2009年07月15日

文部省は日本人の英語不能化政策の解除をしてみてはどうだろうか?

自民党や民主党が何をしようとしているのか、そしてその違いは何なのか未だによく分からない人も多いと思います。
このようなことを気にして自分はひょっとして政治や経済の知識が足りないのではないか? 自分はひょっとして頭が悪いのではないか?
自民党と民主党の政策を理解できないから、そんな風にして自分を責めてしまっている人もいるかもしれません。

しかし、大丈夫です。
僕もよく分かりません(笑い)。

このように民主主義の国では様々な人の利害が絡み合い、多くの国民は消費者であり同時に労働者であり、また年金などを通して実は同時に資本家でもあったりするので、政治の利害と言うのはなかなか複雑でよく分らないものなのです。

社会運動をしたりしている人も自分が何を言って何をしているのかよく分かっていなかったりします。
例えば、左翼系の人が労働者の搾取や貧困を救うために声高に叫んでいる政策はどれも絶望的に貧富や身分を固定化するものばかりなのは時に滑稽だったりします。

その点、独裁制の政治と言うのは非常に分かりやすい。
北朝鮮の権力者は学校教育や新聞やテレビを使って毎日国民を洗脳しています。
外から見れば明明白白なのですが、一部の権力者は国民を支配して搾取するためにこのようなことをしているわけです。
旧東ドイツの官僚は豊かな西側に逃げ出そうとする国民を縛り続けて支配するためにベルリンの壁を作りました。
大日本帝国では軍のエリートが「天皇陛下のために死ぬことは尊いこと」と国民を洗脳して、無実の若者を人間ミサイルにしたりやりたい放題でした。
独裁政治では、権力者が国民を洗脳したり暴力で強制したりしていかに都合よく支配するかと言うその一点において全く曇りがない。
本当に分かりやすい。

さて、前置きは長くなりましたが、僕はそろそろ文部省は日本人の英語無能化政策を解除する時ではないかと思っています。
支配する側の人間から見ると英語教育と言うのはやっかいなものです。
もし国民が自由に英語を喋れるようなったら世界最高税率の所得税や法人税を逃れるために優秀な日本人や日本の企業がどんどん海外に流出してしまうかもしれないからです。
さりとて欧米の技術を取り入れて国を発展させるためには国民に英語教育をせざるを得ないわけです。
日本の支配者は国民を縛りつけながら、且つ海外からの情報をどんどん収集したかったのです。

そこで、日本の優秀な官僚はこのふたつの相反する要求を満たすために世界にも例のない非常にすぐれた英語の教育システムを作り出したのです。

英文を日本語に機械的に置き換える非常に特殊な技巧を英語の義務教育の中心に添えました。
このような訓練を中学生の若い脳にくり返しくり返し強制することにより、見事に国民の英語のコミュニケーション能力を不能化することに成功したのです。
いちいち英語を前に行ったり後ろに行ったりしながら日本語に置き換えるために、この方法を教育された人は全く英語が話せなくなってしまうのです。
これは日本国の支配者にとっては非常に素晴らしいことでした。
英語のコミュニケーションができなくなるので日本人が海外に逃亡することを暴力を使わずに防ぐことができたからです。

そしてこの英語教育のすごいところは日本人は英語でコミュニケーションをとることができなくなるのに、英語の学術論文などは理解できるようになることです。

日本の官僚は日本人の英語のコミュニケーション能力を不能化させながらも、膨大な英語文献へのアクセスを可能としたのです。

この英語教育は戦後の日本の高度経済成長のカナメになりました。
世界中から英語の情報が日本に入ってくるのに、日本人は英語を読むことはできてもしゃべったり書いたりすることができないので、日本から海外へ情報が流出することがほとんど起きなかったのです。
この一方通行の情報の流れが戦後の日本の急速な工業化を可能にしたのです。

