サミットは沖縄における米軍の存在を追認するセレモニーとなった。私たちは世界の軍縮の流れに逆行し、日米首脳が「SACO」合意に基づいて沖縄において新たな基地建設を進めることを話し合う場となったG8サミットのあり方を批判する。
気候ネットワーク/WWFジャパン・気候変動キャンペーン
地球の温暖化はどんどん進んでいるというのに、京都議定書は危機に瀕している。それは先進国がCO2等の排出を、削減ではなく実質的な増大を許す方向で、京都議定書の制度設計を行おうとしているからである。最もCO2を排出しているG8諸国首脳はここで、京都議定書をきちんとした削減に結びつくようルールを決め、遅くとも2002年には発効させるよう、強い声明文を発表し、地球温暖化防止へ世界の国々を導く大きな力を発揮するべきである。
沖縄環境ネットワーク
「NGO国連」を設立しよう! ネットワーク『地球村』
永続可能な社会の実現には国境を超えた国際的な智恵と力と勇気の結集が不可欠です。現状の国連などの国際組織は経済大国、軍事大国の利害が優先され、真の平和の達成は困難です。ネットワーク『地球村』は、ここ沖縄で「NGO国連」を提唱します。「NGO国連」は、全世界のNGOが全人類の願いを込めて平和や環境について、各国政府に強い力で勧告するものです。その実現に向けて『地球村』は様々な実践、提言を行っていきます。
ジュゴンネットワーク沖縄
沖縄島北部東海岸は絶滅が危惧される日本産ジュゴンの唯一の生息地である。しかし、赤土の流入や開発行為、軍事演習による海草藻場(餌場)の破壊、刺し網や定置網による混獲、生息地での軍事演習などでその生存が脅かされている。この限られた生息地に新たに米軍基地が建設されようとしている。日米両政府は国際世論に耳を傾け、新たな基地建設を中止し、ジュゴンの調査と生息地の保全を含む保護対策を早急に取り組むよう心からの望むものである。
ジュゴン保護基金委員会
沖縄東北部(やんばる)東海岸は、国際保護動物"ジュゴン"の日本で唯一の生育海域であり、世界的に見てもジュゴンの成育の北限に当たる地域です。このジュゴンの海を育む、やんばるの森林は地球上でも希有の生態系を持つ亜熱帯降雨林で、そこにはヤンバルクイナやノグチゲラをはじめ数多くの固有種が生育しています。このような貴重な自然を破壊して、日米両政府はここに新たな巨大軍事基地(航空基地)を作ろうとしています。私たちは日米両政府に対し、この無謀な計画の中止を強く求めるとともに、G8をはじめとする世界のリーダーたちが北限のジュゴンを保護し、その生育域の保全を図るために尽力されるよう要求します。
日本科学者会議沖縄支部
今年は国連の定めた「平和の文化国際年」である。G8諸国は、NBS兵器の速やかな廃絶や基地撤去など、軍縮に率先して取り組むべきである。沖縄の米軍基地の再編強化など、日米安保条約を飛躍的に強化する。「新ガイドライン」と、NATO軍の域外派遣を進める「新戦略概念」は、国際社会への軍事介入を進め、平和の創造を妨げる存在として、厳しい批判は免れない。G8諸国はかかる軍事強化の路線を直ちに撤回するべきである。
名護やんばる・新基地問題で苦しむ地元から世界へのアピール (ヘリ基地いらない二見以北十区の会)
サミットが基地問題とひきかえなのは明らかなのに地元住民の声を聞く人はほとんどいない。いったいこれはどうなっているんだ!名護市の民主主義は死んでいます!
- ジュゴンのすむ美ら海に、人間の住む美ら海に、基地を造らないでください!!
