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中国「臓器狩り」の見えない暗闇(4)
まさに映画「アイランド」の世界。“彼ら”は眠らされ、摘出され、二度と目覚めることはない
カナダ元アジア大洋州担当大臣 デビッド・キルガー
元国連カナダ代表 デビッド・マタス

■身元秘匿が犠牲につながった

 マタス 中国で迫害を受けている人々の中でも、法輪功学習者の監禁には、独特な特徴があることをここで指摘しておきたい。

 中国全土から天安門広場に嘆願や抗議にきた学習者は、逮捕後、身元を明かした場合、居住地に送還され、家族も連帯責任を問われて巻き添えになった。家族だけではなく、会社の上司、同僚、居住地の自治体幹部までもが、その学者が天安門広場で嘆願や抗議を行ったことで責任を問われ、懲罰を受けた。

 このため、身元を明かすことを固く拒絶した学習者は8割にものぼった。ところが、これが逆効果となったのだ。家族が消息を把握していない人は犠牲になりやすい。身元を秘匿したことで、学習者たちの安全はかえって危うくなった。身元を隠した学習者は、事情も知らされず、各地の刑務所をたらい回しにされたのだ。

 これら身元不明者の存在自体が、法輪功学習者に対する臓器狩りの告発が真実であるという断定にはならない。しかし、仮に、告発が真実なら、摘出臓器の出所は直ちに説明がつく。身元不明者たちはそのまま蒸発する可能性があり、家族は、蒸発の事実を確認すらできない。実際に、消息不明の学習者の数は膨大だ。中国政府は、この大集団の逮捕後の失踪について説明責任を負っている。

 大量の法輪功学習者失踪は、本件の告発と矛盾するところがないのである。

 キルガー 中国では数年前から、死刑囚の臓器を使った移植手術が行われており、中国政府もそれを認めた。しかし、これら死刑囚の臓器と、家族の同意で提供されたわずかな臓器を合計しても、飛躍的に伸びた手術件数の方がはるかに多く、数が合わない。

 死刑囚の数は非公開なので、われわれはアムネスティ・インターナショナルの報告に基づいて計算した。その推定数は世界の死刑囚数よりずっと多いにもかかわらず、臓器移植件数に比べればはるかに少なく、大きくかけはなれた数字なのである。

 アムネスティ報告によると、処刑された死刑囚の数は、95年から99年まで年平均1680人、00〜05年は1616人だった。弾圧前後であまり変わらない。したがって、弾圧後激増した手術件数は、処刑死刑囚だけでは説明がつかない。

 一方、中国では99年までに3万件の臓器移植が行われ、弾圧開始までの6年間は1万8500件だったという。中国医療臓器移植協会副会長の石秉義教授は、全件数は9万と論文で述べたから、弾圧以後は6万件とみられる。

 出所が明らかなのは1万8500件で、おそらく00〜06年の6年間も同等数の移植が行われたと推測する。すると、実際に行われた6万件のうち、実に4万1500件の臓器の出所は、説明がつかないのである。

 移植件数だけでなく、移植センター数も、迫害に平行して増加している。99年まで、肝臓移植センターは全土に22ケ所しかなかったが、4月には500ケ所にものぼった。98年まで肝臓移植手術は135件だったが、昨年一年間で4000件である。腎臓移植は、98年が3596件、昨年は1万件を超えた。

  続く

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【正論1月号】