しかし、欧米先進国に追いついてしまい先進国病にかかってしまった日本では、この英語不能化政策はさまざまなほころびを見せはじめました。
やはり英語が得意ではないので外交力が非常に弱い。
また、文化の世界に対する発信がとても少ない。
さまざまな工業製品が世界の市場に対応できずにガラパゴス化してしまった。

とりわけ最も深刻な問題は世界一急速に進む日本の少子高齢化のために、ほとんどの企業は収縮していく日本のマーケットだけでは生き残れなくなってきていることです。
日本に閉じこもって世界から情報を輸入して、日本でモノを作ってそれを日本の市場で売っていればいいと言う時代ではなくなってしまったのです。

今や日本人や日本の企業は自ら世界に飛び出し、そこでどんどん自分たちの製品を売っていかなければダメなのです。
やはりそれには世界共通語である英語のコミュニケーション能力が必須なのです。

世界を見渡してみても、自国のマーケットだけではビジネスが成立しない小さい先進国の国民はほぼ例外なく英語ができます。
オランダやスウェーデンの中学生はみんなTOEFLで満点近い点数を取ります。

日本も自国のマーケットがどんどんシュリンクしていく時代になり、世界にどんどん飛び出していかなければやっていけなくなってきたのです。

やはりここはそろそろ文部省は日本人の英語不能化政策の解除を決断する時ではないでしょうか?


kazu_fujisawa at 23:45 │Comments(16)TrackBack(0)この記事をクリップ!徒然草 

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この記事へのコメント

1. Posted by 渡邊    2009年07月15日 23:54
>オランダやスウェーデンの中学生はみんなTOEFLで満点近い点数を取ります。

そもそも日本語と英語はお互いにとって大変遠い言語なんで・・・。少なくともオランダなどと比較するのは無理がある。
2. Posted by 木綿    2009年07月16日 00:17
逆に外国人にたくさん日本語を学ばせるにはどうしたらいいんでしょうかね?自分は勉強きらいなので、ついそう考えてしまいますw
3. Posted by おっぱいがすき    2009年07月16日 00:42
んなこと言ってもKazuさん、あんた自分の英語関連の記事だって

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51522792.html

読んだりちょこっと書いたりする程度にしか役立たない受験用の参考書紹介するにとどまって、やってることは文科省と同じでしょうが。

くやしかったら書きかけの記事の続編書いてみろってんだよ。はーん?

くやしいか?へーん?

やーいやーい。

おまいの愛人(=豚エモン)デ・ベ・ソ。
4. Posted by むぅ    2009年07月16日 01:19
いつも面白く読ませてもらっているが、
英語教育に関しては、知識が5−10年古いですよ。
まぁ、本職の話ではないから仕方がないですけど。
日本の英語教育はだいぶ変わってきてますよ。
5. Posted by やあ    2009年07月16日 01:58
他人のせいにしたらいけません。


英語ができないのは一人一人が努力を惜しんだ結果です。
6. Posted by 英語教育が変わってきているだと…?    2009年07月16日 02:10
形だけでしょ。センター試験にリスニングがついた以外に変化あるのかねぇ。TOEICの点数が劇的に変わってたりするなら理解もできるけど
7. Posted by シカロ    2009年07月16日 02:42
需要があるのに英語が話せないからグローバール展開しない企業、学校の英語教育の変化がグローバル展開のきっかけの企業。
どっちもやばいと思うんですが。
母語の言語体系がかけ離れているにもかかわらず、行った先の言語を習得しようとする意欲が高いのは日本人の特徴でしょう。その意味ではフランス人は致命的です
学校で使える英語教育をすれば、今より個人の負担は減るかもしれませんが、海外進出の絶対条件にはなり得ません。
英語が義務教育ではない英語を母語としない国でも、必要性を感じている人は勉強してきちんと話せます。
8. Posted by ホワ    2009年07月16日 03:17
どうやったら英語をしゃべれうようになりますか?
9. Posted by ゆーた    2009年07月16日 03:35
前置きは問題だなぁ・・。
洗脳ではないよね。


