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ポウの黒猫 

>罪の苦悩シーンを一切描かなくとも、それは自ずと滲み出てくると思うんです。そういう表現法もある。
これは私が前々項目で書いた言葉です。
そのうってつけの例に近い名作を思い出しました。

尊敬するエドガー・A・ポウの「黒猫」です。
主人公である語り手の男に罪の苦悩シーンが全くないというわけでもないんですが。
涙を流しながら…とかいう文章もあるにはありました。
でもやったことの壮絶さの割には淡々とした表現です。

とにかく男はすごい罪を犯します。
そしてほとんど苦しんでいない。罪悪感がない。良心というものが見当たらない。
それはラストまで続きます。
表面上は苦悩していないんです。

でもとんでもないオチが待っています。
皆様もきっとご存じだろうと思われる、あの名場面です。

彼は自分からわざわざ………… (未読の方のためにバラしません)

そこが人間というものの不可解さ、複雑さの見事な表現だと思いました。
壁の中から聞こえてきた黒猫の声は、いったい何の象徴だったでしょうか?

彼の…。





私はそこに象徴主義的な表現法を感じます。
やはりポウはすごい。すごすぎる。
尊敬する事しか出来ない私であります。
くすん。




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…ミ様
ポウは推理小説の創始者という点だけ見ましても天才ですよね。
私は全集(日本語訳)のほとんどを読んだことで、日本の漫画家にも多くの影響を与えているのだと知りました。
ポウ好きなあなたは御存じでしょうが、その生涯は天才にありがちな苦悩に満ちたものだったようですね。
名作が生まれる約束事なんでしょうかしらね。
明智小五郎が好きだなんて素敵ですねえ!
ちょっと欠点なさすぎの人って気がして緊張しますが。
「D坂の殺人事件」の完璧な推理世界は冷徹なまでに胸に迫ってきました。
江戸川乱歩は推理物も素晴らしいけれど、幻想小説の「押絵と旅する男」が無性に好きです。
現実と幻想がうまく溶け合って、温かく愛しい世界が手に取るように描かれていましたね。
やはりいいですね、ミステリーは。
後ね、亜愛一郎とかさ…。ああ〜どこまでも続きそうなので、このくらいにしておきます。
最近ゆっくり読む時間がないのが寂しいです。映画も行きたいのに。
あなたがうらやましいです。

[ 2009/07/16 17:46 ] 未分類 | TB(0) | コメント(-)

変な探偵、しぶとく生きる 

新作銀の鬼11(銀の鬼目覚め3)を
電子コミックで読んでくださって、本当にありがとう!
ケータイ発売から3か月、PC発売から1か月経ちましてランキングもそろそろ下り坂…という状態になってまいりましたが、1巻分の割にはまだまだ頑張っていますよ〜。

で、今日はですね、嬉しいことに「変な探偵」がなかなか頑張ってくれたみたいなんですよ。
少女漫画部門で、ええと48位でした。
少女漫画部門は作品数がすごく多いですからね、たったの2巻にしては結構やるじゃないかってことなんです。
購入してくださった方達のおかげです。本当に嬉しい。
ランキングは毎日のことですので、今日だけの幸せではありますが。

それから、コメントくださる皆様から時々ご質問があったことにお答えします。
ランキングというのは立ち読みダウンロード分も一緒になっているのか?ということですが、
ランキングは売上分のみだそうです。

漫画大目録というページで20位以下も発表されていますが、それも売上ランキングのことです。
ただ女性部門が少女とレディスに分かれていますので、ちょっと混乱してしまうかもしれません。
20位までのランキングページの少女漫画部門はレディスと少女が一緒になっています。
後は男女総合です。

まあ、毎日のことです。長い目で見てくださいね。
新作紹介されたとき以外は本当に運だけなんですよ。
そんな中では銀の鬼も、目覚めも、変な探偵も、姫も、しぶと〜く頑張っています。
どうか温かく見守ってやってくださいませ。


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…ミ様
コメントありがとう!
いつも応援してくださって、長く見守っていてくださって。
新作まで読んでくださって。
ありがとう、しか言えない自分が情けない…。





[ 2009/07/16 12:10 ] 未分類 | TB(0) | コメント(-)

だから私は信じたい 

驚きました。
前項目”辛かった一日”を更新したのは昨夜というより、もう早朝という時間でしたのに、たくさんのコメントをいただいていました。
本当にありがとうございました!
すごい読書量で、作品名を言い当てられた方もおられます。
タイトルを教えてくださいとおっしゃる方も。