- 新基地問題は、地球の環境・平和・人権に関わる、世界の重要課題です。
- 緊急アピール・岸本名護市長は基地受け入れ前提として、15年の使用期限を条件としていた。今回のサミットで稲嶺沖縄県知事も、森首相も、絶好の機会に何ら具体策を提案できなかった。よって岸本市長は約束通り、基地受け入れを直ちに撤回してください。
WWFジャパン(世界自然保護基金日本委員会)
日本国内閣総理大臣および米国大統領に対し、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなど、沖縄の絶滅危惧種、固有種とその生息地を守るため、名護市辺野古におけるアメリカ合衆国海兵隊の飛行場建設計画(普天間基地移転)および山原(やんばる)の森における垂直離着陸戦闘機のヘリパッド建設計画を見直すことを強く要請する。
グリーンピースはG8諸国に対して以下の6項目を要求する。
- 違法林産物を購入しないこと。
- 持続不可能な林業を援助することで、森林破壊に資金提供をしないこと。
- G8各国を、違法伐採の市場にしないこと。
- 持続可能な、認証を受けた森林からの林産物を購入すること。
- 生産国の違法伐採をなくす取り組みを、緊急に助けること。
- 世界の林産物の生産から輸送までの、モニタリングと市場透明の改善のため体制を強化すること。
ジュビリー2000 日本実行委員会
私たちは、2000年末までに、以下の三項目を直ちに実施するよう呼び掛けます。
- 貧しい人々の健康、教育、そして生命までの犠牲にすることなくしては、
返済できない不法な、返済不可能な債務のすべてを帳消しにすること。
- 債務帳消しを、構造調整プログラム、およびその他の条件から、切り離すこと。債務帳消しを二国間で行うこと。
そして、国際金融機関に対して、その責任を認め、多国間債務を帳消しにするよう取りはからうこと。
- 債務帳消しのプロセスにおいて、現在のような利害対立する状態において、裁判官であり、陪審であり、
原告であることをやめること。債務国政府および市民社会を含む、独立した、公平で透 明性のあるメカニズムの設立を支援すること。
NGO活動推進センター 他30団体(アジアのネットワークNGO6団体を含む)
- 世界の貧富の格差を縮小し、より公平な社会の建設を行う。
- 情報通信技術(IT)の開発途上国での普及推進にあたっては、上記1の精神に基づき実施する。
- 開発政策決定過程への貧困者自身とNGOの参画を保証する。
- 貧困者自身そして他の市民社会セクターが参画できる、民主的に管理されるグローバルガバナンスを確立する。
国境なき医師団
国際的医療援助団体の国境なき医師団(MSF)は、命を守るのに必要不可欠な医薬品を、開発途上国で入手可能にそして安価にすることを確認したG8首脳の力強い声明を歓迎します。同時に、患者が利用可能な価格で治療を受けられることを保証するため、即座に具体的な行動を起こすことを求めます。
またMSFは開発途上国の医薬品の価格低下を実現するための戦略に対して、支援を行うことを求めます。これらは、貿易関連知的所有権(TRIPS)協定で認められている救済条項の実施 も含まれるものです。
名護市平和委員会
クリントン大統領は、平和の礎で「足跡を減らす」と森首相に普天間基地の辺野古移設問題の早期解決のサインを送り、
森首相は早期解決を日米首脳会談で表明、クリントンの手のひらで動く首相の恥ずべき姿を浮き彫りにした。私たちは、地元においてジュゴンの住む美ら海に基地は作らせないという運動を、市民とともに団結して全国全世界に広げ、基地建設を許しません。
<民衆の安全保障>沖縄国際フォーラム
<民衆の安全保障>沖縄国際フォーラムは、安全保障が軍事的暴力によって達成されうるという考え方を拒否し、民衆の安全保障という軍事主義に頼らない本当の安全保障をいかに実現するかとの新しい議論を促進しようとしている。私たちはG8諸国の政府にこの議論に参加することを求め、また、彼らが進めている「安全保障」とは安全保障などでは全くなく、むしろまさしく20世紀を血塗られた戦争の続く時代にしたものであることを認識するよう求める。しかし、私たちはG8が考えを変えるのを待つつもりはなく、G8の国の人々に、またすべての国の人々に、この新しい議論に参加しそして自国の政府に考えを根本的に変えるように圧力をかけることを求める。この目的に向かって、私たちはすでにアジア・太平洋地域を起点として民衆の安全保障のための草の根ネットワークを作り始めている。
地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)
- 日本政府は「人間の安全保障」を重視した故小渕前首相の政策を継承し、対人地雷の問題に関連する国際約束を誠実に実地すること。
- 米国政府は地球規模で地雷廃絶を達成するために、早期にオタワ条約に加入する事。さらにG-8諸国政府は他の未加入国の加入をも促進する役割を果たすこと。
Puerto Rican National Bar Association
アメリカの軍事支配の下で苦しんできた長い経験を持つ民衆として、私たちはアメリカの軍事基地を撤去させ社会的生産的な利用に変えようと闘う沖縄の人々と連帯する。今, プエルトリコの小さな島ビエケスにおいて、一年に渡る市民的不服従運動がその島に対する実弾射撃演習を止めることに成功している。アメリカ海軍はビエケスの民衆600人以上を逮捕しているが、抵抗は続いている。私たちは沖縄の人々と私たちのスローガンを共有したい。「もう一発の実弾も許さない、もう一秒も許さない」