あとは強烈な嫌味なんだろうけど。
10. Posted by 元役人    2009年07月16日 03:44
開国以来の制度の慣性でしょう。文科省の役人はそれほど頭が良くありませんよ。
11. Posted by みんみん    2009年07月16日 04:20
小さな先進国を学ぶ必要がどこにあるんでしょうね。

日本は1億人を越えるビッグプレーヤーなのですから日本のビジネスは日本語で行なって何の問題もない。

むしろアジア各国に日本語を普及していくのが戦略的に正しいのですよ。
12. Posted by ななめ まるこ    2009年07月16日 05:39
5 藤沢さんのブログはどこで読んでも楽しいです。
確かに、これだけ発展した日本の英語教育がいつまでも改善されないできたのは不思議ですね。
それから、日本では、外国で暮らすのは危険、悪い人だらけという情報が過剰にもみえます。
私は恥ずかしながら日本的英語もすっかり忘れました。が、今は泳げない子がプールに投げこまれたような感じで英語環境だ暮らしています。
日本の素晴らしいサービスや文明を世界にアピールしてゆくためにも、英語のコミュニケーション力を日本でも育てた方が良いですね。
あ。もちろん私も、日本が大好きです。
13. Posted by ななめ    2009年07月16日 05:48
5 さっきのコメントに悔いが残り戻ってきました。
泳げない子供のようには言いすぎでした。
いい歳になったので大変ではあります。
芸で乗り切るしかないときも多いです。
14. Posted by ATM    2009年07月16日 06:13
マレーシアが英語推進をやろうとして、結果的に全ての教科の点が落ちてしまうという、漫才師もびっくりの事態が起こってます。
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/090713/asi0907132317002-n1.htm

イギリスに支配されていたマレーシアでさえ、このざまです。
外国語を、その外国に興味もない国民に学ばせるというのは、かなり難しいのです。
「日本の官僚は日本人の英語のコミュニケーション能力を不能化させながらも、膨大な英語文献へのアクセスを可能としたのです。」というのは、単なる被害妄想に過ぎません。

あと、文部省じゃなく文科省ですね。
15. Posted by rghth    2009年07月16日 06:24
この英語教育は戦後の日本の高度経済成長のカナメになりました。
この一方通行の情報の流れが戦後の日本の急速な工業化を可能にしたのです。

↑君の妄想だよ。 戦時中の軍事エンジニアと朝鮮戦争、田舎の出稼ぎおっさん、集団就職の若者、官僚等みんなが団結して頑張ったから高度経済成長したの。今のような個人比較差別国家じゃなかったからねえ。

英語もいいけど、インド、中国の方が成長国だからうまみがあるんじゃないの?
16. Posted by 石川    2009年07月16日 06:34
これは、素晴しい提言。

英語教育は個人の自由にした方がいい。そもそも、語学が英語に絞られているのが一番おかしい。

それと、コミュニケーションというのは、一対一が基本なのに、40対1の教育をしている。こんなことに重点を置いているのは、日本だけじゃないかな。英語なんか、一対一で密に3ヶ月学習すれば、身についてしまうよ。それに、一対一のコミュニケーション能力が高ければ、別に英語ができなくても問題なし。個性とか、自由というのは、そういうこと。欧米人は、一対一がちゃんとできる。

だいたい、フランス人なんて、英語ができなくてもなんとも思わないし、むかつく人たちなので。ま、いいか。書くと長くなる。

日本の英語の先生たちが、公務員とかやめなければならなくなるだろうけど、環境は厳しくなるけど、自分の教育能力が正しく評価されるような、英語学校や私塾をつくった方がいいんじゃないかな。それに、もっとも落ちこぼれがいる教科でもあるのだし、必要のある学生にだけ教えた方が良いでしょ。

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