最終更新: 2009/07/16 19:47

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アニメが地域の振興と海外での知名度アップに威力を発揮しています。

アニメが地域の振興と海外での知名度アップに威力を発揮しています。
通称「アニメの殿堂」が無駄遣いの「ハコモノ」行政だとブーイングを浴びる一方で、同じ「アニメ」が地域の振興と海外での知名度アップに威力を発揮しています。

民主党の鳩山代表は5月27日、「『ハコモノ』に、そんなお金を使う必要があるのか」と述べた。
自民党の河野太郎議員は6月9日、「現状のまま予算を執行するということは、これはすべきでない」と述べた。
建設費117億円。与野党から「無駄遣い」と批判の声が上がる「国立メディア芸術総合センター(仮)」、通称「アニメの殿堂」。
7月2日、設立準備委員会の初会合が、賛否両論の中で行われた。
文化庁の青木長官は、「わが国のソフトパワーを高めるため...」と述べた。
同じ日、フランスでは、「ハコモノ」に頼らない日本のソフトパワー政策が成果を見せていた。
アニメや漫画など、日本のポップカルチャーを紹介する「JAPAN EXPO」。
日本のアニメを放送するケーブルテレビ局「NOLIFE」のムルイエキャスターは「(以前は)東京だけだったので、今度は工業地帯以外の日本も見たいね。島根! 島根に行きたいよ」と話した。
現在、フランスのケーブルテレビ局では、アニメと実写を交え、島根の魅力をPRするビデオが放送されている。
このビデオの制作費の半分は国のお金で、映像コンテンツによる地域PRに対し、予算の半額を負担する「COOL JAPANプロモーションプロジェクト」の1つ。
経済産業省メディア・コンテンツ課の村上敬亮前課長は「実は、地元の人にとって当たり前のものっていうのが、外の人にとっては当たり前じゃないと。そういうものをうまく映像に取り込みながら、そういう地域の産業のアピールをもっとしようと」と話した。
21のプロジェクトで補助金の合計は1億5,800万円で、「アニメの殿堂」建設費の1.3%程度となっている。
今回、アニメでPRすることになった島根。
プロデュースしたのは、全国的な人気の地元クリエーター「蛙(かえる)男商会」のFROGMANさん。
「蛙男商会」のFROGMANさんは「本当にどこにあるのかも、『鳥取とどっちだっけな』っていうくらいの島根の知識しかなかったんですけれども」と話した。
FROGMANさんは、以前は東京でドラマの制作に携わっていたが、ロケで訪れた島根に魅了され、移住。
その後、アニメの制作を始め、作中にたびたび島根を登場させていたのが、プロジェクト参加のきっかけとなった。
「蛙男商会」のFROGMANさんは「『いち島根ファン』として、こういう面白い島根県という土地を、みんなにも知ってもらいたいなという思いがあるんですよね」と話した。
「JAPAN EXPO」では、「COOL JAPAN」事業で作られたもう1つのアニメが、ファンの足を止めていた。
アニメを選んだもう1つのプロジェクトは「富山」。
プロデュースと実写部分は富山テレビ放送が担当し、アニメ部分は、同じテーマを2組の地元クリエーターが制作した。
富山を舞台にしたアニメで観光客を増やした実績を持つ、南砺(なんと)市のアニメ制作会社「P.A.WORKS」。
そして、富山弁とポップな画風のギャップが売りの魚津市の兄弟ユニット「The BERICH」。
それぞれ、「何らかの形で地元の役に立ちたい」、「富山を世界にアピールしたい」と意気込んでの参加となった。
この作品は、中国全土で放送されたほか、ウェブでも公開された。
映像で紹介された立山黒部アルペンルート。
「立山黒部貫光」営業推進部の青木光仁所長は「若い世代の方に、観光地の魅力を訴える手段がなかなかなかったものですから、今回のアニメというのは、非常にいい機会になったというふうに考えております」と話した。
「アニメで地域振興」という新たな取り組みに大きな期待が寄せられる中、「COOL JAPAN」事業は2009年度も行われることが決まり、8月上旬から公募が始まる予定。
日本のソフトパワーを生かすために必要なのは、豪華な建物ではなく、地元の人が地元愛を表現する「手段」と「きっかけ」なのかもしれない。

(07/16 00:13)


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