でもやはりタイトルは書かないことにしようと思います。ごめんなさい。
その作品の男たちに苦しみがもっとあったら、書かせていただいたと思うんですが。

ストーリーの中で、これからそんな目にあうという少女の父がたまたま集団の中にいた時だけは愛も存在してたようですが。
でもその男だって、ではそれが自分の娘じゃなかったら、他の男たちと同じだったろうと思うんです。
そこがまた辛くてね。
身勝手だと思えてね。

現実の世の中には、残酷さとともに愛が必ず存在するというコメントもいただきました。
私もそう思うから生きていられます。
愛があれば苦悩が生じると思う。
生きるにはいろいろ罪なこともしなければならない現実の中で、愛ある人ほど苦しむと思う。

漫画の中で少女を虐待していたのは、愛を全く持たない権力と男性集団なのだと思うことにします。
もしかしたら、昔も今もそういう状態は存在するかもしれません。
そういうコメントもいただきました。私もそう思います。
極端じゃないケースならいたるところにあると思います。
小さな権力でも。不文律で。いろいろ理由をこじつけて。

でもその中で必ずいるはずだと信じたいんです。
権力構造により自分も虐待に加わりながらも、激しい苦悩にのたうちまわり気が変になってしまった人が。
そこまで苦しむ人が。
気が変になるまでの人が。

そういう人がいると信じたい。



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16:04に投稿してくださったna…様
携帯で十年を見つけてくださって本当にありがとう!
ブログリンク欄もポチッとなさって、インタビュー記事等も読んでいただけたら嬉しいです。


*********************************************
18:43に投稿してくださった-様
私がお名前をお付けしていいんですか?
ではデュパン様なんていかがでしょう。
私の尊敬するエドガー・ポウ作品の探偵的存在、オーギュスト・デュパンのことはきっとご存じでしょうね。
シャーロック・ホームズのようにプロの探偵じゃないところが、ますます私好みでして。
知ることが大切だとおっしゃるあなた様のお言葉に心を打たれました。

確かに現実はひどいように見えます。
でもまあ、それも長い目で見れば宇宙が帳尻を合わせてくれると信じます。
でも、そこまでの過程こそが大切なんだと思います。
そこで愛が必要だと。今必要だと。
だから作品には、罪に苦しむことを表現してほしい。
罪の苦悩シーンを一切描かなくとも、それは自ずと滲み出てくると思うんです。そういう表現法もある。
でもこの少女虐待漫画には感じられなかったんです。
少女たちを天使絵にする権力者には最も共感できませんでした。絵にするのは、救おうとしてもどうしても不可能だった時、その苦しみからというのならまだわかりますが。
事態を変えることが、もしかしたら簡単にできる権力者なのに。その人のやることじゃない。むしろ楽しんでいるとしか思えません。
簡単な勇気で変えられることですよ。こんな状態。(傷つけられた少女たちの魂は神様でなければどうしようもないけれど)
弱い者たちが何もする気がなくて、仕方ない仕方ない…とため息ついてるみたい。
その間にも少女たちは押しつぶされてるんですよ。
知ろうとしない者の無気力と傲慢さと嫌味としか思えないです。
この作品で悩むことはいっぱいできました。でも力はもらえません。
愛ゆえの、人ゆえの苦悩が存在しないから。


でもなぜか悩むことで自分の中から力がわいてきました。
そういう意味で私はとてもためになりました。
でも二度と読まないでしょう。


デュパン様
イメージネームを気に入っていただけて光栄です。
あなた様本当に博識で、デュパンのようです。
デュパンという人は今の言い方でいえば、引きこもり貴族って感じですよね。
ああ、ちょっと違うかな。夜の街をさまよう人ですからね。
そんなデュパンにたとえられて、お気を悪くされていないかと心配でしたが…。
でもね、そういう生き方は私の憧れなんであります。
そういう思いを込めまして。
ああ、いえいえ、あなた様が引きこもりだと言う意味ではないですよ。
それどころか、あなたは…。
いえいえ、やめておきましょう。私の勘はヨモギ流なのでね。
でも芸術畑の方だという気はします。ご訪問ありがとうございました。
あなたからコメントをいただけるのは短い間だということは予感していましたよ。
かなりお忙しそうな日常のほんの隙間にご訪問いただけたという気がします。
私の気持ちをとてもいい方向に向かわせてくださいました。
そんな時が昔にもあったような錯覚すらします。
私の作品に触れてくださって恐縮です。
私の描く残酷さは心のふるさとを感じさせるものでありたいと、いつも思っています。
坂口安吾の言う“ふるさと”ですよ。
本当にありがとうございました。