サンフランシスコ・沖縄平和ネットワーク
私たちは、サンフランシスコを活動場所にした市民グループである。すでに米軍基地と自衛隊の基地でいっぱいになっている小さな島の名護市辺野古に新たな軍事基地を受け入れるよう沖縄の人々に日本政府が圧力をかけていることを知っている。
実は辺野古に機能を強化した浮体式軍事空港を作る目的があるのに、普天間を返還するとウソをつくことや、サミットを沖縄で開くことを東京政府が決めたり、2000円札に沖縄の王朝文化のシンボルを使うなど、心理戦争の様相を呈している。大衆を非民主的に操ることに私たちは反対し、沖縄の人々の基地がない未来を求めるという分かりやすい声を聞くように私たちは日米両政府に呼びかける。基地返還に先だって浄化する責任はとりわけ米政府にあり、クリントン大統領の「良き隣人」という言葉にように、より誠実な対応を求める。
地球環境蘇生化実践協会の主張
- 石油資源と原子力に依存しない自然エネルギーの導入を最優先とする
- WTOのルールにきれいな空気や新鮮な水、各地域の個性ある文化の価値を入れることを求める。
- 平和と環境と健康は、経済活動より優先するという基本理念をG8首脳が確認し合い、宣言することを求める
米軍基地をなくす草の根の運動を飛躍的に強めましょう! 米軍基地をなくす意見広告運動
沖縄と本土の米軍基地は、早急に縮小・撤去されるべきです。クリントン米大統領とG8会議は、この切実な沖縄県民と日本国民の要求にこたえませんでした。反対に、米大統領は「沖縄は日米同盟にとって死活的役割」と述べました。20世紀冷戦時代の古臭い軍事力中心の「日米同盟」は軍事同盟でない日米友好条約で置き換えるべきです。これこそが、21世紀にふさわしい日米関係でありアジアでの国際関係の枠組みとなるでしょう。沖縄・日本と全世界の市民は、草の根の運動を飛躍的に強め、軍事力によらない平和のために力を尽くしましょう。アメリカの軍事力による世界支配に今こそNOを。
浦添軍港反対! ヘリ基地建設反対! あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク
私たちは、沖縄サミットに反対する「7.16連帯の集い」を芥川賞作家・目取真俊氏を講師に招いて大々的に実現してきた。そこで私たちは、沖縄サミットが名護市辺野古への米海兵隊ヘリ基地建設を押し進め、同時に沖縄の戦争・戦後体験に根ざした県民意識を払拭し日本の反戦・平和運動を破壊するためであることを怒りを持って糾弾した。そして沖縄サミットに反対する大きなうねりを、7・20嘉手納基地包囲行動へとつなげ大成功させた。
私たちは、クリントン大統領の摩文仁が丘での演説を怒りなしに聞くことはできなかった。相次いで引き起こされた事件・事故に対する一片の謝罪をすることもなく、日米安保と在沖米軍基地の「死活的重要性」を強調したこの演説を私たちは決して許せない。
普天間基地撤去!ヘリ基地建設阻止!沖縄連絡会
少女暴行事件にひと言もふれず、居直り強盗に等しく「日米安保同盟」の強化を宣言したクリントンを弾劾する。そもそも、事件は一人の兵士の問題ではなく、基地・安保があるがゆえなのである。ところでNGO内ではサミットと基地問題は別だという意見が一部にはあるが、これは間違っている。なぜなら、サミットは日米権力者が「平和・安定」を語らって戦争体制の強化を確認し合う場であり、沖縄問題はすぐれてグローバルな問題であるからである。
われわれは、今後も全世界の労働者、人民と連帯して基地撤去、安保破棄のために戦う。
海上ヘリ基地建設にわじわじー 沖縄・全国学生ネット
新ヘリ基地建設反対をはじめとする反戦・反基地・反安保の闘いを展開してきた私たちは、基地強化をもたらす沖縄サミットに反対してたたかい、幾多の戦争犠牲者が眠る摩文仁の丘での戦争やクリントンによる演説を糾弾する現地闘争を断固として展開してきた。
少女暴行事件を謝罪せず、沖縄基地と安保同盟を維持し強化していくことを宣言したクリントンと、それに呼応している森政権を私たちは断じて許すことは出来ない。私たちは今後いっそう反戦・反基地・反安保の闘いを推進していくことを宣言する。
国際マングローブ生態系協会(ISME)
熱帯・亜熱帯沿岸の重要な生態系の一つであるマングローブ生態系は開発等で急激に面積を減少している。また、地球温暖化とそれによってひき起こされる海面上昇でも深刻な影響を受けつつある。マングローブ生態系は、熱帯・亜熱帯の沿岸に住む住民にとって、またそこに棲む生物にとってかけがえのない生態系である。
G8首脳が真のリーダーシップを発揮し、地球温暖化防止、マングローブ生態系保全、海岸侵食防止への対応策を早急に実行されることを強く求めるものである。
Blue Ridge Environmental Defense League
原子力発電所でプルトニウムを使用すると、地球上で最も毒性の強い物質が生み出されます。ですから、軍が核燃料を移送するときのような秘密主義や警護方法などを民間の企業も踏襲する必要が出てきます。私たちは冷戦の『毒の遺産』を決して核燃料経済に組み込んではなりません。私たちは、21世紀のエネルギー源として、プルトニウムの使用を決して許すことはできません。
沖縄―名護 2000年7月23日
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