****************************
X様
あなたもどんどん変わってきておられますね。
今は天使と悪魔のバランスがとれていらっしゃいますよ。
どちらもなくさないでほしいです。そしてどちらかに偏らないでほしいです。
私もそういう大人でありたいです。
大人でないと創作はできませんからね。

また傾きそうですって?
ええ〜。


[ 2009/07/14 15:08 ] 未分類 | TB(0) | コメント(-)

辛かった一日 

前項目を書いたのは、ちょっと辛くて一日原稿描くことができなかったからかもしれません。

救いのない、弱い者虐待の漫画を読んでしまったから。
権力が男たちの集団暴力を許しているというストーリー。
弱い者とは少女。親のない少女。

いやだいやだ、男たちはどんな状況であれ、なぜそんなことができるんだ?
創作物はその世界の中では、ストーリーは現実だ。

作品批判ではない。作品は自由だから。
ただその中に描かれた男性達というものが嫌だ。
登場人物に聞いてみたい。
そんな事が何故楽しい?
強い強い大きい大きい者が集団で、弱いたった一人の小さな少女を、完全な閉鎖状態で押しつぶしていくことが。
楽しいなら、何の理由があるのかと。

答えは…
”男”だからか?




なぜ弱い者を押しつぶす?
逃げ場を閉ざしたままで。
いつまでもいつまでも。



[ 2009/07/14 03:50 ] 未分類 | TB(0) | コメント(-)

人を惹きつけるということ 

突然ですが、知人から“人に好かれる方法”ってあると思う?
なんて聞かれてしまいました。

情けないことをお聞きだね…。
方法なんて考えてるうちはだめなんじゃないかなあ、なん茶ってね。

最高の魅力は、そういう意識をしない時ににじみ出るんだと思う。
それが本物だよ。

でもまあ、私なんかが言えることがあるとしたらね…

”苦しみと秘密のある人”

つまり謎めいてるってことだと思う。


そして人に何の要求もしない。
要求した時はお礼する。
時に何かを与える。(性的関係ではない)

な〜ん茶って。な〜ん茶って。
そんな人を探し続けてここまで来たが……

いなかったよ〜〜〜!


でもね、苦しむ人って素敵だよ。自分の罪悪感に苦しむ人がね。

罪なことをしたかどうかより、そのことを苦しんでるかどうかなんだと思う。



というわけで島影十年さん、まだまだ苦しんでもらいましょう。

いいからハヨ原稿描かんかい!







***********************
Y様
それほど意識して探さなくてもいいと思うんです。
心の奥にしまって、悩みながらも自分らしく生きていれば自然に会えるって私なんかは思っています。
でもそれってやはり無意識の領域では探してたってことになるのかな?
まあ私はそういう人に一生会えなきゃ会えないでも、別にいいかななんて思ったりするんです。
変わり者ですから参考にはならないでしょうけど。
まあ〜すべては運命かななんて。じゃあこんな記事書かなきゃいいじゃん〜ですよね。
何なんでしょ???コメントありがとう。

…ミ様
銀の鬼11を読んでくださって本当にありがとう!ワシ感激です。
そうですかあ、内容どんどん濃くなってきましたか?
あなたにそうおっしゃっていただけるとホッとします。
十年の苦しみを理解することはワシできませんが(なんてこと言うんでしょう)
人はあまりにもすごい苦しみを背負った場合、それを抑圧してしまうような気がします。
そこから歪みが生まれるんですよね。
その歪みをふぶきがどこまで愛せるかですよね。
雑巾、受けましたか?嬉しいです。


ゅ・・ラ様
お恥ずかしいです〜。

[ 2009/07/13 21:22 ] 未分類 | TB(0) | コメント(-)
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プロフィール

Author:茶木ひろみ
(本名は現在非公開とさせてください)
1956年4月16日牡羊座
兵庫県神戸市生まれ
コーヒーとバタートーストとチョコレートケーキと麺類が好き。

職業は謎の漫画家。
幼少の頃から世界は恐怖と愛でできていると感じ、その矛盾を受け入れる生き方を続けている。
現在も描き続けている「銀の鬼」シリーズは、その矛盾がテーマとなっている。

ピアフやアダモをBGMに原稿を描くのが最高の幸せ。

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